第七魔眼の契約者

文月ヒロ

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第二章:光と叡智交錯する魔の祭典

第58話魔眼使いの敵対

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「……やったか?」

 あらゆる物を見透かす力を持つ悟の【天眼】が、バフォメットの霊魂が消滅したのを確認した。
 隣に立つノウズも少年の判断を肯定し、小さく頷いた。

「あぁ、やはり【転生】の妨害で滅せたみたいだ」

 右眼が白銀色の輝きを徐々に失っていく。
 叡智の魔眼の奥義を行使したのは、これで二度目だ。
 万物の法則を捻じ曲げる力。相変わらず消耗が激しい。

 おまけに、法則に関する情報を理解していなければ効力を発揮しないし、魔眼の【契約者】である悟では、効果の持続時間が短い。

 しかし、敵は倒せた。

 ――悟の胸倉を城谷白が掴んだのは、そんな時だった。

「お前、今何をした……ッ」

 今にもこちらへ襲ってきそうな鋭い目付きだ。
 力強く持ち上げられ、悟の靴裏が地面から軽く浮く。

「ぅぐっ。ハ、ハロハロ神様邪神様?俺、何かしましたっけ……」

とぼけるな。俺の獲物だった……どうやってった」

「み、見たまんまだし、誰の獲物でもなかったろ。学院襲撃だぞ、皆でやるモンだった」

「俺一人でも対処――」





「あぁ、そうだな。そうだよ、魔眼の【適合者】なら一人で何とか出来るって分かってた。――けどな、てめぇだけに任せて、もっと長引いて被害出たら困るんだよ俺が。……早く放せよ、城谷」

「……ッ」

 最中さなか、悟の低い声が耳に届いた城谷白は、気圧されて後退った。
 そうして、悟の体をおもむろに放す。何かを言いた気な顔を向けつつも、歯軋りして声を出すのをグッと堪えて。

「……お前、魔法祭に出るのか」

「?。決めてないけど、もし出るつったら?」

「俺とお前で闘う事になる。手加減は、一切しない」

「そうか。だったら、考えとく」

 緊迫した空気の中、悟の視線と城谷の視線が、音もなく虚空で衝突した。
 城谷の体から、微かに神気と共に魔力が漏れ出る。
 しかし、それも束の間の出来事。




 魔力も神気も、スッと周囲に霧散し、少年は踵を返してその場をあとにした。
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