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ローガレン龍国 龍王 ギルデガルド

誓約

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明日 百合愛はここを発つ

考えたくもないが 場合によっては二人だけでいられる最後の夜かもしれない

今夜だけは 理性を総動員してでも 共に過ごしたい

それには どうするか

どう考えても あの般若顔をした専属メイドと折り合いをつけねばならないだろう

侍従長に話し マリーナという専属メイドに話があるから来るよう伝えて貰い 部屋で待った

コン コン

 「失礼します お連れしました」

 「失礼します」

お辞儀をし 部屋へ入ってきた

武人のような隙のない立ち居振る舞い

メイドだよな

何故か 百合愛の専属メイド達は 人族らしからぬレベルの持ち主ばかりだ

どのように鍛えたのだか 初日にうちの侍女と腕比べをして勝利を収めたと聞いている

かなり 悔しかったらしく 城の裏側でこっそり訓練しているのを 大工と城壁の補修箇所の打ち合わせをしながら見て回っていた宰相が見たと 書類を捌いて 一息ついた時に 雑談として話してきた

まぁ 百合愛のレベルも 相当おかしい事になっていそうだが・・・

 「お話があるとの事ですが どの様なご用件でしょう」

 「まぁ とりあえず 座ってくれ」

ソファーの対面をすすめ 侍従長が果実水を置くのを待った

 「単刀直入に言おう 今夜 百合愛と共に就寝したい」

まわりくどく言うのは 好きじゃないからな

 「婚姻を結んでいる訳ではないので そういう訳にはまいりません」

 「手は出さないと誓おう」

 「口付け以外は駄目です もちろん 痕を付けるのも駄目です」

うっ 先程の般若顔を思い出してしまった

 「その条件を呑もう」

じと~

 「では 誓約をお願い致します 問題ないですよね」

どうやら 信用しては貰えない様だ

まるで 前科者を見るかのような眼で見られているのを感じる

 「・・・・・・問題ない 羊皮紙と羽ペンを用意してくれ」

侍従長が用意してくれた 羊皮紙に マリーナが条件を書き連ねていく

随分慣れた様子で すらすらと契約内容を記しているように見える

書き終わった羊皮紙を渡され それらに目を通してから サインを入れた

それから さっき 気になった事を聞いてみた

 「二度目ですので」

苦虫を噛み潰したかのような顔で言った

 「・・・ 一度目は何処で?」

 「それは お教えできかねます ですが きちんと誓約は守って戴けましたよ」

 「そっ そうか ならいい」

誓約が守られたのに 何故 冷気を出す

 「では夕餉の後 寝支度をしてから 百合愛の部屋へ行くから 宜しく頼むな」

誰が 百合愛と共に夜を過ごしたのか 非常に気になるが とりあえずは 欲しかった許可を貰えたので 早々に退場して貰った

 「どうぞ 温まりますので」

侍従長がそっと生姜湯を置いてくれた

できる 侍従長でよかった・・・
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