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四章【赤い波を越えて】
抗戦(1)
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ニャーンが悩んでいる間にも宇宙と地上での戦いは続いている。ここ第五大陸ではズウラが急激に成長した能力を遺憾なく発揮していた。
『アイム様とグレンさんが怪塵を上手く誘導してくれてる……どんどん来い!』
大地が鳴動し轟音と共に隆起する。乾き切った荒野が裂け、亀裂から噴出した溶岩が意志を持つ生物のように蠢き始めた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
空を睨み、降り注ぐ赤霧の中に混じった大きめの欠片を見つけては巨大な岩の手を伸ばして破砕するズウラ。この三ヶ月の特訓でついに彼は『大陸』を己が手足として操れるようになった。第五大陸の住民を全て避難させたのはこのためである。今の彼は大地の上にいる限り間違いなく最大にして最強の守護者。アイムとグレンが不在の間の地上の守りは彼こそが要。
火山が盛り上がって砲台を形成。すぐさま噴火し火山弾を発射。甲高い音を立てつつ音速の数倍の速度で飛来したそれは彼方から迫りつつあった怪物の群れをまとめて打ち砕いた。もうあの程度の有象無象など敵では無い。
さらに溶岩が素早く襲いかかり、砕けて散った怪塵を飲み込んでいく。ニャーンのように味方に引き入れることはできずとも包んで固めてしまえば無力化は可能。もちろん永久にとはいかないが時間稼ぎにはなる。
大地の化身として天変地異を任意に引き起こせる彼の力は他の大陸にまで届く。海で隔てられていても実際には大地は全て繋がっているからだ。この状況が成長をまた加速させた。精霊を通じて認識できる範囲がさらに広がっていく。戦況の不利な場所を探し、その場にある鉱物を操って味方を支援する。
目標を外して海に落ちた火山弾が膨大な量の蒸気を立ち昇らせた。むせ返るような熱気を浴びて故郷テアドラスの熱さを思い出した彼はニヤリと笑いつつ手の平を上に向けた手で敵を招く。
『どんどん来いよ怪物共! オレがお前らの相手だ! 星のどこに現れたって逃がしゃしねえから覚悟しろ!』
咆哮が上がる。大地が震えて彼の昂りに共鳴する。
彼は今、完全に星と一体になった。
第四大陸。連合軍の一角が突き崩されそうになった途端、地面が隆起して敵だけを大量の土砂で飲み込んだ。それを見た兵士達が吠える。彼等もこの能力の持ち主がなんという名かはもう知っている。
「ズウラ! 第五大陸のズウラだ! 大地を動かす者!」
「ズウラ! ズウラ! ズウラ! ズウラ!」
「そうだ諸君! 我等にはアイム・ユニティとグレン・ハイエンドに並ぶ若き英雄の加護もついている! 怯まず押し返せ!」
馬上で剣を掲げ、弱気になりかけていた兵達に発破をかけるナナサン。全軍の指揮を執っていたバイシャネイル側の将軍が戦死したため繰り上がりで総司令となった。
右前方からの敵の接近に気付き、彼女は自分の乗った『馬』の背を叩く。合金製のそれは鈍い音を立てた。
「右に旋回! 止め! 撃てッ!」
指示通り長く伸びた砲身から対怪物特殊砲弾が発射され、間近にまで迫っていた不定形の怪物を打ち砕き、赤い塵に変えた。
彼女の『馬』は『戦車』とも呼ばれる。第七大陸に巣食っていた邪悪な錬金術師アリアリ・スラマッパギと取引して手に入れた高度な機械仕掛けの兵器である。同じ物を自力で作れと言われても今の自分達ではまだ無理だろう。研究は進めているが。
王国でも帝国でも、この対怪物兵器が誰によって、どんな方法で開発されたかを知る者は少ない。それぞれの国の長年の努力の成果だと思っている人間が大半だ。
けれど彼女は知っている。第七大陸の民が長く犠牲を強いられたことを。だから当然良心の呵責は覚えている。
だとしても使わざるをえない。使わなければこの局面を乗り切れない。そもそも道具には罪など無いのだ、責任は作った人間と使う人間にある。
第七大陸の人々には申し訳ない。これらの兵器を使う自分達は生き延びたとしても死後に地獄へ落ちるかもしれない。
それでも戦って生き延びる。死を遠ざけるために醜く足掻く、それが人間の正しい姿だと思っているから。能力を使って命令を広範囲な戦場の隅々まで行き渡らせる。
『退がるな進め! 犠牲になった者達のためにも、震えながら待つ民のためにも、自分自身の命のためにも全力で抵抗を続けろ!』
また発砲。しかし今度は狙いが甘かった。体積を半分に削られてもなお攻撃を繰り出した怪物の触手が戦車の上部ハッチから身を乗り出している彼女に襲いかかる。
だが、それをバイシャネイルの紋章を鎧に刻んだ機動重甲冑に身を包む兵士が盾で防いでくれた。盾の表面が超高速で振動して触手を分解する。待機中から回収して蓄積しておいた魔力を消費するため連発は効かないとっておきの切り札だが、今こそが使いどころである。
「総司令を守れ! この方の能力は我々の連携の要だ! 絶対に近付かせるな!」
「感謝する!」
短く礼を言って次の標的に狙いを定めるナナサン。しかし、もうどこに撃っても必ず敵に当たりそうだ。それほどまでに怪物が増えている。戦力の差が拡大し各地で戦線が崩壊しつつある。
それでも諦めない。他の兵士達もそう、士気は衰えていない。戦車が車列を維持したまま発砲を繰り返す。間を埋めるように隊列を組んだ重装兵が負傷者までも武器を構えて次の攻撃に備える。
背後からは通常装備の兵士達の支援射撃。先端に火薬を仕込んだ大量の矢がナナサン達前衛の上を通過して敵に降り注ぐ。
『来るぞ! 来るぞ! 来るぞ!』
『戦え! 最後の一人になっても逃げるな!』
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
勇敢な者達の声を拡散して全軍を鼓舞する。再び士気が上がり、足を踏み鳴らす兵士達。伊達に何百年も戦争を繰り返してきたわけではない。他の大陸の兵士達と第四大陸の彼等とでは質が違う。ここにいるのは全員が百戦錬磨の古参兵。実戦を経験したことの無い物など一人もいない。
「舐めるな怪物ども! 貴様等のうち一つがこの大陸に落ちて来た千年前とはもう違う! 人間は成長するのだ! もはや守られるだけの存在ではない!」
砲弾を発射する。兵が前進する。そんな彼等の頭上を溶岩の蛇が弧を描いて飛び、怪物に喰らいついて援護を行う。
戦いは、まだ始まったばかり。
第五大陸の裏側、第二大陸では住民達が大陸中央の高峰の頂上にある遺跡に集まり、その周囲を水によって形成された巨大なドームが覆っていた。さらにドームの内周には屈強な船乗り達が並び、それぞれ船から持ってきたありったけの大砲で砲列を築いて怪物の侵入に備えている。
「船長! 左からまた怪物です!」
「焦るな、よく引き付けてからぶっぱなせ! 長丁場になるかもしれん、弾を無駄にするな!」
「よおし、撃てぇ!」
水の結界には多少敵の足を鈍らせる程度の効果しか無い。だが加えてニャーンが配備してくれた防衛機構、すなわち白い怪物も触手を伸ばして絡み付き行動を阻害している。散々邪魔されてノロノロ侵入して来た怪物の大半は大砲による一斉射を受けて粉砕された。
そして、それでも一部の敵は攻撃を防ぎ、あるいは回避して反撃を繰り出して来る。光線が砲列の一角に突き刺さって爆発を起こした。何人もの船乗り達が宙を舞う。
「ぎゃあああああああああああああっ!」
「いてえ! いてえ!」
悲鳴を上げている者達はまだ幸運。一瞬で蒸発した者や声も出せないほどの傷で静かに死にゆく者達もいる。第二大陸でも特に大きい船団の船長ナンジャロ・カンジャロは素早く指示を出した。
「次が来るぞ、装填急げ! おい、負傷者と死んだやつは後ろに運べ!」
後方で控えていた者達がその声に従い、戦えなくなった連中を連れて行く。最前線にいる自分達には仲間の死を悼む時間も休憩している暇も無い。怪物はそんな事情などお構いなしに押し寄せて来るのだから。
風が強い山の上に陣取ったおかげで怪物化した怪塵がここまで辿り着くには時間がかかる。とはいえ次第に襲撃の頻度が増し始めていた。空からどんどん怪塵が降って来るのでは当然か。
「アイムの野郎、暴れてやがんな!」
文句を言うつもりは無い。その証拠にナンジャロはこの窮地でも笑っていた。アイムとグレンが凶星を赤い塵に変えてくれていなかったら、この星はとっくに粉砕されている。
文句を言いたい相手がいるとしたら別だ。あの男は何をしている?
「おい回遊魚! ザンバはどうした!?」
ナンジャロに問われ、水の結界を維持している一族の当代の長が答えた。
「ヌールが引っ叩いて起こしてる! やり過ぎて一回気絶させた! もう少し待て!」
「この状況で寝てたのかよ!?」
「知ってるだろ! そういう馬鹿なんだアレは!」
「ったく、なんであんな間抜けを頼らにゃならんのだか!」
「まったくだ!」
二人揃って苛立ち悪態をついたその直後、巨大な赤い刃が結界内に侵入しかけていた怪物を一刀両断にした。
『アイム様とグレンさんが怪塵を上手く誘導してくれてる……どんどん来い!』
大地が鳴動し轟音と共に隆起する。乾き切った荒野が裂け、亀裂から噴出した溶岩が意志を持つ生物のように蠢き始めた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
空を睨み、降り注ぐ赤霧の中に混じった大きめの欠片を見つけては巨大な岩の手を伸ばして破砕するズウラ。この三ヶ月の特訓でついに彼は『大陸』を己が手足として操れるようになった。第五大陸の住民を全て避難させたのはこのためである。今の彼は大地の上にいる限り間違いなく最大にして最強の守護者。アイムとグレンが不在の間の地上の守りは彼こそが要。
火山が盛り上がって砲台を形成。すぐさま噴火し火山弾を発射。甲高い音を立てつつ音速の数倍の速度で飛来したそれは彼方から迫りつつあった怪物の群れをまとめて打ち砕いた。もうあの程度の有象無象など敵では無い。
さらに溶岩が素早く襲いかかり、砕けて散った怪塵を飲み込んでいく。ニャーンのように味方に引き入れることはできずとも包んで固めてしまえば無力化は可能。もちろん永久にとはいかないが時間稼ぎにはなる。
大地の化身として天変地異を任意に引き起こせる彼の力は他の大陸にまで届く。海で隔てられていても実際には大地は全て繋がっているからだ。この状況が成長をまた加速させた。精霊を通じて認識できる範囲がさらに広がっていく。戦況の不利な場所を探し、その場にある鉱物を操って味方を支援する。
目標を外して海に落ちた火山弾が膨大な量の蒸気を立ち昇らせた。むせ返るような熱気を浴びて故郷テアドラスの熱さを思い出した彼はニヤリと笑いつつ手の平を上に向けた手で敵を招く。
『どんどん来いよ怪物共! オレがお前らの相手だ! 星のどこに現れたって逃がしゃしねえから覚悟しろ!』
咆哮が上がる。大地が震えて彼の昂りに共鳴する。
彼は今、完全に星と一体になった。
第四大陸。連合軍の一角が突き崩されそうになった途端、地面が隆起して敵だけを大量の土砂で飲み込んだ。それを見た兵士達が吠える。彼等もこの能力の持ち主がなんという名かはもう知っている。
「ズウラ! 第五大陸のズウラだ! 大地を動かす者!」
「ズウラ! ズウラ! ズウラ! ズウラ!」
「そうだ諸君! 我等にはアイム・ユニティとグレン・ハイエンドに並ぶ若き英雄の加護もついている! 怯まず押し返せ!」
馬上で剣を掲げ、弱気になりかけていた兵達に発破をかけるナナサン。全軍の指揮を執っていたバイシャネイル側の将軍が戦死したため繰り上がりで総司令となった。
右前方からの敵の接近に気付き、彼女は自分の乗った『馬』の背を叩く。合金製のそれは鈍い音を立てた。
「右に旋回! 止め! 撃てッ!」
指示通り長く伸びた砲身から対怪物特殊砲弾が発射され、間近にまで迫っていた不定形の怪物を打ち砕き、赤い塵に変えた。
彼女の『馬』は『戦車』とも呼ばれる。第七大陸に巣食っていた邪悪な錬金術師アリアリ・スラマッパギと取引して手に入れた高度な機械仕掛けの兵器である。同じ物を自力で作れと言われても今の自分達ではまだ無理だろう。研究は進めているが。
王国でも帝国でも、この対怪物兵器が誰によって、どんな方法で開発されたかを知る者は少ない。それぞれの国の長年の努力の成果だと思っている人間が大半だ。
けれど彼女は知っている。第七大陸の民が長く犠牲を強いられたことを。だから当然良心の呵責は覚えている。
だとしても使わざるをえない。使わなければこの局面を乗り切れない。そもそも道具には罪など無いのだ、責任は作った人間と使う人間にある。
第七大陸の人々には申し訳ない。これらの兵器を使う自分達は生き延びたとしても死後に地獄へ落ちるかもしれない。
それでも戦って生き延びる。死を遠ざけるために醜く足掻く、それが人間の正しい姿だと思っているから。能力を使って命令を広範囲な戦場の隅々まで行き渡らせる。
『退がるな進め! 犠牲になった者達のためにも、震えながら待つ民のためにも、自分自身の命のためにも全力で抵抗を続けろ!』
また発砲。しかし今度は狙いが甘かった。体積を半分に削られてもなお攻撃を繰り出した怪物の触手が戦車の上部ハッチから身を乗り出している彼女に襲いかかる。
だが、それをバイシャネイルの紋章を鎧に刻んだ機動重甲冑に身を包む兵士が盾で防いでくれた。盾の表面が超高速で振動して触手を分解する。待機中から回収して蓄積しておいた魔力を消費するため連発は効かないとっておきの切り札だが、今こそが使いどころである。
「総司令を守れ! この方の能力は我々の連携の要だ! 絶対に近付かせるな!」
「感謝する!」
短く礼を言って次の標的に狙いを定めるナナサン。しかし、もうどこに撃っても必ず敵に当たりそうだ。それほどまでに怪物が増えている。戦力の差が拡大し各地で戦線が崩壊しつつある。
それでも諦めない。他の兵士達もそう、士気は衰えていない。戦車が車列を維持したまま発砲を繰り返す。間を埋めるように隊列を組んだ重装兵が負傷者までも武器を構えて次の攻撃に備える。
背後からは通常装備の兵士達の支援射撃。先端に火薬を仕込んだ大量の矢がナナサン達前衛の上を通過して敵に降り注ぐ。
『来るぞ! 来るぞ! 来るぞ!』
『戦え! 最後の一人になっても逃げるな!』
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
勇敢な者達の声を拡散して全軍を鼓舞する。再び士気が上がり、足を踏み鳴らす兵士達。伊達に何百年も戦争を繰り返してきたわけではない。他の大陸の兵士達と第四大陸の彼等とでは質が違う。ここにいるのは全員が百戦錬磨の古参兵。実戦を経験したことの無い物など一人もいない。
「舐めるな怪物ども! 貴様等のうち一つがこの大陸に落ちて来た千年前とはもう違う! 人間は成長するのだ! もはや守られるだけの存在ではない!」
砲弾を発射する。兵が前進する。そんな彼等の頭上を溶岩の蛇が弧を描いて飛び、怪物に喰らいついて援護を行う。
戦いは、まだ始まったばかり。
第五大陸の裏側、第二大陸では住民達が大陸中央の高峰の頂上にある遺跡に集まり、その周囲を水によって形成された巨大なドームが覆っていた。さらにドームの内周には屈強な船乗り達が並び、それぞれ船から持ってきたありったけの大砲で砲列を築いて怪物の侵入に備えている。
「船長! 左からまた怪物です!」
「焦るな、よく引き付けてからぶっぱなせ! 長丁場になるかもしれん、弾を無駄にするな!」
「よおし、撃てぇ!」
水の結界には多少敵の足を鈍らせる程度の効果しか無い。だが加えてニャーンが配備してくれた防衛機構、すなわち白い怪物も触手を伸ばして絡み付き行動を阻害している。散々邪魔されてノロノロ侵入して来た怪物の大半は大砲による一斉射を受けて粉砕された。
そして、それでも一部の敵は攻撃を防ぎ、あるいは回避して反撃を繰り出して来る。光線が砲列の一角に突き刺さって爆発を起こした。何人もの船乗り達が宙を舞う。
「ぎゃあああああああああああああっ!」
「いてえ! いてえ!」
悲鳴を上げている者達はまだ幸運。一瞬で蒸発した者や声も出せないほどの傷で静かに死にゆく者達もいる。第二大陸でも特に大きい船団の船長ナンジャロ・カンジャロは素早く指示を出した。
「次が来るぞ、装填急げ! おい、負傷者と死んだやつは後ろに運べ!」
後方で控えていた者達がその声に従い、戦えなくなった連中を連れて行く。最前線にいる自分達には仲間の死を悼む時間も休憩している暇も無い。怪物はそんな事情などお構いなしに押し寄せて来るのだから。
風が強い山の上に陣取ったおかげで怪物化した怪塵がここまで辿り着くには時間がかかる。とはいえ次第に襲撃の頻度が増し始めていた。空からどんどん怪塵が降って来るのでは当然か。
「アイムの野郎、暴れてやがんな!」
文句を言うつもりは無い。その証拠にナンジャロはこの窮地でも笑っていた。アイムとグレンが凶星を赤い塵に変えてくれていなかったら、この星はとっくに粉砕されている。
文句を言いたい相手がいるとしたら別だ。あの男は何をしている?
「おい回遊魚! ザンバはどうした!?」
ナンジャロに問われ、水の結界を維持している一族の当代の長が答えた。
「ヌールが引っ叩いて起こしてる! やり過ぎて一回気絶させた! もう少し待て!」
「この状況で寝てたのかよ!?」
「知ってるだろ! そういう馬鹿なんだアレは!」
「ったく、なんであんな間抜けを頼らにゃならんのだか!」
「まったくだ!」
二人揃って苛立ち悪態をついたその直後、巨大な赤い刃が結界内に侵入しかけていた怪物を一刀両断にした。
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