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三章・長い夜へ
別れ(2)
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耳元でシャキシャキと心地良い音が鳴っている。繰り返し、繰り返し。
いつも散髪してもらっていた部屋で、今また髪を切られている。鏡の前で簡素な木の椅子に座り、切り落とした髪が服につかぬよう布をかけられ、静かな一時を過ごす。
アイズは鏡越しに、後ろに立つエアーズを見つめた。団員達の中でも特に見慣れた柔和な風貌の青年。いつもなら作業中はなるべく話しかけない。けれど今日は珍しく声をかけてみる。
「上機嫌だな」
「ええ、楽しいので」
「他人の髪を切るのが好きなのか?」
「他人ではなく、副長の髪を切らせていただくのが好きなのです」
「そうか」
悪い気はしない。彼女もまたエアーズに髪を触らせていると妙に落ち着く。
すると初めて、何故なのかと疑問を抱いた。
答えはすぐに見つかる。
「エアーズ」
「はい?」
「私は、お前のことが好きだ」
ジャキン。嫌に大きな音が響く。
「おい、失敗したんじゃないだろうな?」
「すいません、少しばかり……」
「おかしなことになっていないか?」
「大丈夫です、この程度なら挽回できます。というか驚かさないでください」
「すまん」
たしかに今のは不用意な発言だった。
でも、残された時間は少ない。
「……これで最後なんだな」
「はい」
城は崩れた。この部屋だって、もう残っていないはず。だからここは現実ではない。夢か、さもなくばそれに近い何か。アルトルやノーラと対話したのと同じ精神世界かもしれない。
あの惨劇こそ夢なら良かったのに。そう思っても、彼女の眼は真実を見抜いてしまう。自分達はもう死んでいる。ここが終着点で、そして次の生への始まりの場所だと。
悲しい。自分が死んだ後、何が起きたのかわからないが、エアーズまで死んでしまった。そしてもうすぐ、この散髪が終われば二度と会えなくなる。
ようやく彼への好意を自覚したのに。
「どうして……お前達は簡単には死なないとアルトルに聞いた。何故死んだ?」
「理由は教えられません。教えたら副長はきっと怒ります」
「怒られるようなことをしたのか」
「おそらく」
「だったら言わなくていい。最後にまで叱りたくない」
ノーラの記憶が教えてくれる。髪は女の命だと。だから彼にしか切らせたくなかった。兄以外で唯一、心を許せた異性だから。アイリスを追跡して共に行動するうちに、そうなってしまっていたのだ。
エアーズは、またハサミを動かし始める。ただし、ゆっくり。
「もう言う機会が無いので告白しますが、私も副長が好きです。女性として」
「そうだったのか」
「もっと早くに言っておけば良かったと後悔しています」
「その通りだな」
互いに生きてるうちに知りたかった。そうしたら、もっと色々なことができた。この瞬間だって恋人として会話できた。
「私はな、元々人間だったんだ」
「そうらしいですね」
「お前もだぞ。元の自分を知りたいか?」
――彼はあの戦争の直前、帝国にいた。隣接する共和国から送り込まれた密偵だったのだ。前任者が連絡を断ち、そのまま失踪してしまったため代わりにナルガルでの調査を行い、魔獣の脅威を突き止めた。
すぐに情報を伝えようとしたが、一度囚われの身に。危うく魔獣の餌にされかけたものの、なんとか脱出して祖国へ。でも、その時にはもう手遅れ。故郷は帝国軍の侵攻を受け壊滅した後だった。すぐに帰れなかったことが原因で十数万の人命が喪われた。
アルトルが奪ったその瞬間の彼の記憶は、あまりに苦くて痛々しい。
それでも彼は、せめて他国に警告をと考えて奔走した。けれど、やはり間に合わなかったり耳を貸してもらえなかったりで一度も正しく情報が伝わらずに終わる。
だからだろう。最終的に流れ着いたオルトランドのあの地下施設で、天士となって発現した力が『声』を届ける能力だったのは。強く欲したからこそ、それを与えられた。
エアーズは鏡越しに頭を振る。彼にとっても残された時間は少ない。
「興味はありますが、それより副長の話を聞きたいです」
「そうか、ならノーラのことを話そう」
「いえ、副長の話をです」
ああ、そうか。気が付いて照れるアイズ。彼はノーラを愛してくれたわけではない。今の自分を好きになってくれた。ならアイズとして応じなければ。
「と言っても、お前はだいたい私と一緒にいたからな……知らないことなどあるのか?」
「そうなんですよね……」
「よし、お前のことがどのくらい好きかを語る。それなら、まだ知らないだろう」
「待ってください。また手元が狂いますよ」
「構わん。よく考えたら現実での髪型には影響しない。そもそも死んでいるんだ、いくらでも失敗していい。では行くぞ。まず、お前のその声が好きだ。優しくて心が落ち着く」
「でしたら私も、副長のその凛とした声にいつも聞き惚れてしまいます」
「顔も好きだぞ、印象が柔らかい」
「副長は美人です。知る限りでは一番」
「性格もいいな。私はどうも、お前のように大人しい男が好みなようだ。ノーラもそうだったから影響を受けたのかもしれない」
「すみません。私は最初、副長が怖かったです」
「何?」
「以前の貴女は放っておいたら何をするかわからない危うさがありました。だから、団長に頼んで補佐にしてもらったんです」
「そうだったのか……」
「でも、そのうちに理解しました。ただ懸命なだけだと」
「……」
「任務に忠実で、自他に公平に厳しく、そして本当はとてもお優しい。けれど、心が幼くてそんな自分の美点を理解できていないし、だからこそ他人にも上手く伝わらない」
もどかしくて悲しく、支えたくなった。
「私が間に入ることで、少しでも貴女の本音を周囲に伝えられればと思った。本当の貴女をもっと多くの人に知ってもらいたかった」
「馬鹿者」
結局、叱ってしまった。誰もそんなことは頼んでいない。
「私の言葉を他人に伝えるより、自分の言葉を私に伝えるべきだっただろう。どうしてお前は自分でなく他人を優先するんだ」
「副長を優先したのです。貴女の幸せが、私の幸せだった」
エアーズはハサミを止めた。櫛で梳いて綺麗に整え、身体にかけていた布を取り払い、きちんと畳んで横に置いてから改めて鏡越しにアイズを見つめる。
彼女は泣いていた。初めて見る泣き顔。申し訳ないのに嬉しい。自分のために泣いてもらえたし、成長をこの目で確かめることもできた。
思い残すことは無い。
もちろん嘘だ。
生きていたい。彼女と結ばれたい。想いが通じ合ったのだから、今までよりもずっと近い距離で支えて見守ることができる。
そのはずなのだ、生きてさえいれば。あの場所に戻ることができれば。
でも、もう自分は旅立つ。これは神様がくれた最後の機会。どうしても伝えたかった言葉を伝え、願いは叶えられた。だから行かなければ。約束を果たすために。
ああ、けれどやっぱり、もう一つだけ。前に回り込んで屈み込み、泣いている彼女の額に口付けした。唇は、いつか彼女が出会う別の誰かに譲る。
「幸せにしてあげてください」
自分にはもうできない。だから彼女の未来の伴侶と、そして彼女自身のために祈る。
「さあ、リリティアが待っています。貴女はあの場所へ戻らなければ」
「えっ……?」
「もう一度、彼女と話し合って下さい。あんな別れ方は、あまりに悲しすぎる。どちらかが死ぬにしたって、もっと別の形を模索すべきです。笑顔で見送り、見送られるような。貴女にならきっとできます。彼女の心を救う方法を探し、自分自身も幸せにしてあげてください」
額と額で触れ合う。息がかかるほど近い距離で囁く。
「アイズ、愛しています。貴女のおかげで幸せな人生を歩めました。そんな天士が一人いたことを忘れないで。貴女はとても素晴らしい人です」
「……」
エアーズは微笑みかけ、アイズは両手を伸ばす。
彼の頬に触れて、引き寄せ、唇を重ねたい。
どこにも行かせたくない。
けれど突然足下が崩れた。世界が崩壊し始めている。エアーズも末端から光の粒になって消えていく。
「エアーズ!」
落ちていく。ゆっくりと落ちて行きながら必死に手を伸ばす。
これが自分の運命なのか? アルトルもノーラも、そして自分も、けっして愛する男とは結ばれない。そう定められているかのように。
胸が痛い。アリスに貫かれた心臓から真っ黒な血が溢れ出す。それがまた彼女の全身を黒く染め始めた。
憎い、こんな運命を押し付ける何者かが憎くてたまらない。
でも――
【アイズ! お願い、目を覚まして!】
少女の声が聴こえた。エアーズの力によって届けられた。その一声が光となって胸に宿り、溢れ出した黒い血を吹き飛ばす。温かい輝きで彼女の中を満たす。
「最後の最後まで、他人のためか……」
自分の声を届けたら良かったのに。それでもきっと憎しみは晴れた。なのに彼はアリスのために機会を譲った。
「お前は、そういうやつだからな……」
落下を続ける。もう抵抗はしない。彼が願った通りにしよう。またあの少女との対話を試みたい。二人で力を合わせれば別の解決策が見つかるかもしれない。
もう一度だけ見上げる。彼の姿は見えない。だとしても、きっと届く。
「ありがとう……私も愛している。いつまでもずっと、お前を想う」
そして笑った。笑顔で彼を見送りたくて、ぎこちなく微笑む。
声は聴こえない。でも喜んでくれている。そう感じた。
それが、彼女の初恋の結末だった。
いつも散髪してもらっていた部屋で、今また髪を切られている。鏡の前で簡素な木の椅子に座り、切り落とした髪が服につかぬよう布をかけられ、静かな一時を過ごす。
アイズは鏡越しに、後ろに立つエアーズを見つめた。団員達の中でも特に見慣れた柔和な風貌の青年。いつもなら作業中はなるべく話しかけない。けれど今日は珍しく声をかけてみる。
「上機嫌だな」
「ええ、楽しいので」
「他人の髪を切るのが好きなのか?」
「他人ではなく、副長の髪を切らせていただくのが好きなのです」
「そうか」
悪い気はしない。彼女もまたエアーズに髪を触らせていると妙に落ち着く。
すると初めて、何故なのかと疑問を抱いた。
答えはすぐに見つかる。
「エアーズ」
「はい?」
「私は、お前のことが好きだ」
ジャキン。嫌に大きな音が響く。
「おい、失敗したんじゃないだろうな?」
「すいません、少しばかり……」
「おかしなことになっていないか?」
「大丈夫です、この程度なら挽回できます。というか驚かさないでください」
「すまん」
たしかに今のは不用意な発言だった。
でも、残された時間は少ない。
「……これで最後なんだな」
「はい」
城は崩れた。この部屋だって、もう残っていないはず。だからここは現実ではない。夢か、さもなくばそれに近い何か。アルトルやノーラと対話したのと同じ精神世界かもしれない。
あの惨劇こそ夢なら良かったのに。そう思っても、彼女の眼は真実を見抜いてしまう。自分達はもう死んでいる。ここが終着点で、そして次の生への始まりの場所だと。
悲しい。自分が死んだ後、何が起きたのかわからないが、エアーズまで死んでしまった。そしてもうすぐ、この散髪が終われば二度と会えなくなる。
ようやく彼への好意を自覚したのに。
「どうして……お前達は簡単には死なないとアルトルに聞いた。何故死んだ?」
「理由は教えられません。教えたら副長はきっと怒ります」
「怒られるようなことをしたのか」
「おそらく」
「だったら言わなくていい。最後にまで叱りたくない」
ノーラの記憶が教えてくれる。髪は女の命だと。だから彼にしか切らせたくなかった。兄以外で唯一、心を許せた異性だから。アイリスを追跡して共に行動するうちに、そうなってしまっていたのだ。
エアーズは、またハサミを動かし始める。ただし、ゆっくり。
「もう言う機会が無いので告白しますが、私も副長が好きです。女性として」
「そうだったのか」
「もっと早くに言っておけば良かったと後悔しています」
「その通りだな」
互いに生きてるうちに知りたかった。そうしたら、もっと色々なことができた。この瞬間だって恋人として会話できた。
「私はな、元々人間だったんだ」
「そうらしいですね」
「お前もだぞ。元の自分を知りたいか?」
――彼はあの戦争の直前、帝国にいた。隣接する共和国から送り込まれた密偵だったのだ。前任者が連絡を断ち、そのまま失踪してしまったため代わりにナルガルでの調査を行い、魔獣の脅威を突き止めた。
すぐに情報を伝えようとしたが、一度囚われの身に。危うく魔獣の餌にされかけたものの、なんとか脱出して祖国へ。でも、その時にはもう手遅れ。故郷は帝国軍の侵攻を受け壊滅した後だった。すぐに帰れなかったことが原因で十数万の人命が喪われた。
アルトルが奪ったその瞬間の彼の記憶は、あまりに苦くて痛々しい。
それでも彼は、せめて他国に警告をと考えて奔走した。けれど、やはり間に合わなかったり耳を貸してもらえなかったりで一度も正しく情報が伝わらずに終わる。
だからだろう。最終的に流れ着いたオルトランドのあの地下施設で、天士となって発現した力が『声』を届ける能力だったのは。強く欲したからこそ、それを与えられた。
エアーズは鏡越しに頭を振る。彼にとっても残された時間は少ない。
「興味はありますが、それより副長の話を聞きたいです」
「そうか、ならノーラのことを話そう」
「いえ、副長の話をです」
ああ、そうか。気が付いて照れるアイズ。彼はノーラを愛してくれたわけではない。今の自分を好きになってくれた。ならアイズとして応じなければ。
「と言っても、お前はだいたい私と一緒にいたからな……知らないことなどあるのか?」
「そうなんですよね……」
「よし、お前のことがどのくらい好きかを語る。それなら、まだ知らないだろう」
「待ってください。また手元が狂いますよ」
「構わん。よく考えたら現実での髪型には影響しない。そもそも死んでいるんだ、いくらでも失敗していい。では行くぞ。まず、お前のその声が好きだ。優しくて心が落ち着く」
「でしたら私も、副長のその凛とした声にいつも聞き惚れてしまいます」
「顔も好きだぞ、印象が柔らかい」
「副長は美人です。知る限りでは一番」
「性格もいいな。私はどうも、お前のように大人しい男が好みなようだ。ノーラもそうだったから影響を受けたのかもしれない」
「すみません。私は最初、副長が怖かったです」
「何?」
「以前の貴女は放っておいたら何をするかわからない危うさがありました。だから、団長に頼んで補佐にしてもらったんです」
「そうだったのか……」
「でも、そのうちに理解しました。ただ懸命なだけだと」
「……」
「任務に忠実で、自他に公平に厳しく、そして本当はとてもお優しい。けれど、心が幼くてそんな自分の美点を理解できていないし、だからこそ他人にも上手く伝わらない」
もどかしくて悲しく、支えたくなった。
「私が間に入ることで、少しでも貴女の本音を周囲に伝えられればと思った。本当の貴女をもっと多くの人に知ってもらいたかった」
「馬鹿者」
結局、叱ってしまった。誰もそんなことは頼んでいない。
「私の言葉を他人に伝えるより、自分の言葉を私に伝えるべきだっただろう。どうしてお前は自分でなく他人を優先するんだ」
「副長を優先したのです。貴女の幸せが、私の幸せだった」
エアーズはハサミを止めた。櫛で梳いて綺麗に整え、身体にかけていた布を取り払い、きちんと畳んで横に置いてから改めて鏡越しにアイズを見つめる。
彼女は泣いていた。初めて見る泣き顔。申し訳ないのに嬉しい。自分のために泣いてもらえたし、成長をこの目で確かめることもできた。
思い残すことは無い。
もちろん嘘だ。
生きていたい。彼女と結ばれたい。想いが通じ合ったのだから、今までよりもずっと近い距離で支えて見守ることができる。
そのはずなのだ、生きてさえいれば。あの場所に戻ることができれば。
でも、もう自分は旅立つ。これは神様がくれた最後の機会。どうしても伝えたかった言葉を伝え、願いは叶えられた。だから行かなければ。約束を果たすために。
ああ、けれどやっぱり、もう一つだけ。前に回り込んで屈み込み、泣いている彼女の額に口付けした。唇は、いつか彼女が出会う別の誰かに譲る。
「幸せにしてあげてください」
自分にはもうできない。だから彼女の未来の伴侶と、そして彼女自身のために祈る。
「さあ、リリティアが待っています。貴女はあの場所へ戻らなければ」
「えっ……?」
「もう一度、彼女と話し合って下さい。あんな別れ方は、あまりに悲しすぎる。どちらかが死ぬにしたって、もっと別の形を模索すべきです。笑顔で見送り、見送られるような。貴女にならきっとできます。彼女の心を救う方法を探し、自分自身も幸せにしてあげてください」
額と額で触れ合う。息がかかるほど近い距離で囁く。
「アイズ、愛しています。貴女のおかげで幸せな人生を歩めました。そんな天士が一人いたことを忘れないで。貴女はとても素晴らしい人です」
「……」
エアーズは微笑みかけ、アイズは両手を伸ばす。
彼の頬に触れて、引き寄せ、唇を重ねたい。
どこにも行かせたくない。
けれど突然足下が崩れた。世界が崩壊し始めている。エアーズも末端から光の粒になって消えていく。
「エアーズ!」
落ちていく。ゆっくりと落ちて行きながら必死に手を伸ばす。
これが自分の運命なのか? アルトルもノーラも、そして自分も、けっして愛する男とは結ばれない。そう定められているかのように。
胸が痛い。アリスに貫かれた心臓から真っ黒な血が溢れ出す。それがまた彼女の全身を黒く染め始めた。
憎い、こんな運命を押し付ける何者かが憎くてたまらない。
でも――
【アイズ! お願い、目を覚まして!】
少女の声が聴こえた。エアーズの力によって届けられた。その一声が光となって胸に宿り、溢れ出した黒い血を吹き飛ばす。温かい輝きで彼女の中を満たす。
「最後の最後まで、他人のためか……」
自分の声を届けたら良かったのに。それでもきっと憎しみは晴れた。なのに彼はアリスのために機会を譲った。
「お前は、そういうやつだからな……」
落下を続ける。もう抵抗はしない。彼が願った通りにしよう。またあの少女との対話を試みたい。二人で力を合わせれば別の解決策が見つかるかもしれない。
もう一度だけ見上げる。彼の姿は見えない。だとしても、きっと届く。
「ありがとう……私も愛している。いつまでもずっと、お前を想う」
そして笑った。笑顔で彼を見送りたくて、ぎこちなく微笑む。
声は聴こえない。でも喜んでくれている。そう感じた。
それが、彼女の初恋の結末だった。
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