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影の嫉妬と2人の関係
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「「「「おかえりなさいませ」」」」
サラは団員たちの稽古を終え、離宮に帰ってきた。使用人たちが笑顔で出迎えてくれた。
夕食を食べた後、侍女たちに手伝ってもらい湯浴みをした。そして自室のソファーに座ってゆっくり本を読んでいると天井から男が1人降りてきてサラに後ろから抱きつく。
「サラ」
すると黒い服に身を包んだ男が怒気をはらんだ声でサラの名前を呼んだ。サラは誰が来たか分かっているので後ろに向き直り男を抱きしめた。
「セイン!」
サラが嬉しそうに名前を呼ぶがセインと呼ばれた男は不機嫌のままだ。サラが理由を尋ねると応えてくれた。
「セインって名前をつけてくれたのはサラだ。サラしか知らなくていいのに近衛のやつらが俺の名前を知っている。どうして俺の名前を出した?」
「ご、ごめんなさい。私、公爵家のなかで過ごしてきたから男の人の名前をあまり知らなくて。だからいつも一緒にいてくれるセインの名前を出しちゃったの!ほんとにごめんなさい。」
サラはしゅんとして応える。するとセインはサラに質問をする。
「サラ、俺のこと好き?」
「うん、大好き!」
「ならいいや」
セインの質問にサラはすぐさま応え、セインはサラの言葉にすぐさま納得する。
セインはサラを好きだし、サラもセインを好きである。いわゆる両想いだ。だがこれが恋かと言われれば本人たちにもわからない。
*************************
セインは黒髪黒目のサラと同い年の青年だ。サラの転生した世界では、黒は忌み嫌われる。貴族社会ではそういうことはないが、平民の中ではまだ差別意識が残っている。しかしサラは前世日本人で黒髪黒目の人など見慣れている。そのため8歳の時お忍びで城下に行った際、路地裏で数人の男に痛めつけられている同い年の黒髪黒目の少年を家に連れて帰って来て、セインと名前をつけた。。セインは最初こそ警戒していたが、時間が経つにつれて警戒心が薄れていった。セインにとってサラは命の恩人だ。好きにならないわけがない。だから守りたいと思った。サラは強いので一緒に訓練をし、サラを守る影になりたいと思い、それを実現させた。今では国王直属の影全員に1人で勝てるほどに強い。つまり何を言いたいかというと、サラの次に強いということだ。
しかし、いくらセインが心を開いてもサラはどこか心の内を隠していた。
どれだけ両親に愛されても、使用人たちに大事にされていても、どこか不安そうだった。
ある日、サラは高熱で倒れた。その時はセインがつきっきりで看病をした。セインがサラの部屋を去ろうとした時、サラがポツポツと話し始めたのだ。
自分が転生者だということを…。
自分が転生者だと両親や使用人たちが知れば、自分をもう大切にしてくれないかもしれない、気持ち悪い、近寄るなと言われるかもしれないのが怖いのだと…。
「セインは私を嫌いになった?」
サラは悲しそうな顔で、諦めたように言った。その時、セインは初めてサラの弱さを見たのだ。セインは優しい声でサラに言い聞かせるように言った。
「そんなはずはない。俺は俺を救ってくれたサラが大好きだ。だからずっとそばにいたい。サラは違うのか?」
「ううん、違くない。私もセインが大好き。だからずっと一緒にいたい。これからも一緒にいてくれるよね?」
「ああ、もちろん。」
「ありがとう!」
サラは笑顔で言った。拒絶されると覚悟されていたのにこれからもずっと一緒にいてくれると言ってくれたのだ。サラにとってセインは初めて自分の全てを打ち明けた人で、それを受け入れてくれた人だ。その瞬間からサラはセインが何より大事になった。2人は互いを互いに必要としている。離れようとも決して離れられない存在なのだ。
話が終わり、今度こそ部屋を去ろうとセインが動こうとした時、サラはセインを引きとめた。
「セイン」
「何だ?」
「あ、あのね?この後することがなかったら今日はずっと一緒にいてくれる?」
サラは不安そうに、恥ずかしがりながらセインに聞いた。
「大好きなサラのそばにいれるなら喜んで。今日だけじゃなく、これからも俺はサラのものだし、サラは俺のものだ。一緒に寝てあげるから、安心しておやすみ。」
セインはそう応えて、サラをゆったりと抱きしめながら眠った。
その日を境に2人は恋人のようにイチャイチャを繰り返している。2人はお互いにくっついていると、落ち着くからだ。ハグなんてよくするし、キスも何回もしている。公爵は娘が幸せそうだからと、苦渋の判断で黙認している。使用人たちも同じような感じだ。妻はというとイチャイチャしている2人を幸せそうに眺めている。
*************************
「もう寝るのか?」
セインはサラに聞く。
「もう寝る。今日は一緒に寝よ。」
サラはそういってベットに入るように促す。セインは着替えてなんの抵抗もなくベットに入る。サラの唇にキスを落としておやすみと言って、抱きしめて眠る。
はたから見れば恋人同士にしか見えない2人。セインは気づき始めているが、急に態度が変わるとサラが傷つくと思い、密かに思いを秘めている。一方サラは鈍すぎて自分の気持ちに気づけない。サラが自分に気持ちに気づける日が来るのだろうか?
サラは団員たちの稽古を終え、離宮に帰ってきた。使用人たちが笑顔で出迎えてくれた。
夕食を食べた後、侍女たちに手伝ってもらい湯浴みをした。そして自室のソファーに座ってゆっくり本を読んでいると天井から男が1人降りてきてサラに後ろから抱きつく。
「サラ」
すると黒い服に身を包んだ男が怒気をはらんだ声でサラの名前を呼んだ。サラは誰が来たか分かっているので後ろに向き直り男を抱きしめた。
「セイン!」
サラが嬉しそうに名前を呼ぶがセインと呼ばれた男は不機嫌のままだ。サラが理由を尋ねると応えてくれた。
「セインって名前をつけてくれたのはサラだ。サラしか知らなくていいのに近衛のやつらが俺の名前を知っている。どうして俺の名前を出した?」
「ご、ごめんなさい。私、公爵家のなかで過ごしてきたから男の人の名前をあまり知らなくて。だからいつも一緒にいてくれるセインの名前を出しちゃったの!ほんとにごめんなさい。」
サラはしゅんとして応える。するとセインはサラに質問をする。
「サラ、俺のこと好き?」
「うん、大好き!」
「ならいいや」
セインの質問にサラはすぐさま応え、セインはサラの言葉にすぐさま納得する。
セインはサラを好きだし、サラもセインを好きである。いわゆる両想いだ。だがこれが恋かと言われれば本人たちにもわからない。
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セインは黒髪黒目のサラと同い年の青年だ。サラの転生した世界では、黒は忌み嫌われる。貴族社会ではそういうことはないが、平民の中ではまだ差別意識が残っている。しかしサラは前世日本人で黒髪黒目の人など見慣れている。そのため8歳の時お忍びで城下に行った際、路地裏で数人の男に痛めつけられている同い年の黒髪黒目の少年を家に連れて帰って来て、セインと名前をつけた。。セインは最初こそ警戒していたが、時間が経つにつれて警戒心が薄れていった。セインにとってサラは命の恩人だ。好きにならないわけがない。だから守りたいと思った。サラは強いので一緒に訓練をし、サラを守る影になりたいと思い、それを実現させた。今では国王直属の影全員に1人で勝てるほどに強い。つまり何を言いたいかというと、サラの次に強いということだ。
しかし、いくらセインが心を開いてもサラはどこか心の内を隠していた。
どれだけ両親に愛されても、使用人たちに大事にされていても、どこか不安そうだった。
ある日、サラは高熱で倒れた。その時はセインがつきっきりで看病をした。セインがサラの部屋を去ろうとした時、サラがポツポツと話し始めたのだ。
自分が転生者だということを…。
自分が転生者だと両親や使用人たちが知れば、自分をもう大切にしてくれないかもしれない、気持ち悪い、近寄るなと言われるかもしれないのが怖いのだと…。
「セインは私を嫌いになった?」
サラは悲しそうな顔で、諦めたように言った。その時、セインは初めてサラの弱さを見たのだ。セインは優しい声でサラに言い聞かせるように言った。
「そんなはずはない。俺は俺を救ってくれたサラが大好きだ。だからずっとそばにいたい。サラは違うのか?」
「ううん、違くない。私もセインが大好き。だからずっと一緒にいたい。これからも一緒にいてくれるよね?」
「ああ、もちろん。」
「ありがとう!」
サラは笑顔で言った。拒絶されると覚悟されていたのにこれからもずっと一緒にいてくれると言ってくれたのだ。サラにとってセインは初めて自分の全てを打ち明けた人で、それを受け入れてくれた人だ。その瞬間からサラはセインが何より大事になった。2人は互いを互いに必要としている。離れようとも決して離れられない存在なのだ。
話が終わり、今度こそ部屋を去ろうとセインが動こうとした時、サラはセインを引きとめた。
「セイン」
「何だ?」
「あ、あのね?この後することがなかったら今日はずっと一緒にいてくれる?」
サラは不安そうに、恥ずかしがりながらセインに聞いた。
「大好きなサラのそばにいれるなら喜んで。今日だけじゃなく、これからも俺はサラのものだし、サラは俺のものだ。一緒に寝てあげるから、安心しておやすみ。」
セインはそう応えて、サラをゆったりと抱きしめながら眠った。
その日を境に2人は恋人のようにイチャイチャを繰り返している。2人はお互いにくっついていると、落ち着くからだ。ハグなんてよくするし、キスも何回もしている。公爵は娘が幸せそうだからと、苦渋の判断で黙認している。使用人たちも同じような感じだ。妻はというとイチャイチャしている2人を幸せそうに眺めている。
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