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四章・愚者の悲喜劇
砂漠の幻影(2)
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――少し時を遡り、地上へと続く道を歩いていた時のことである。アイズは久方ぶりに再会した同胞達に警告した。
「共に行動することになった以上、お前達にも教えておかねばならない。私とアリスは何者かに狙われている」
「何?」
「ユニ・オーリの手の者だと思うが、この半年で何度か襲撃を受けた。暗殺者の類に見えたが、奴等は特殊な装備を身に着けていて私の眼でもなかなかその姿を捉えられない」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能よ」
マジシャンの質問にアリスが代わりに答える。この分野に関してならアイズより彼女の方が詳しい。彼女自身ナルガルやクラリオで魔素を利用して何度か似たようなことをした。
「あいつらの鎧には魔素を溜めておく金属製の筒が付いている。そこから周囲に魔素を放出してアイズの視覚を誤魔化すのよ。魔素には眼神の視力をも遮る力がある。奴等の場合、遮るのでなく捻じ曲げるために使ってるみたい」
つまり透明化である。完璧な偽装ではないが普通の人間にとってもアイズにとっても、あの刺客達の姿は至近距離へ近付かれるまで認識が難しい。
「なるほど……そんなことが出来るとすりゃあ、錬金術師かそのユニって野郎でしょうね」
「しかも聖都の錬金術師達と三柱教は繋がっている」
「ますます教皇が怪しいわけか……」
「世間では歴代で最も優れた教皇なんて呼ばれているけどね」
アリスの言葉通り当代の教皇リリウムは人格・能力共に突出した傑物として知られている。カーネライズの起こしたあの戦争の前には数々の争いを調停し、食糧支援などの一時凌ぎだけでなく食糧生産率の向上を指導するなどして飢餓に対する根本的な解決を図り、犯罪の抑止にも積極的に取り組んでいた。
そして、その全てで確実に成果を上げた。他にも教育制度の確立や民を虐げ続けていた為政者の改心など多くの実績を残している。
極めつけがあの大戦で帝国軍が聖都の眼前まで迫って来た時のことだ。彼は固く門を閉ざして籠城すべきと説得する者達を一喝し、逆に聖都の門を開けて大量の難民を分け隔てなく受け入れた。さらに各国の軍の生き残りやまだ侵攻を受けていない国々の戦力を集結させ連合軍を結成。
そこへ、そんな彼の行いに報いるかのようなタイミングで降臨したのが天遣騎士団。彼等の登場によって彼の信仰の正しさが証明された。だから誰一人として全てが彼の計画通りだったとは思わない。リリウムは聖人にして英雄だと目されている。
「そんな人を敵に回すとなると、三柱教だけでなく各国の軍と戦うことも覚悟しておかねばなりませんね」
「人間相手にそこまで警戒しなくてもいいだろ。結局のところヤバイのはそのユニって野郎だけだ」
例え三柱教や各国の軍隊が敵に回ったとしても自分達には勝てない。帝国のように魔獣を運用するなら話は別だが、そんなことをすれば三柱教もまた人々からの信用を失うだろう。先の大戦による心の傷は深く、魔獣に対する恐怖と嫌悪の感情は民衆に深く根付いている。
しかし、アイズは「油断するな」と言って、もう一つ重要な情報を伝えた。
「もう人間だからといって侮ることは出来ないぞ。奴等は見えないだけでなく、力も我々天士に匹敵する」
「えっ?」
「いや、そんな馬鹿な」
ありえないと言いかけて口を噤むインパクト。アイズが冗談など言うはずは無いと思い出した。
「奴等の甲冑にはもう一つ特殊な機能が備わっている。膂力を常人の数倍まで引き上げられるようだ。お前達のような加護こそ無いが、だとしても単純な力比べなら負ける可能性があるぞ。この剣も――」
と、以前とは違う長剣を鞘ごと持ち上げ示すアイズ。実のところこれは身分を隠そうと思って替えたわけではない。ほとんど隠れて行動していたのだからその必要性は感じなかった。
しかし、以前刺客に襲われた時に元の剣は折られてしまった。
「奴等の一人が掴んでへし折ったんだ。知っての通り我々に支給された武器は特注品で極めて強度が高い。なのに握力だけで砕いた。奴等を普通の人間だと思わない方が良い。体内に麻薬らしき薬物も見えたからな、訓練を受けた上に投薬でさらに強化された者が錬金術の産物を身に着けている。極めて危険な敵だと認識しておいてくれ」
その言葉に、ノウブル以外の天士達はゴクリと唾を飲むのだった。
◇
「アイズ副ちょ……いや、アイズ様が強敵と言い切るほどの人間達か」
「出来れば会いたくないな」
走って砂漠を進みながら警戒を続ける天士達。彼等はもちろん天士となった時点で常人を遥かに上回る戦闘力を獲得している。だがアイズはそんな彼等の中にあっても別格だった。並び立てるのは団長ブレイブと同じ副長のノウブルのみ。そんな彼女が手強いと評価したなら、たしかに自分達にとっては大きな脅威だろう。
「聖都には遅くても明日着けるが、出来れば出くわさないといいな」
「いや、いっそ襲って来てくれた方が話が早い。これだけの戦力があれば返り討ちに出来るだろう。副長が二人とも揃ってるんだぜ、ぶちのめしてから黒幕が誰か吐かせんだよ」
「まあ、それも一つの手だが……」
インパクトの発言に控え目に同意してから後方を振り返るノウブル。少なくとも敵に出くわさなければいいというフルイドの願いは叶わなかった。
「来たぞ、後ろから何人か追いかけて来ている」
「なっ!? も、もうですか?」
まだ地上に出てから十分と経ってない。
「我々が尾行されていたのだろう」
敵もアイズとアリスを捕捉することには苦労しているはず。なのにこれだけ早く現れたということは、おそらくこっちを追跡されていた。アイズ達と合流した場合すぐに仕掛けられるように。
「なるほど、いるな」
アイズもようやく確認する。移動中なのが幸いした。天士の脚力に追い付くべく敵は例の特殊兵装を使っている。奴等の鎧は高圧の魔素を噴射して短距離の高速移動を可能とするのだ。それを連続して行いながら急速に距離を詰めて来る。
姿はハッキリ見えないが、しかし景色が歪んでいるところが複数ある。その足元では砂が吹き飛ばされて波立っていた。魔素の高圧噴射が原因。
砂漠に潜んだのはこれも理由である。ここなら奴等の接近に気が付きやすい。
だが、だとしてもノウブルに先んじられるとは――アイズとしては苦笑する以外に無い。
「まったく、相変わらず底知れん男だ」
「まだ正体は言うなよ。全てが終わってからだ」
「了解」
言葉を交わし反転するアイズとノウブル。部下達も後に続き、ウルジンのみそこに立ち止まって嘶いた。
「リリティア、そこにいろ!」
「う、うん!」
怯えながらも指示に従う少女。今の一言は彼女の中に潜むアリスに対しての警告でもある。彼女なら瞬く間に撃退できる相手だろうが、やり過ぎる可能性が高い。戦闘の中で興奮すると殺意が抑えられなくなるのだ。そんな姿をノウブル達に見せて同盟崩壊という事態は避けたい。
刺客達も発見された途端、魔素による迷彩を解除した。獣骨と思しき質感の素材で造られた軽装鎧を纏う一団。やはり以前襲って来た者達と同じ。人数は八人。アリスまで含めてもこちらより一人多い。
先頭の男が何か呟く。
「疾風よ」
「!」
突然、突風が吹いた。アイズにとっても初見の攻撃。その風は見えない刃と化し、進行方向にある物を全て切断した。
「共に行動することになった以上、お前達にも教えておかねばならない。私とアリスは何者かに狙われている」
「何?」
「ユニ・オーリの手の者だと思うが、この半年で何度か襲撃を受けた。暗殺者の類に見えたが、奴等は特殊な装備を身に着けていて私の眼でもなかなかその姿を捉えられない」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能よ」
マジシャンの質問にアリスが代わりに答える。この分野に関してならアイズより彼女の方が詳しい。彼女自身ナルガルやクラリオで魔素を利用して何度か似たようなことをした。
「あいつらの鎧には魔素を溜めておく金属製の筒が付いている。そこから周囲に魔素を放出してアイズの視覚を誤魔化すのよ。魔素には眼神の視力をも遮る力がある。奴等の場合、遮るのでなく捻じ曲げるために使ってるみたい」
つまり透明化である。完璧な偽装ではないが普通の人間にとってもアイズにとっても、あの刺客達の姿は至近距離へ近付かれるまで認識が難しい。
「なるほど……そんなことが出来るとすりゃあ、錬金術師かそのユニって野郎でしょうね」
「しかも聖都の錬金術師達と三柱教は繋がっている」
「ますます教皇が怪しいわけか……」
「世間では歴代で最も優れた教皇なんて呼ばれているけどね」
アリスの言葉通り当代の教皇リリウムは人格・能力共に突出した傑物として知られている。カーネライズの起こしたあの戦争の前には数々の争いを調停し、食糧支援などの一時凌ぎだけでなく食糧生産率の向上を指導するなどして飢餓に対する根本的な解決を図り、犯罪の抑止にも積極的に取り組んでいた。
そして、その全てで確実に成果を上げた。他にも教育制度の確立や民を虐げ続けていた為政者の改心など多くの実績を残している。
極めつけがあの大戦で帝国軍が聖都の眼前まで迫って来た時のことだ。彼は固く門を閉ざして籠城すべきと説得する者達を一喝し、逆に聖都の門を開けて大量の難民を分け隔てなく受け入れた。さらに各国の軍の生き残りやまだ侵攻を受けていない国々の戦力を集結させ連合軍を結成。
そこへ、そんな彼の行いに報いるかのようなタイミングで降臨したのが天遣騎士団。彼等の登場によって彼の信仰の正しさが証明された。だから誰一人として全てが彼の計画通りだったとは思わない。リリウムは聖人にして英雄だと目されている。
「そんな人を敵に回すとなると、三柱教だけでなく各国の軍と戦うことも覚悟しておかねばなりませんね」
「人間相手にそこまで警戒しなくてもいいだろ。結局のところヤバイのはそのユニって野郎だけだ」
例え三柱教や各国の軍隊が敵に回ったとしても自分達には勝てない。帝国のように魔獣を運用するなら話は別だが、そんなことをすれば三柱教もまた人々からの信用を失うだろう。先の大戦による心の傷は深く、魔獣に対する恐怖と嫌悪の感情は民衆に深く根付いている。
しかし、アイズは「油断するな」と言って、もう一つ重要な情報を伝えた。
「もう人間だからといって侮ることは出来ないぞ。奴等は見えないだけでなく、力も我々天士に匹敵する」
「えっ?」
「いや、そんな馬鹿な」
ありえないと言いかけて口を噤むインパクト。アイズが冗談など言うはずは無いと思い出した。
「奴等の甲冑にはもう一つ特殊な機能が備わっている。膂力を常人の数倍まで引き上げられるようだ。お前達のような加護こそ無いが、だとしても単純な力比べなら負ける可能性があるぞ。この剣も――」
と、以前とは違う長剣を鞘ごと持ち上げ示すアイズ。実のところこれは身分を隠そうと思って替えたわけではない。ほとんど隠れて行動していたのだからその必要性は感じなかった。
しかし、以前刺客に襲われた時に元の剣は折られてしまった。
「奴等の一人が掴んでへし折ったんだ。知っての通り我々に支給された武器は特注品で極めて強度が高い。なのに握力だけで砕いた。奴等を普通の人間だと思わない方が良い。体内に麻薬らしき薬物も見えたからな、訓練を受けた上に投薬でさらに強化された者が錬金術の産物を身に着けている。極めて危険な敵だと認識しておいてくれ」
その言葉に、ノウブル以外の天士達はゴクリと唾を飲むのだった。
◇
「アイズ副ちょ……いや、アイズ様が強敵と言い切るほどの人間達か」
「出来れば会いたくないな」
走って砂漠を進みながら警戒を続ける天士達。彼等はもちろん天士となった時点で常人を遥かに上回る戦闘力を獲得している。だがアイズはそんな彼等の中にあっても別格だった。並び立てるのは団長ブレイブと同じ副長のノウブルのみ。そんな彼女が手強いと評価したなら、たしかに自分達にとっては大きな脅威だろう。
「聖都には遅くても明日着けるが、出来れば出くわさないといいな」
「いや、いっそ襲って来てくれた方が話が早い。これだけの戦力があれば返り討ちに出来るだろう。副長が二人とも揃ってるんだぜ、ぶちのめしてから黒幕が誰か吐かせんだよ」
「まあ、それも一つの手だが……」
インパクトの発言に控え目に同意してから後方を振り返るノウブル。少なくとも敵に出くわさなければいいというフルイドの願いは叶わなかった。
「来たぞ、後ろから何人か追いかけて来ている」
「なっ!? も、もうですか?」
まだ地上に出てから十分と経ってない。
「我々が尾行されていたのだろう」
敵もアイズとアリスを捕捉することには苦労しているはず。なのにこれだけ早く現れたということは、おそらくこっちを追跡されていた。アイズ達と合流した場合すぐに仕掛けられるように。
「なるほど、いるな」
アイズもようやく確認する。移動中なのが幸いした。天士の脚力に追い付くべく敵は例の特殊兵装を使っている。奴等の鎧は高圧の魔素を噴射して短距離の高速移動を可能とするのだ。それを連続して行いながら急速に距離を詰めて来る。
姿はハッキリ見えないが、しかし景色が歪んでいるところが複数ある。その足元では砂が吹き飛ばされて波立っていた。魔素の高圧噴射が原因。
砂漠に潜んだのはこれも理由である。ここなら奴等の接近に気が付きやすい。
だが、だとしてもノウブルに先んじられるとは――アイズとしては苦笑する以外に無い。
「まったく、相変わらず底知れん男だ」
「まだ正体は言うなよ。全てが終わってからだ」
「了解」
言葉を交わし反転するアイズとノウブル。部下達も後に続き、ウルジンのみそこに立ち止まって嘶いた。
「リリティア、そこにいろ!」
「う、うん!」
怯えながらも指示に従う少女。今の一言は彼女の中に潜むアリスに対しての警告でもある。彼女なら瞬く間に撃退できる相手だろうが、やり過ぎる可能性が高い。戦闘の中で興奮すると殺意が抑えられなくなるのだ。そんな姿をノウブル達に見せて同盟崩壊という事態は避けたい。
刺客達も発見された途端、魔素による迷彩を解除した。獣骨と思しき質感の素材で造られた軽装鎧を纏う一団。やはり以前襲って来た者達と同じ。人数は八人。アリスまで含めてもこちらより一人多い。
先頭の男が何か呟く。
「疾風よ」
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