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第二部
世界観・用語解説
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というわけで、第二部で追加公開された設定について解説いたしましょう。なお前回の世界観・用語解説にてご説明した部分については、今回は割愛させていただきます。
また、当然ながらこちらにも第二部のネタバレが多分に含まれますので併せてご了承ください。
・北日本王国
前回の解説でも多少ご説明いたしましたが、東北六県を一つの国として再編した国家です。一時は失われたと思われていた皇室の代わりに心の拠り所となる存在を求めた人々が自分達を救ってくれた英雄・伊東 旭様を王として祭り上げ、その結果として建国されました。当初は宮城県仙台市の地下にあった地下都市が王都だったのですが、建国から七〇年ほど経った頃、三代目の王が統治していた時代に巨大地震が起きて半分が崩落してきた土砂に埋まり、遷都を余儀なくされました。
その後、最も保全状態が良かった秋田に王都を移し、福島は南日本の侵攻や関東に潜む怪物シルバーホーンの襲来に備えた防衛拠点に改装。仙台は補給のための中継地点としてのみ使われるようになり、秋田、山形、盛岡、弘前の四都市が人々の主な生活拠点となりました。前回も書いたように、西暦二三〇〇年現在の総人口は一八万人。魔素の研究が進み記憶災害に対する予防策や対策が進歩した今でもまだ死亡率は高く、爆発的な増加は起こっていません。
また、毎日の食事は配給制となっており、王ですら贅沢はできません。この食糧事情もまた人口が急激に増えない一因となっています。
・地下都市
最も浅い天井部分でも地上から七〇〇mの深さになるよう設計された超巨大シェルターです。各都道府県の人口によって内部の容積や地下都市の数そのものに差異が付けられており、東京では秋田のそれより大型の地下都市が全部で四つ建設されました。秋田のものは直径が五kmほどの円筒形の空間になっており、限られたスペースを有効活用するため住宅や商業施設の大半はピラーと呼ばれる天井を支える巨大な柱の内部に設けられていました。伊東 旭様もそんな集合住宅の一室に家族四人で二年間暮らしていたのですが、お母様が心臓の病を患っていたこともあり、移動の楽な低層階に割り当てられたそうです。
地熱・地下水脈を利用した発電システム。地上から光ファイバーと鏡を使って太陽光を取り入れる採光システム。仮に電力が停止してもある程度なら空気の入れ替えが可能な自然循環システム等、当時の最先端技術を結集したインフラが施されていましたが、電力が使えなくなった今は半分以上が稼働を停止しています。
ただ、上記にもあるように停電時を想定した生命維持システムが存在していたおかげで今も人々はこの地下都市で暮らせています。長い時間をかけて少しずつ改良も施して来たため、ごく普通に生活する分には問題ありません。不必要な建物を取り壊して農地の面積を広げており、食糧の生産もなんとか国民を飢えさせない程度には行えています。
とはいえそれも長くはないでしょう。全ての地下都市はすでに設計時に想定されていた耐用年数から一〇〇年もの歳月を超過しており、刻一刻と限界が近付いているというのが実情です。また、緩やかではありますが人口も増え続けてはいるので、やがて地下での食料生産速度ではどうやっても追いつかない時代がやって来るでしょう。それは遠い未来ではないと目されています。
・職業選択の不自由
伊東 旭様の時代もそうだったのですが、現在の北日本王国に職業選択の自由はありません。基礎教育は小学校の六年間で終わらせてしまい、その間に各自の適正を診断して、中学校では最も適した職業の技能と知識を学ぶ学科へと振り分けられる。それが今の王国の教育の仕組みです。進路は生まれ持った才能によってのみ決められるもので、これを否定する権利は誰にも与えられていません。
ただ、例外的に突出したなんらかの才能が認められた場合には高校への進学や、その才能を活かすための専門的な指導を受けることが許されます。王族の一員である開明様はこの制度によって高校に進んだ一人ですね。高校に進学した人間の大半は国会議員を目指すと言われています。もっとも非常に狭き門ですので、それとは別にまずは研究職や議員秘書といった職業に就く場合が多いようですが。
専門的な指導というのは、たとえば歌舞伎・能楽など未来のために残しておくべき芸術を継ぐための修行ということです。ほとんどは芸能にまつわるものなのですが、稀に武術の継承者として選ばれることもあります。現女王陛下や甥の剣照様はこれに該当し、少年期の終わりを剣術の修行に費やしました。
また本業に関しては誰にも選ぶ権利が与えられていませんが、副業はその限りではなく、多くの国民が国から与えられた義務としての職業の他に別の仕事もしています。食糧が配給制のため、これは生計を立てるためではなく純粋に気晴らしのためです。国民の中には一生を地下で過ごすことになる方も多く、そんな人々のストレスを軽減するための政策の一環としてある程度の商業活動が認められているのです。
特に人気があるのは小説・漫画等の創作を行う職業。テレビもラジオもインターネットもありませんから、皆さん娯楽に飢えているのです。これらに使う紙やインクなどの消耗品を作る職人も重宝されています。音楽家、劇役者、講談師、それにアクセサリーなどの小物の販売も盛況です。
・通貨
本編ではアサヒ様が自由に出歩けない身なので結局使われなかった設定なのですが、北日本王国での商取引には旧時代の硬貨が用いられています。二五〇年も経っているため流石に紙幣はほとんど現存しておらず、かといって新たに作るのも難しいことから自然とコインが利用されるようになりました。
商品の価値は製作者の気分次第なので相場は有って無いようなものなのですが、たとえばかつては月給三ヶ月分が定番だと言われていた婚約指輪。人気の職人さんが手掛けたリングを購入するのに必要な額は一五〇〇円だそうです。つまり現代では五〇〇円玉三枚分となります。
ちなみに先ほど小説や漫画は大人気だと申し上げましたが、紙の本はやはりそれなりに製造コストがかかるため、新刊は市場に流通しません。三〇冊ほど刷ったらそれを各地下都市の図書館に配布する決まりです。作家にはこの時、一定額の報酬が支払われます。
とはいえ図書館のスペースも無限ではありませんから、古い本から順次市場に放出され古書として出回るようになります。もちろんこの価値は非常に高く、中には五〇〇〇円以上の値段で取引されている本もあるのだとか。貴金属の指輪よりも高いのです。
実は、朱璃様の率いる星海班には人気作家がいらっしゃいます。大人から子供まで楽しめる痛快な内容の冒険小説を執筆されており、彼が調査官だと知っている方々は任務で命を落としてしまわないことを切に願っているそうです。
・衣類
第一部では基本のスキンスーツ以外ほとんど登場しませんでしたが、あれは地上での活動における動きやすさを優先したもので、形にも色にもある程度の融通が利きます。アサヒ様はスキンスーツの快適さに慣れてしまったため結局余計なものは付け足さないようにしたようですが、部分的に布地を厚くするなどして見た目の恥ずかしさは緩和されました。
また、布同士が擦れ合って静電気を発生させる危険を鑑み、フレームを仕込んで傘のような構造にするなどの工夫は必要になりますが、スカートもちゃんと存在しています。アサヒ様の侍女を務めている小畑 小鳥様もそのようにして作られたメイド服を着用しておられますね。私のものとはだいぶ異なるデザインですが、あれもなかなかに可愛らしいので今度マスターに作っていただけるよう頼んでみましょう。
ウエディングドレスのような細かい造形が必要なものも作ることは可能です。ただ、やはりコストも手間も旧時代のドレス以上に必要なようで、一般市民の場合は貸衣装屋からサイズの合ったものを借りるのが定番のようです。流石に王族は毎回新しく作っておられるそうですが。
・MWシリーズ
朱璃様が開発された“疑似魔法の効果を増幅する”銃器の総称です。MWとはマジック・ワンド、つまり魔法の杖の略ですね。
前回の解説でも少しばかり触れましたが、炎、水、冷却、鉱物への干渉といったいくつかの種類の魔法にターゲットを絞り、それらの効果を増幅することが可能な触媒を銃器の中に仕込んであります。どの触媒の効果が高くなるかなどは地道な調査・収集活動と実験の繰り返しによって突き止めたそうです。天才的な頭脳があっても一足飛びに答えを求めようとするばかりでなく、必要とあらば一歩一歩踏みしめて前へ進んでいくことができるというのも、朱璃様の才能なのかもしれません。
なお、型番は“MW〇〇〇”という形式で示されます。三桁の数字の一番左は銃器の種類を示しており、一ならば狙撃銃型。二なら突撃銃型。三なら短機関銃型。四なら軽機関銃型。五なら重機関銃型となっております。
残り二桁の数字は試作品まで含めて何番目に開発されたものかを示す数字ですね。特異災害調査官の皆様が主に使用するMW二〇五は初めて王国に制式採用されたもので、二〇一から二〇四までは試作品です。この突撃銃は旧時代の傑作と呼ばれたロシア製AK四七がベースとなっており、過酷な環境下でも簡単なメンテナンスさえ施せば使い続けられる信頼性が選択の決め手になったのだとか。
また、朱璃様が用いられる対物ライフルを改造した銃はMW一〇三改。魔素吸収能力が高く、回復の早い朱璃様でなければ使いこなせない特別仕様となっております。狙撃銃型には他にも命中精度が高く万人に使いやすいMW一〇七があり、特異災害対策局と軍の両方で採用されています。
短機関銃型は屋内での対人戦を想定して王室護衛隊が使用しており、軽機関銃型や重機関銃型は変異種・記憶災害相手に都市防衛を行うのが主な任務である陸軍が使っています。重機関銃型は海軍でも軍艦の銃座に設置する機銃に使用。ただし海の変異種は陸のそれとは比べ物にならないほど大きいものが大半なため、ほとんど牽制にしか用いられず、ダメージを与えるのはより大口径の弾を発射する主砲や機雷の役目となっております。
・反体制派
現女王陛下による統治は上手くいっているようですが、それでも完全というわけではありません。国民の中には現体制に不満を持つ方々も少なくはないようです。過去には王族の暗殺を企てた方々もいらしたとか。
今のところ彼等の暗殺計画が成功したことはありません。ただし過去に一名だけ、彼等の計画によるものかどうか判断のつかない事件で犠牲になってしまった王族ならばおられます。
秋谷さんによると、彼女の死は第二部の物語にも深く関わっているそうです。
ひとまず、第二部の深刻なネタバレにならない程度の情報をまとめるとこんなところでしょうか。もし本編を呼んだ後に「ここがわかりにくかった」等といった場合があった時にはコメントでお知らせください。順次追記する形で対応させていただきます。
それでは、私もそろそろ第二部本編へ進みたいと思います。また次回、第三部編の登場人物紹介と世界観・用語解説にてお会いいたしましょう。
また、当然ながらこちらにも第二部のネタバレが多分に含まれますので併せてご了承ください。
・北日本王国
前回の解説でも多少ご説明いたしましたが、東北六県を一つの国として再編した国家です。一時は失われたと思われていた皇室の代わりに心の拠り所となる存在を求めた人々が自分達を救ってくれた英雄・伊東 旭様を王として祭り上げ、その結果として建国されました。当初は宮城県仙台市の地下にあった地下都市が王都だったのですが、建国から七〇年ほど経った頃、三代目の王が統治していた時代に巨大地震が起きて半分が崩落してきた土砂に埋まり、遷都を余儀なくされました。
その後、最も保全状態が良かった秋田に王都を移し、福島は南日本の侵攻や関東に潜む怪物シルバーホーンの襲来に備えた防衛拠点に改装。仙台は補給のための中継地点としてのみ使われるようになり、秋田、山形、盛岡、弘前の四都市が人々の主な生活拠点となりました。前回も書いたように、西暦二三〇〇年現在の総人口は一八万人。魔素の研究が進み記憶災害に対する予防策や対策が進歩した今でもまだ死亡率は高く、爆発的な増加は起こっていません。
また、毎日の食事は配給制となっており、王ですら贅沢はできません。この食糧事情もまた人口が急激に増えない一因となっています。
・地下都市
最も浅い天井部分でも地上から七〇〇mの深さになるよう設計された超巨大シェルターです。各都道府県の人口によって内部の容積や地下都市の数そのものに差異が付けられており、東京では秋田のそれより大型の地下都市が全部で四つ建設されました。秋田のものは直径が五kmほどの円筒形の空間になっており、限られたスペースを有効活用するため住宅や商業施設の大半はピラーと呼ばれる天井を支える巨大な柱の内部に設けられていました。伊東 旭様もそんな集合住宅の一室に家族四人で二年間暮らしていたのですが、お母様が心臓の病を患っていたこともあり、移動の楽な低層階に割り当てられたそうです。
地熱・地下水脈を利用した発電システム。地上から光ファイバーと鏡を使って太陽光を取り入れる採光システム。仮に電力が停止してもある程度なら空気の入れ替えが可能な自然循環システム等、当時の最先端技術を結集したインフラが施されていましたが、電力が使えなくなった今は半分以上が稼働を停止しています。
ただ、上記にもあるように停電時を想定した生命維持システムが存在していたおかげで今も人々はこの地下都市で暮らせています。長い時間をかけて少しずつ改良も施して来たため、ごく普通に生活する分には問題ありません。不必要な建物を取り壊して農地の面積を広げており、食糧の生産もなんとか国民を飢えさせない程度には行えています。
とはいえそれも長くはないでしょう。全ての地下都市はすでに設計時に想定されていた耐用年数から一〇〇年もの歳月を超過しており、刻一刻と限界が近付いているというのが実情です。また、緩やかではありますが人口も増え続けてはいるので、やがて地下での食料生産速度ではどうやっても追いつかない時代がやって来るでしょう。それは遠い未来ではないと目されています。
・職業選択の不自由
伊東 旭様の時代もそうだったのですが、現在の北日本王国に職業選択の自由はありません。基礎教育は小学校の六年間で終わらせてしまい、その間に各自の適正を診断して、中学校では最も適した職業の技能と知識を学ぶ学科へと振り分けられる。それが今の王国の教育の仕組みです。進路は生まれ持った才能によってのみ決められるもので、これを否定する権利は誰にも与えられていません。
ただ、例外的に突出したなんらかの才能が認められた場合には高校への進学や、その才能を活かすための専門的な指導を受けることが許されます。王族の一員である開明様はこの制度によって高校に進んだ一人ですね。高校に進学した人間の大半は国会議員を目指すと言われています。もっとも非常に狭き門ですので、それとは別にまずは研究職や議員秘書といった職業に就く場合が多いようですが。
専門的な指導というのは、たとえば歌舞伎・能楽など未来のために残しておくべき芸術を継ぐための修行ということです。ほとんどは芸能にまつわるものなのですが、稀に武術の継承者として選ばれることもあります。現女王陛下や甥の剣照様はこれに該当し、少年期の終わりを剣術の修行に費やしました。
また本業に関しては誰にも選ぶ権利が与えられていませんが、副業はその限りではなく、多くの国民が国から与えられた義務としての職業の他に別の仕事もしています。食糧が配給制のため、これは生計を立てるためではなく純粋に気晴らしのためです。国民の中には一生を地下で過ごすことになる方も多く、そんな人々のストレスを軽減するための政策の一環としてある程度の商業活動が認められているのです。
特に人気があるのは小説・漫画等の創作を行う職業。テレビもラジオもインターネットもありませんから、皆さん娯楽に飢えているのです。これらに使う紙やインクなどの消耗品を作る職人も重宝されています。音楽家、劇役者、講談師、それにアクセサリーなどの小物の販売も盛況です。
・通貨
本編ではアサヒ様が自由に出歩けない身なので結局使われなかった設定なのですが、北日本王国での商取引には旧時代の硬貨が用いられています。二五〇年も経っているため流石に紙幣はほとんど現存しておらず、かといって新たに作るのも難しいことから自然とコインが利用されるようになりました。
商品の価値は製作者の気分次第なので相場は有って無いようなものなのですが、たとえばかつては月給三ヶ月分が定番だと言われていた婚約指輪。人気の職人さんが手掛けたリングを購入するのに必要な額は一五〇〇円だそうです。つまり現代では五〇〇円玉三枚分となります。
ちなみに先ほど小説や漫画は大人気だと申し上げましたが、紙の本はやはりそれなりに製造コストがかかるため、新刊は市場に流通しません。三〇冊ほど刷ったらそれを各地下都市の図書館に配布する決まりです。作家にはこの時、一定額の報酬が支払われます。
とはいえ図書館のスペースも無限ではありませんから、古い本から順次市場に放出され古書として出回るようになります。もちろんこの価値は非常に高く、中には五〇〇〇円以上の値段で取引されている本もあるのだとか。貴金属の指輪よりも高いのです。
実は、朱璃様の率いる星海班には人気作家がいらっしゃいます。大人から子供まで楽しめる痛快な内容の冒険小説を執筆されており、彼が調査官だと知っている方々は任務で命を落としてしまわないことを切に願っているそうです。
・衣類
第一部では基本のスキンスーツ以外ほとんど登場しませんでしたが、あれは地上での活動における動きやすさを優先したもので、形にも色にもある程度の融通が利きます。アサヒ様はスキンスーツの快適さに慣れてしまったため結局余計なものは付け足さないようにしたようですが、部分的に布地を厚くするなどして見た目の恥ずかしさは緩和されました。
また、布同士が擦れ合って静電気を発生させる危険を鑑み、フレームを仕込んで傘のような構造にするなどの工夫は必要になりますが、スカートもちゃんと存在しています。アサヒ様の侍女を務めている小畑 小鳥様もそのようにして作られたメイド服を着用しておられますね。私のものとはだいぶ異なるデザインですが、あれもなかなかに可愛らしいので今度マスターに作っていただけるよう頼んでみましょう。
ウエディングドレスのような細かい造形が必要なものも作ることは可能です。ただ、やはりコストも手間も旧時代のドレス以上に必要なようで、一般市民の場合は貸衣装屋からサイズの合ったものを借りるのが定番のようです。流石に王族は毎回新しく作っておられるそうですが。
・MWシリーズ
朱璃様が開発された“疑似魔法の効果を増幅する”銃器の総称です。MWとはマジック・ワンド、つまり魔法の杖の略ですね。
前回の解説でも少しばかり触れましたが、炎、水、冷却、鉱物への干渉といったいくつかの種類の魔法にターゲットを絞り、それらの効果を増幅することが可能な触媒を銃器の中に仕込んであります。どの触媒の効果が高くなるかなどは地道な調査・収集活動と実験の繰り返しによって突き止めたそうです。天才的な頭脳があっても一足飛びに答えを求めようとするばかりでなく、必要とあらば一歩一歩踏みしめて前へ進んでいくことができるというのも、朱璃様の才能なのかもしれません。
なお、型番は“MW〇〇〇”という形式で示されます。三桁の数字の一番左は銃器の種類を示しており、一ならば狙撃銃型。二なら突撃銃型。三なら短機関銃型。四なら軽機関銃型。五なら重機関銃型となっております。
残り二桁の数字は試作品まで含めて何番目に開発されたものかを示す数字ですね。特異災害調査官の皆様が主に使用するMW二〇五は初めて王国に制式採用されたもので、二〇一から二〇四までは試作品です。この突撃銃は旧時代の傑作と呼ばれたロシア製AK四七がベースとなっており、過酷な環境下でも簡単なメンテナンスさえ施せば使い続けられる信頼性が選択の決め手になったのだとか。
また、朱璃様が用いられる対物ライフルを改造した銃はMW一〇三改。魔素吸収能力が高く、回復の早い朱璃様でなければ使いこなせない特別仕様となっております。狙撃銃型には他にも命中精度が高く万人に使いやすいMW一〇七があり、特異災害対策局と軍の両方で採用されています。
短機関銃型は屋内での対人戦を想定して王室護衛隊が使用しており、軽機関銃型や重機関銃型は変異種・記憶災害相手に都市防衛を行うのが主な任務である陸軍が使っています。重機関銃型は海軍でも軍艦の銃座に設置する機銃に使用。ただし海の変異種は陸のそれとは比べ物にならないほど大きいものが大半なため、ほとんど牽制にしか用いられず、ダメージを与えるのはより大口径の弾を発射する主砲や機雷の役目となっております。
・反体制派
現女王陛下による統治は上手くいっているようですが、それでも完全というわけではありません。国民の中には現体制に不満を持つ方々も少なくはないようです。過去には王族の暗殺を企てた方々もいらしたとか。
今のところ彼等の暗殺計画が成功したことはありません。ただし過去に一名だけ、彼等の計画によるものかどうか判断のつかない事件で犠牲になってしまった王族ならばおられます。
秋谷さんによると、彼女の死は第二部の物語にも深く関わっているそうです。
ひとまず、第二部の深刻なネタバレにならない程度の情報をまとめるとこんなところでしょうか。もし本編を呼んだ後に「ここがわかりにくかった」等といった場合があった時にはコメントでお知らせください。順次追記する形で対応させていただきます。
それでは、私もそろそろ第二部本編へ進みたいと思います。また次回、第三部編の登場人物紹介と世界観・用語解説にてお会いいたしましょう。
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