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サラのハンドクリーム
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サラがこの離宮に来て2週間ほど経ったある日、専属侍女2人が風邪をひいてしまった。
そのため臨時の侍女をサラにつけた。2人の名前は、リンとルーナリア。いつもは洗濯や食器を洗ったりしている水回りの仕事をしている侍女だ。朝起きて身支度を手伝ってもらっている時に、2人の手が荒れていることに気づいた。こちらの世界にハンドクリームなどの便利なものはない。だから、水回りの仕事をしているものはあっという間に手が荒れてしまう。いくつもあかぎれがあり見ている方も痛くなってくる。ほっとけなかったのでサラは離宮で働く者全員にハンドクリームをプレゼントしようと思った。
まずは精油を作る。サラは庭に咲いてあったラベンダーをジョンさんにもらった。魔法で作った丸底フラスコのようなものにラベンダーを沢山入れ、水を入れる。細長い管を丸底フラスコにつけ管を水の中に入れる。そして火にかける。すると蒸気となったものが冷やされる。それをラベンダーオイルと蒸留水に分けると出来上がる。
次にオイルにミツバチが巣を作る時に分泌するろうの蜜蝋を一つの入れ物に入れて湯煎にかける。蜜蝋が溶けたら火からおろし冷めるのを待つ。冷めたら精油を少し加えて混ぜる。それを別の容器に移し替えて固まるのを待ったら完成する。
「サラ様、それは一体なんですか?」
サラの作業を見ていた侍女2人が不思議そうに問いかけてくる。
「これはハンドクリームって言うのよ。水回りの仕事をしている者は皆手が荒れやすいでしょ。だから手が荒れにくいようにするものね。全員分作ったから夕食の時に皆に渡してね。」
サラは侍女2人に使い方も説明する。手を洗った後や寝る前に塗るといいとも教えた。
************************************
サラが夕食を食べる時に担当の仕事がないものは同じ時間に使用人だけで夕食を食べる。サラは自分ことはたいてい1人でできるので慣れない仕事で疲れている侍女2人を下がらせ夕食に向かわせた。
サラが夕食を食べ終えてサロンでくつろいでいると、使用人たちが一斉に流れ込んできた。
「「「ありがとうございますっ!」」」
突然のことにサラが驚いているとリンとルーナリアがすまなそうに頭を下げてルーナリアが説明してくれた。
「サラ様の仰せの通りに皆にハンドクリームを渡したのですが……」
ルーナリアが言葉に詰まっているとリンが交代した。
「使用人たちの手のことまで心配してくださるサラ様に皆お礼を申したい、と一斉にここへ来てしまったのです。申し訳ありません。」
2人が深々と頭を下げる。それにサラはそういうことかと納得顔だ。
「そういうことだったのね。気にしないでいいわ。皆もお礼をしてくれてありがとう。遠慮なく使ってくれると私も嬉しいわ。何か問題があったらすぐに教えてね。あと、こういう香りがいいとかリクエストしてくれてもいいから。」
「「「ありがとうございます!」」」
皆がまたお礼を言った。サラも嬉しそうにうんうん、と頷いている。
「あっ!なくなったらいつでも言って!まだ沢山あるから。でもこのハンドクリームのことは誰にも話しちゃダメよ?これは皆だけの特権なんだから。」
我らがサラ様を独占できているという優越感に皆は浸っている。とてもニコニコ顔だ。すると侍女の1人が発言をする。
「僭越ながら、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「いいわ、なんでも言って?」
「このハンドクリームはサラ様も同じものを使っているのでしょうか?」
どういうことだろうと思いながらもサラは応える。
「そうよ?皆とお揃いだわ。」
サラの言葉を聞いて皆は上の空だ。サラとお揃いと聞いて嬉しさが込み上げてきている。当然そのことにサラは気づいていない。
また、サラの疑問が増えるのだった…。
そのため臨時の侍女をサラにつけた。2人の名前は、リンとルーナリア。いつもは洗濯や食器を洗ったりしている水回りの仕事をしている侍女だ。朝起きて身支度を手伝ってもらっている時に、2人の手が荒れていることに気づいた。こちらの世界にハンドクリームなどの便利なものはない。だから、水回りの仕事をしているものはあっという間に手が荒れてしまう。いくつもあかぎれがあり見ている方も痛くなってくる。ほっとけなかったのでサラは離宮で働く者全員にハンドクリームをプレゼントしようと思った。
まずは精油を作る。サラは庭に咲いてあったラベンダーをジョンさんにもらった。魔法で作った丸底フラスコのようなものにラベンダーを沢山入れ、水を入れる。細長い管を丸底フラスコにつけ管を水の中に入れる。そして火にかける。すると蒸気となったものが冷やされる。それをラベンダーオイルと蒸留水に分けると出来上がる。
次にオイルにミツバチが巣を作る時に分泌するろうの蜜蝋を一つの入れ物に入れて湯煎にかける。蜜蝋が溶けたら火からおろし冷めるのを待つ。冷めたら精油を少し加えて混ぜる。それを別の容器に移し替えて固まるのを待ったら完成する。
「サラ様、それは一体なんですか?」
サラの作業を見ていた侍女2人が不思議そうに問いかけてくる。
「これはハンドクリームって言うのよ。水回りの仕事をしている者は皆手が荒れやすいでしょ。だから手が荒れにくいようにするものね。全員分作ったから夕食の時に皆に渡してね。」
サラは侍女2人に使い方も説明する。手を洗った後や寝る前に塗るといいとも教えた。
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サラが夕食を食べる時に担当の仕事がないものは同じ時間に使用人だけで夕食を食べる。サラは自分ことはたいてい1人でできるので慣れない仕事で疲れている侍女2人を下がらせ夕食に向かわせた。
サラが夕食を食べ終えてサロンでくつろいでいると、使用人たちが一斉に流れ込んできた。
「「「ありがとうございますっ!」」」
突然のことにサラが驚いているとリンとルーナリアがすまなそうに頭を下げてルーナリアが説明してくれた。
「サラ様の仰せの通りに皆にハンドクリームを渡したのですが……」
ルーナリアが言葉に詰まっているとリンが交代した。
「使用人たちの手のことまで心配してくださるサラ様に皆お礼を申したい、と一斉にここへ来てしまったのです。申し訳ありません。」
2人が深々と頭を下げる。それにサラはそういうことかと納得顔だ。
「そういうことだったのね。気にしないでいいわ。皆もお礼をしてくれてありがとう。遠慮なく使ってくれると私も嬉しいわ。何か問題があったらすぐに教えてね。あと、こういう香りがいいとかリクエストしてくれてもいいから。」
「「「ありがとうございます!」」」
皆がまたお礼を言った。サラも嬉しそうにうんうん、と頷いている。
「あっ!なくなったらいつでも言って!まだ沢山あるから。でもこのハンドクリームのことは誰にも話しちゃダメよ?これは皆だけの特権なんだから。」
我らがサラ様を独占できているという優越感に皆は浸っている。とてもニコニコ顔だ。すると侍女の1人が発言をする。
「僭越ながら、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「いいわ、なんでも言って?」
「このハンドクリームはサラ様も同じものを使っているのでしょうか?」
どういうことだろうと思いながらもサラは応える。
「そうよ?皆とお揃いだわ。」
サラの言葉を聞いて皆は上の空だ。サラとお揃いと聞いて嬉しさが込み上げてきている。当然そのことにサラは気づいていない。
また、サラの疑問が増えるのだった…。
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