10 / 23
サラと庭師と侍女2人
しおりを挟む
朝食を食べ終わってサラは自室にいったん戻った。
「庭を案内しましょうか?」
サラが何をしようかと考えていたところにリサがサラの考えていることを理解できたかのように提案してくれた。サラは昨日、この離宮に来た時に庭に咲き誇っている花に見惚れていたのだ。それを見られると知ってサラは興奮気味にうん!と答えた。
動きにくいドレスから水色のワンピースに着替えて庭に行く準備をする。軽いピクニック気分だ。お茶とお菓子を持って行く。庭にはそこには色とりどりの花が沢山あってサラの好きな香りのいいラベンダーもあった。
「とっても綺麗でいい香りね。」
サラが言うと庭師のジョンさんが近づいてきた。ジョンさんは60歳代に見えるおじさんだ。
「自慢の庭なんでさぁ。ところでお嬢ちゃんは王妃様かい?」
ジョンさんの問いにサラは軽く自己紹介をする。
「そうよ。できれば気楽にサラって呼んでくれるかしら?」
サラが笑顔で言うと、ジョンさんがこれは参ったと笑う。
「わかった。よろしくな、サラ嬢ちゃん!」
「ええ、よろしくね。」
サラが手を差し出して握手をする。
「ところでサラ嬢ちゃんはこういう風な庭にしてほしいとかあるかい?」
ジョンさんがあっ!というような表情で尋ねてくる。それにサラは考え込む。サラには噂が立っていたので妙な行動はできず出かけるといっても変装して王都の城下に行くくらいだ。サラは結構マイペースでおっとりとしているところがある。もちろん、前世でもそうだった。だから前世でしたことないくらい花が沢山咲いた野原でのんびりしたい、そう思った。それをジョンさんにいうとそうかといったように
「それなら、この離宮の裏にあるぞ。ちょうど春だから綺麗に咲いてると思う。」
「ほんと?!」
サラが食い気味に反応する。それにジョンさんは、ああといって案内してくれた。そこにはサラの想像していたまんまの色とりどりの花が沢山咲いている野原があった。サラは無邪気に走り回る。時々しゃがんで花を観察する。それを繰り返していた。
「サラ嬢ちゃん可愛すぎないか?」
ジョンさんの言葉に侍女2人はええ、と応える。するとリサが付け加えるかのように続ける。
「そういえば今朝、ご機嫌なサラ様を見た使用人2人が鼻血を出して倒れましたね。」
まじかよと言いながらもあの可愛さじゃ仕方がないとジョンさんは納得する。3人がほんわかしながらサラを見ていると、突然サラが走って近づいてきた。
「見て!かわいいでしょ?」
サラが自作の花冠を頭につけて3人に聞いてくる。孫を見るように見るジョンさんとサラの笑顔を何回も見ている侍女2人は平気だが、はしゃいでるサラを見たいと遠目から観察していた耐性のない使用人たちがばたばたと倒れていく。それを侍女2人が体で見えないようにさえぎって、とてもお似合いですと応える。その間に倒れた使用人たちは回収されていく。
「ふふ、ありがとう。」
サラが頬を少し赤らめていった。それにも倒れていくものがいる。これは深刻だと思ったリサが注意する。
「サラ様、その顔は皆の前ではしてはいけませんよ?」
「うん?」
サラはタチが悪いことに自分の可愛さを理解していない。何がダメなのか理解できていない。だから疑問顔だ。こてんと首をかしげて考えている。でも分からなくて考えるのを放棄したらしい。それをリサが呆れたように
「まあ、これでこそ我らがサラ様ですね。」
と言う。隣のマリーが全力で顔を縦に振っている。サラの疑問は永遠に分からないこととなった。
結局、4人でピクニックを楽しんで一日が終わった。
「庭を案内しましょうか?」
サラが何をしようかと考えていたところにリサがサラの考えていることを理解できたかのように提案してくれた。サラは昨日、この離宮に来た時に庭に咲き誇っている花に見惚れていたのだ。それを見られると知ってサラは興奮気味にうん!と答えた。
動きにくいドレスから水色のワンピースに着替えて庭に行く準備をする。軽いピクニック気分だ。お茶とお菓子を持って行く。庭にはそこには色とりどりの花が沢山あってサラの好きな香りのいいラベンダーもあった。
「とっても綺麗でいい香りね。」
サラが言うと庭師のジョンさんが近づいてきた。ジョンさんは60歳代に見えるおじさんだ。
「自慢の庭なんでさぁ。ところでお嬢ちゃんは王妃様かい?」
ジョンさんの問いにサラは軽く自己紹介をする。
「そうよ。できれば気楽にサラって呼んでくれるかしら?」
サラが笑顔で言うと、ジョンさんがこれは参ったと笑う。
「わかった。よろしくな、サラ嬢ちゃん!」
「ええ、よろしくね。」
サラが手を差し出して握手をする。
「ところでサラ嬢ちゃんはこういう風な庭にしてほしいとかあるかい?」
ジョンさんがあっ!というような表情で尋ねてくる。それにサラは考え込む。サラには噂が立っていたので妙な行動はできず出かけるといっても変装して王都の城下に行くくらいだ。サラは結構マイペースでおっとりとしているところがある。もちろん、前世でもそうだった。だから前世でしたことないくらい花が沢山咲いた野原でのんびりしたい、そう思った。それをジョンさんにいうとそうかといったように
「それなら、この離宮の裏にあるぞ。ちょうど春だから綺麗に咲いてると思う。」
「ほんと?!」
サラが食い気味に反応する。それにジョンさんは、ああといって案内してくれた。そこにはサラの想像していたまんまの色とりどりの花が沢山咲いている野原があった。サラは無邪気に走り回る。時々しゃがんで花を観察する。それを繰り返していた。
「サラ嬢ちゃん可愛すぎないか?」
ジョンさんの言葉に侍女2人はええ、と応える。するとリサが付け加えるかのように続ける。
「そういえば今朝、ご機嫌なサラ様を見た使用人2人が鼻血を出して倒れましたね。」
まじかよと言いながらもあの可愛さじゃ仕方がないとジョンさんは納得する。3人がほんわかしながらサラを見ていると、突然サラが走って近づいてきた。
「見て!かわいいでしょ?」
サラが自作の花冠を頭につけて3人に聞いてくる。孫を見るように見るジョンさんとサラの笑顔を何回も見ている侍女2人は平気だが、はしゃいでるサラを見たいと遠目から観察していた耐性のない使用人たちがばたばたと倒れていく。それを侍女2人が体で見えないようにさえぎって、とてもお似合いですと応える。その間に倒れた使用人たちは回収されていく。
「ふふ、ありがとう。」
サラが頬を少し赤らめていった。それにも倒れていくものがいる。これは深刻だと思ったリサが注意する。
「サラ様、その顔は皆の前ではしてはいけませんよ?」
「うん?」
サラはタチが悪いことに自分の可愛さを理解していない。何がダメなのか理解できていない。だから疑問顔だ。こてんと首をかしげて考えている。でも分からなくて考えるのを放棄したらしい。それをリサが呆れたように
「まあ、これでこそ我らがサラ様ですね。」
と言う。隣のマリーが全力で顔を縦に振っている。サラの疑問は永遠に分からないこととなった。
結局、4人でピクニックを楽しんで一日が終わった。
1
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
悪役令嬢はオッサンフェチ。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
侯爵令嬢であるクラリッサは、よく読んでいた小説で悪役令嬢であった前世を突然思い出す。
何故自分がクラリッサになったかどうかは今はどうでも良い。
ただ婚約者であるキース王子は、いわゆる細身の優男系美男子であり、万人受けするかも知れないが正直自分の好みではない。
ヒロイン的立場である伯爵令嬢アンナリリーが王子と結ばれるため、私がいじめて婚約破棄されるのは全く問題もないのだが、意地悪するのも気分が悪いし、家から追い出されるのは困るのだ。
だって私が好きなのは執事のヒューバートなのだから。
それならさっさと婚約破棄して貰おう、どうせ二人が結ばれるなら、揉め事もなく王子がバカを晒すこともなく、早い方が良いものね。私はヒューバートを落とすことに全力を尽くせるし。
……というところから始まるラブコメです。
悪役令嬢といいつつも小説の設定だけで、計算高いですが悪さもしませんしざまあもありません。単にオッサン好きな令嬢が、防御力高めなマッチョ系執事を落とすためにあれこれ頑張るというシンプルなお話です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる