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侍女の悲鳴と使用人たちの怒り

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サラは久しぶりに運動して疲れたからかぐっすりと眠っていた。
気づくと朝になっていて、セインはもう天井裏に行っていた。起きようかと身を起こそうとした途端、侍女2人が入ってきた。

「おはよう」

「「おはようございます!」」

サラが挨拶をすると、2人は元気に返してくれた。その状況にサラは自然と笑みが漏れる。
マリーに今日着る服を選んでもい、着替えるのを手伝ってもらおうと立ち上がって2人の側によった。リサがサラのお化粧で、マリーが着替えだ。

「サラ様っ?!」

マリーがサラの首筋を凝視して叫ぶようにいう。リサはどうしたの?という感じでマリーの目線の先を見た。

「っ!?」

リサは息をのんだ。侍従長と侍女長が異変に気づいて部屋に急いで近づく音がする。

「「どうかなさいましたかっ!?」」

いつも冷静な2人が息を切らして、あからさまに焦っていた。マリーが視線で合図すると、2人はサラの首元を見て、やはり息をのんだ。

「ご説明いただけますか?」

セバスは咎めるように言う。なんのことかと当の本人は全く事態を把握できていない。皆が怪訝な表情をしているが、リサがサラの首筋が本人に見えるように鏡で見してくれた。

「えっ?どう言うこと?こんなの知らない!」

サラは一瞬取り乱したが思い当たる節があったのか、ある男の名前を呼ぶ。

「セイン!」

すると天井裏から人が降りてくる。咄嗟に使用人たちは身構えるがサラはセインに聞きたいことを聞いた。

「これってセイン?」

サラは自分の首筋を見せるようにした。セインはああ、と言った表情で反省の色も見えない態度で言葉を紡ぐ。

「昨日サラが寝た後につけた。近衛のやつらに俺の名前を教えたお仕置き。」

サラはばつが悪そうな顔をしている。だが反論しようとする。

「でっ、でも!今まで跡なんかつけたことなかったじゃない!お飾りではあるけど一応王妃なんだから!」

セインが途端に不機嫌な顔になる。

「でもあいつ、サラに暴言吐いた挙句、あの格好じゃできないとわかってて恋人を作っていいって言ったんだぞ。なら、それはサラに俺が何してもいいってことだ。しかもその時、サラ泣いてたじゃんか。サラは俺のこと好きだろ?」

「好きだけど…ってそう言うことじゃないでしょ!」

サラはセインの問いに応えたが、慌てて否定する。

「コホン。サラ様、こちらの方は?」

侍従長が大袈裟に咳払いをして、サラに尋ねる。サラは使用人たちがいることを忘れていたのでハッとした表情をして見せたが、皆の方を向き、セインの紹介をする。

「彼はセインといって、私の影です。」

セインが頭をかるく下げて、会釈する。侍従長はセインの方に目を向け、厳しい口調で言う。

「陛下が本当にそのようなことをおっしゃったのですか?」

そっちかよって思う方がいるかも知れない。でも使用人たちが気するべきところはそこなのだ。

「「コクリ」」

サラとセインは無言で頷く。すると周りにいる使用人たちの目に怒りが宿っている。

「なんなんだ?あの野郎」

「サラ様を泣かせただと…?」

「絶対に許しませんわ!」

と様々な意見が伺える。セインはそういやこいつらもサラのこと大好きだったな…、と思っている。サラは使用人たちがなぜ怒っているのかわからず、おろおろしている様子。サラの様子に気づいた使用人たちが一斉にいつもの笑顔を向ける。

「まあ、まずは朝食にいたしましょうか。」

使用人たちが散っていき、サラは準備を再開させる。サラは怒られるのかとビクビクして朝食を食べていたが、朝食が食べ終わっても怒られず、結局聞くことにした。するとセバスが目をパチクリとさせている。

「どうして?ですか?そうですね…強いて言うならサラ様が嫌がってる様子ではなく、同意を求められれば多分同意致しましたでしょう?明らかに仲がよろしいのに私がでしゃばる必要がないと思ったからでございますね。」

セインがまた天井から降ってきてサラを抱きしめる。マリーはほんの少し敵意が出ている。

「なあ?侍従長様がこう言ってるんだし、公爵家にいた頃と同じような感じでいいんだよ。」

「そうかしら?」

サラが侍従長に目線を合わせると、ええ、と頷いてくれる。

「そっか。今まで通りでいいのね。じゃあセインは侍従として私のそばにいてもらっていい?もう隠す必要ないから。」

「もちろん」

セインは満面の笑みで答える。
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