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一章【災禍操るポンコツ娘】
からくり(2)
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それからすぐに、何が起きているのかいまいちわかっていない民衆の元へ近付いて行き、立ち止まるアイム達。
まずは国王であるナラカの口から説明を行う。その方が手っ取り早い。
「さて諸君! 決闘は流浪の英雄アイム・ユニティ殿と、こちらの可憐な少女の勝利にて終わった! 残念だが我等が第一大陸の英雄グレン・ハイエンド殿の負けだ!」
「ああ……」
「グレン様……」
大きな落胆の声が上がる。敗れたとはいえ、それでもグレンが多くの民に慕われている証。そもそも相手がアイム・ユニティでは仕方ないという見方も多数。二人がかりだったことも忘れてはならない。
「ふふ……」
本来、同様に慕われるべきこの地の王は嫉妬しなかった。どころか自らの言葉でさらに彼等を煽る。
「案ずるには及ばない! アイム殿はいずれまたやって来て、我等がグレン殿と再戦することを約束してくれた! それも近いうちに!」
「おい」
そんな約束はしていない。けれど民衆は信じ込んで盛り上がる。
「おおっ!?」
「また見られるのか!」
「それは楽しみだなあ、爺ちゃんも生きてるうちだといいが」
「わしゃ、あと二十年は生きる」
「しかあし!」
喜びに沸く彼等に向かい、いっそう声を張るナラカ。ここからが本題。十分に場を盛り上げて注目も集めた。いよいよニャーンを右手で示し、情報を公開する。
「英雄同士の再戦の前に、まずは彼女を紹介させてもらいたい! 先程、不思議な能力でアイム殿を援護したこの者の正体に興味を持った者は多いはず!」
「たしかに気になってた」
「いったい誰なんだ、あの娘……」
「本当に怪塵を操っていたのか?」
「そういう祝福? それとも呪いか何か?」
「なんだか恐ろしいな……」
「──まったく、余計なことまで言いおって」
アイムも前に出る。ニャーンの背を押して。
「ほれ、行くぞ」
「は、はい」
「それでは紹介しよう! 諸君には目撃者、そして証人になってもらいたい! 彼女の名はニャーン・アクラタカ! 最近海を渡って流れて来た噂の主役、第六大陸にて生まれた新たな異能者『怪塵を操る娘』その人だ!」
グレンが敗北した瞬間に匹敵するどよめき。
そして次々に向けられる恐怖と嫌悪の視線。
「ば、化け物……化け物じゃないか」
「呪われた娘よ!」
「まさか実在したなんて」
「アイム様、グレン様、早く退治してください!」
「そうよ、ワンガニを滅ぼされる前に!」
「……そうなりますよね」
数千の人々から浴びせかけられる怒号。想像以上の敵意と悪意。彼女の最も恐れていた光景。
それに怯んで、けれどニャーンは前に出る。アイムに叱咤されるよりも早く。
大きく息を吸い込み、精一杯声と想いを絞り出して叫ぶことにする。この喧噪の中でも一人一人の耳に届くように。
「大丈夫です! 私は、人を傷付けたりしません!」
「そういうことじゃ!」
アイムは地面を思いっ切り踏みつけた。ただ踏んだわけではない。この場の地形と地質から地下の構造を見透かし的確な一点に打撃を加えたのだ。
途端、地震が発生する。いや、それと誤解するほどの大きな揺れ。一度、二度と地面が波打つ。
「う、うわあああああああああああっ!?」
「アイム様がやったの!?」
「おやめください! た、立ってられない!」
「おっとっとっとっ『象勁』か、これも三十年ぶりに見た」
どうにか堪えて苦笑するドルカ。やはりあの方は恐ろしい。
環境を利用して多を制圧する。今の地震はアイムが編み出した独自の武術により人為的に引き起こされたものである。彼がその気になれば足踏み一つで「都」を崩壊させることさえ可能だろう。
そのアイムは、人々を見据えて警告を放つ。
「ワシの弟子が話しとるじゃろう! 黙って聞けい!」
「で、弟子? アイム様の?」
「じゃあ、災いではないのか……?」
「おい、静かにしろ。またお怒りになるぞ!」
誰かが言ったその一言でしんと静まり返る民衆。ニャーンはアイムに感謝しながら自分の口で語り始める。ビサックのところにいた時、彼等と共に実験して知った事実を。自身が世界を救いうる鍵だという真実を。
本人も半信半疑なのだが。
「み、皆さん、聞いて下さい! 実は私、この世から怪塵を無くせるかもしれないんです、全部! 綺麗さっぱり!」
両手を広げてジャンプする彼女に、人々は恐怖と嫌悪ではなく、奇異と好奇の目で注目した。
──そうしてニャーンがあることを実演してみせると、民衆のみならずグレンとナラカまで同様に固唾を飲んで言葉を失う。
「と、いうわけです!」
ニャーンの前には巨大なアイム像がある。狼の方の姿。さっき囮に使ったのと同じ造形。この場の怪塵を集積して形成した人形。はっきり言って不細工。狼というより豚。アイム本人はこめかみに青筋を浮かべて我慢している。
「ワシゃそんな風に見えとるんか……!」
だが問題は、稚拙な造形でもアイムの怒りでもない。集められた怪塵の量。
「怪物化しない……」
グレンは長年の経験から知っていた。あの量はとっくに怪物化していて然るべき量だと。なのにニャーンの能力で形作られた像は微動だにしない。事前にアイムから聞いていたが、目の当たりにするのは初めて。まさか本当にこんなことが起こるとは。
「皆、見ての通りだ」
補足を入れるナラカ。ニャーンは語彙が貧困で正確に情報を伝えにくい。だから手伝うことにした。
「わかりやすく言うと、彼女が怪塵を使って形成したものは怪物化しない。仕組みはまだ不明だが、怪物化しようとする力より、彼女の怪塵に対しての支配力が強いからではないかと推測できる。でしたなニャーン嬢?」
「あ、そうです。しはいりょく? のおかげで怪物にならないんです! ユニティがそう言ってました!」
「うむ」
頷くアイム。それを見た人々の中に光が灯る。見逃さず彼は続けた。
「正直、この効力がいつまで保つものかはわからん。それは今後さらに検証を重ねて解き明かしていくつもりじゃ。
だが、こやつの怪塵を操る力そのものにも注目して欲しい。この世界のあらゆる場所に拡散してしまった赤い塵、それだけを選り分けて集積できる力だ。ならば使い道は容易に思いつく。そう、怪物化しない程度の量を集めて密閉容器に封じてしまえばいい。容器はさらに一定の間隔を置いて隔離しながら地下なり洞窟なりに封じ込める。黄金時計の塔を上って星の海へと放逐してもいいだろう。空から来たものを空へ返すだけだ。
なんにせよ、これまでは不可能だった完全な無力化が可能となる。こやつの力があれば、時間はかかるだろうが怪塵を一掃してしまえるのだ! その事実をまず認めてもらいたい。そして広く伝えて欲しい、ニャーン・アクラタカの名を。ワシが、このアイム・ユニティが星の希望と信じる娘の名を!」
そこで急に口を閉ざす。人々の沈黙も続き、彼が発した一言は少しずつ彼等の脳と心に沁み込んでいく。
大英雄のお墨付き。とはいえ、千年間「怪塵」に苦しめられた人々の認識を塗り替えることは容易ではない。信じるべきか疑うべきか揺れ続ける。
すると、重い腰を上げてグレンまでもニャーンの隣に立った。そして宣言する。
「私もアイム・ユニティに賛同する。ニャーン・アクラタカを同胞の一人と認め、今後は全面的に協力するつもりだ!」
──それが決定打になった。西の防壁前に集まっていた人々は一斉に声を上げる。目を輝かせ、怪塵使いの少女を賛美する。
「ニャーン・アクラタカ! 怪塵を操る少女!」
「我等が救世主!」
「新たな英雄の誕生に立ち会えたぞ!」
「皆に報せろ! ここに来てない連中に、他の街や国の人達にも!」
「ついに怪塵に怯えなくて済む時代が来るんだ!!」
現金なものである。味方だとわかった途端にあっさり手の平を返した。やはりこの街の連中は好かんと苦虫を噛み潰すアイム。
けれどニャーンは嬉しそう。
「私が……英雄?」
大きな瞳からぽろぽろ涙が零れ落ちる。その背を叩く彼。
「……まだヒヨッコだ。だが、それらしく胸を張れ。ようやく認められたんじゃ、自分の力でな」
「はい……ありがとう。グレン様も、ありがとうございます」
「勘違いはするな」
グレンの眼差しは変わらない。鋭く冷徹な殺意を込めてニャーンを見つめる。
「アイムの意向に従ったまで。君が人類の敵になったなら、その時には容赦しない。俺のその方針は変わらない。だが──」
歩き出し、無防備に背中を晒して片手を上げる。
「俺も君の中に希望を見た。期待はさせてもらう、裏切るなよ」
「はいっ!」
その時、珍しいことが起きた。いつもは東から西に吹き続ける風が、急に方向を変えて西から東へと吹いたのだ。ほんの一瞬だったが、直後に無風の状態が訪れ、空から無数の花びらが舞い落ちて来る。
「え……?」
「おお、季節が変わったか」
見上げたニャーンの隣で落ちて来た白い花びらを抓み、喜ぶアイム。この地では季節の変わり目に何度か強い逆風が吹く。そして断崖の上の森から花びらを運び、ワンガニへと降り注がせる。
しかし今は、季節の交代でなくニャーンへの祝福のように思えた。彼女自身そんな風に感じたらしい。
「ありがとうございます、女神様……」
「……ハン」
彼女の祈りを嗤いつつ、アイムも心の内では育て親に感謝した。
まずは国王であるナラカの口から説明を行う。その方が手っ取り早い。
「さて諸君! 決闘は流浪の英雄アイム・ユニティ殿と、こちらの可憐な少女の勝利にて終わった! 残念だが我等が第一大陸の英雄グレン・ハイエンド殿の負けだ!」
「ああ……」
「グレン様……」
大きな落胆の声が上がる。敗れたとはいえ、それでもグレンが多くの民に慕われている証。そもそも相手がアイム・ユニティでは仕方ないという見方も多数。二人がかりだったことも忘れてはならない。
「ふふ……」
本来、同様に慕われるべきこの地の王は嫉妬しなかった。どころか自らの言葉でさらに彼等を煽る。
「案ずるには及ばない! アイム殿はいずれまたやって来て、我等がグレン殿と再戦することを約束してくれた! それも近いうちに!」
「おい」
そんな約束はしていない。けれど民衆は信じ込んで盛り上がる。
「おおっ!?」
「また見られるのか!」
「それは楽しみだなあ、爺ちゃんも生きてるうちだといいが」
「わしゃ、あと二十年は生きる」
「しかあし!」
喜びに沸く彼等に向かい、いっそう声を張るナラカ。ここからが本題。十分に場を盛り上げて注目も集めた。いよいよニャーンを右手で示し、情報を公開する。
「英雄同士の再戦の前に、まずは彼女を紹介させてもらいたい! 先程、不思議な能力でアイム殿を援護したこの者の正体に興味を持った者は多いはず!」
「たしかに気になってた」
「いったい誰なんだ、あの娘……」
「本当に怪塵を操っていたのか?」
「そういう祝福? それとも呪いか何か?」
「なんだか恐ろしいな……」
「──まったく、余計なことまで言いおって」
アイムも前に出る。ニャーンの背を押して。
「ほれ、行くぞ」
「は、はい」
「それでは紹介しよう! 諸君には目撃者、そして証人になってもらいたい! 彼女の名はニャーン・アクラタカ! 最近海を渡って流れて来た噂の主役、第六大陸にて生まれた新たな異能者『怪塵を操る娘』その人だ!」
グレンが敗北した瞬間に匹敵するどよめき。
そして次々に向けられる恐怖と嫌悪の視線。
「ば、化け物……化け物じゃないか」
「呪われた娘よ!」
「まさか実在したなんて」
「アイム様、グレン様、早く退治してください!」
「そうよ、ワンガニを滅ぼされる前に!」
「……そうなりますよね」
数千の人々から浴びせかけられる怒号。想像以上の敵意と悪意。彼女の最も恐れていた光景。
それに怯んで、けれどニャーンは前に出る。アイムに叱咤されるよりも早く。
大きく息を吸い込み、精一杯声と想いを絞り出して叫ぶことにする。この喧噪の中でも一人一人の耳に届くように。
「大丈夫です! 私は、人を傷付けたりしません!」
「そういうことじゃ!」
アイムは地面を思いっ切り踏みつけた。ただ踏んだわけではない。この場の地形と地質から地下の構造を見透かし的確な一点に打撃を加えたのだ。
途端、地震が発生する。いや、それと誤解するほどの大きな揺れ。一度、二度と地面が波打つ。
「う、うわあああああああああああっ!?」
「アイム様がやったの!?」
「おやめください! た、立ってられない!」
「おっとっとっとっ『象勁』か、これも三十年ぶりに見た」
どうにか堪えて苦笑するドルカ。やはりあの方は恐ろしい。
環境を利用して多を制圧する。今の地震はアイムが編み出した独自の武術により人為的に引き起こされたものである。彼がその気になれば足踏み一つで「都」を崩壊させることさえ可能だろう。
そのアイムは、人々を見据えて警告を放つ。
「ワシの弟子が話しとるじゃろう! 黙って聞けい!」
「で、弟子? アイム様の?」
「じゃあ、災いではないのか……?」
「おい、静かにしろ。またお怒りになるぞ!」
誰かが言ったその一言でしんと静まり返る民衆。ニャーンはアイムに感謝しながら自分の口で語り始める。ビサックのところにいた時、彼等と共に実験して知った事実を。自身が世界を救いうる鍵だという真実を。
本人も半信半疑なのだが。
「み、皆さん、聞いて下さい! 実は私、この世から怪塵を無くせるかもしれないんです、全部! 綺麗さっぱり!」
両手を広げてジャンプする彼女に、人々は恐怖と嫌悪ではなく、奇異と好奇の目で注目した。
──そうしてニャーンがあることを実演してみせると、民衆のみならずグレンとナラカまで同様に固唾を飲んで言葉を失う。
「と、いうわけです!」
ニャーンの前には巨大なアイム像がある。狼の方の姿。さっき囮に使ったのと同じ造形。この場の怪塵を集積して形成した人形。はっきり言って不細工。狼というより豚。アイム本人はこめかみに青筋を浮かべて我慢している。
「ワシゃそんな風に見えとるんか……!」
だが問題は、稚拙な造形でもアイムの怒りでもない。集められた怪塵の量。
「怪物化しない……」
グレンは長年の経験から知っていた。あの量はとっくに怪物化していて然るべき量だと。なのにニャーンの能力で形作られた像は微動だにしない。事前にアイムから聞いていたが、目の当たりにするのは初めて。まさか本当にこんなことが起こるとは。
「皆、見ての通りだ」
補足を入れるナラカ。ニャーンは語彙が貧困で正確に情報を伝えにくい。だから手伝うことにした。
「わかりやすく言うと、彼女が怪塵を使って形成したものは怪物化しない。仕組みはまだ不明だが、怪物化しようとする力より、彼女の怪塵に対しての支配力が強いからではないかと推測できる。でしたなニャーン嬢?」
「あ、そうです。しはいりょく? のおかげで怪物にならないんです! ユニティがそう言ってました!」
「うむ」
頷くアイム。それを見た人々の中に光が灯る。見逃さず彼は続けた。
「正直、この効力がいつまで保つものかはわからん。それは今後さらに検証を重ねて解き明かしていくつもりじゃ。
だが、こやつの怪塵を操る力そのものにも注目して欲しい。この世界のあらゆる場所に拡散してしまった赤い塵、それだけを選り分けて集積できる力だ。ならば使い道は容易に思いつく。そう、怪物化しない程度の量を集めて密閉容器に封じてしまえばいい。容器はさらに一定の間隔を置いて隔離しながら地下なり洞窟なりに封じ込める。黄金時計の塔を上って星の海へと放逐してもいいだろう。空から来たものを空へ返すだけだ。
なんにせよ、これまでは不可能だった完全な無力化が可能となる。こやつの力があれば、時間はかかるだろうが怪塵を一掃してしまえるのだ! その事実をまず認めてもらいたい。そして広く伝えて欲しい、ニャーン・アクラタカの名を。ワシが、このアイム・ユニティが星の希望と信じる娘の名を!」
そこで急に口を閉ざす。人々の沈黙も続き、彼が発した一言は少しずつ彼等の脳と心に沁み込んでいく。
大英雄のお墨付き。とはいえ、千年間「怪塵」に苦しめられた人々の認識を塗り替えることは容易ではない。信じるべきか疑うべきか揺れ続ける。
すると、重い腰を上げてグレンまでもニャーンの隣に立った。そして宣言する。
「私もアイム・ユニティに賛同する。ニャーン・アクラタカを同胞の一人と認め、今後は全面的に協力するつもりだ!」
──それが決定打になった。西の防壁前に集まっていた人々は一斉に声を上げる。目を輝かせ、怪塵使いの少女を賛美する。
「ニャーン・アクラタカ! 怪塵を操る少女!」
「我等が救世主!」
「新たな英雄の誕生に立ち会えたぞ!」
「皆に報せろ! ここに来てない連中に、他の街や国の人達にも!」
「ついに怪塵に怯えなくて済む時代が来るんだ!!」
現金なものである。味方だとわかった途端にあっさり手の平を返した。やはりこの街の連中は好かんと苦虫を噛み潰すアイム。
けれどニャーンは嬉しそう。
「私が……英雄?」
大きな瞳からぽろぽろ涙が零れ落ちる。その背を叩く彼。
「……まだヒヨッコだ。だが、それらしく胸を張れ。ようやく認められたんじゃ、自分の力でな」
「はい……ありがとう。グレン様も、ありがとうございます」
「勘違いはするな」
グレンの眼差しは変わらない。鋭く冷徹な殺意を込めてニャーンを見つめる。
「アイムの意向に従ったまで。君が人類の敵になったなら、その時には容赦しない。俺のその方針は変わらない。だが──」
歩き出し、無防備に背中を晒して片手を上げる。
「俺も君の中に希望を見た。期待はさせてもらう、裏切るなよ」
「はいっ!」
その時、珍しいことが起きた。いつもは東から西に吹き続ける風が、急に方向を変えて西から東へと吹いたのだ。ほんの一瞬だったが、直後に無風の状態が訪れ、空から無数の花びらが舞い落ちて来る。
「え……?」
「おお、季節が変わったか」
見上げたニャーンの隣で落ちて来た白い花びらを抓み、喜ぶアイム。この地では季節の変わり目に何度か強い逆風が吹く。そして断崖の上の森から花びらを運び、ワンガニへと降り注がせる。
しかし今は、季節の交代でなくニャーンへの祝福のように思えた。彼女自身そんな風に感じたらしい。
「ありがとうございます、女神様……」
「……ハン」
彼女の祈りを嗤いつつ、アイムも心の内では育て親に感謝した。
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