上 下
65 / 189
ガッレシニア王国 神官長 クレメンテ

旅立ち

しおりを挟む
とてもいい天気 日本晴れね

・・・まぁ ここ 日本じゃないけれど

とにかく 雲ひとつない 快晴ってこと

クレメンテには 今日の見送りはしなくていいと 昨日の夜のうちに 言っておいたから ここには来ていない

離れがたくて いつまでも 出発できなくなりそうだから って言って 納得してもらった

だから すっと出ようとしたら アイゼンにつかまった

 「私に挨拶もなしかい?冷たいな・・・温めてあげよう」

いや それ違うでしょうと突っ込む間もなく 深く 激しい KISSをされた


・・・出発は遅れた


街中から 小型バスを運転するなんて 無謀なことはしない

王城から街の外まで 何台かの馬車に分乗し移動し 街の外に出てから 小型バスを取り出して 乗り換えた

運転の方は初めてだけど どうにかなりそう

マニュアル車だったら 操作が難しかっただろうけど オートマ車だったから 楽に 操作できた

馬が付いていないのに 動いたから 皆 凄く驚いた顔をしていた

騎乗している人達に どの位の速さで進むか 確認して バスの斜め前を 先導してもらう事にした

まぁ マラソンのペースメーカー みたいなものかな

無理しないように 一定の距離を進んだら 必ず休憩を入れて 人も 馬も 体調を考え「回復」をかけるように 気を付けた


予定の場所に着く前に 薄暗くなってきたので ちょっと早いが キャンプの準備をする

とりあえず 小型バスをしまい 寝台列車を一両出し その隣に長テーブルとパイプイスをセットし 全体を結界で囲った

これで 見張りなしで 皆 休めるよね

交代制で見張りなんてしてたら 疲れが取れないからね

もちろん 簡易トイレもちゃんと設置したよ

一応 寝台列車にも付いているけど 人数に対処できないから その分ね

・・・原始的な方法(野××)を試す気にはなれないよね

テーブルの上に ラザニーがつくってくれた料理を並べて 皆で夕食をとった後は「回復」「消臭」「清浄化」を全員にかけて 列車の中に入って 就寝してもらった



SIDE 護衛達

私達は 今まで いろいろな要人の護衛で 何度も国を渡っている

光栄にも 百合愛様の 護衛を任せて戴ける事になり 張り切っていたが あまりにも 常識から外れた事を 次から次へと 見せ付けられ 驚愕している

小型バスだと仰る 馬を必要としない 乗り物や 寝台列車の一部で これだけでは動かせないという 寝室のある乗り物 テーブルに椅子でさえ 素材が全くわからない上に 頑丈だ

百合愛様の世界は 魔法がないのに 随分と文明の発達した場所だったのだろう

一人では動かせないので 飛行機は諦めたと聞き 動画なる物で見せて戴き 再度驚愕

飛行機はもちろん 動画自体も この世界では 造り出せないだろう

こちらの世界は未発達過ぎて 百合愛様にとって 過ごし難いのではと 心配になってしまう

専属メイドのマリーナさんに それとなく 伺ってみたが

 「確かに 不便に感じている所は あると思います 特に 娯楽が少なすぎると よく言われますね でも 魔法を使えるので 不便な部分に対しては 補ってどうにかしている というより 楽しんで いろいろ 試している様に感じます ですので この件は あまり心配はしていません 私は それよりも 精神面での方が 少し心配です 16歳で たった一人 この世界に連れて来られ・・・夜中 時々泣いておられるようで・・・朝起こしに行くと 頬に涙が流れた痕があって 切なくなってしまいます ですから 私は 誰よりも 百合愛様に寄り添って 寂しくないように 親兄弟の代わりとまでは なれないでしょうが 愛情を持って 尽くしたいと 思っています」

 「「「「「「・・・・・・」」」」」」

私達は 言葉にならなかった

王子の運命の相手が現れて その方に仕えられて 嬉しい 良かった とばかり 思っていて 私達に見せる顔も 明るく 活発な所ばかりで 夜中 泣いているなどと 想像もしていなかった

百合愛様の心を慮って 差し上げられていなかった事に 申し訳なく思う

私達も 代わりにはなれなくても 自分達の子や妹のように 愛情を持って接し 百合愛様は 優しいから お嫌かもしれないが 命を賭してでもお守りしようと 誓い合った
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

WORLD END―終焉の鐘の音―編集中

成瀬瑛理
ファンタジー
絶望の極寒の大地グラス・ガヴナン。罪人を幽閉して閉じ込めるタルタロスの牢獄には鎖に繋がれた少年がいた――。 天地創造の七日間の話をモチーフに、混沌の異世界を舞台にして多彩に繰り広げる世紀末ダークファンタジー! ※2023.12〜全話編集中。完了来年予定。

運命の相手は自分で選びます!

浅海 景
恋愛
ある日気づけば見知らぬ世界に迷い込んでいた陽香。助けを求めて彷徨っていたところ親切そうな商人に出会い安心したのも束の間、騙されて奴隷契約を結ばれてしまう。数か月後、内気な女子高生から人間不信となりすっかりやさぐれてしまった陽香の元に王子の使いと名乗る者が現れて、トルドベール王国へと連れて行かれる。 王子の「運命の相手」としてこの世界に召喚されたことを知り、陽香の怒りは激しく燃え上がった。 「運命の相手」など知った事ではない。自分の運命は自分で決める! 運命に否定的な少女、運命に焦がれる王子、運命を諦観する騎士。少しずつ変化する心とそれぞれの立ち位置に悩み、成長していく物語。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油
ファンタジー
アイドルをやってる女生徒を家まで送っている時に車がぶつかってきた。 どうやらストーカーに狙われた事件に巻き込まれ殺されたようだ。 だが運が良いことに女神によって異世界に上級貴族として転生する事になった。 その時に特典として神の眼や沢山の魔法スキルを貰えた。 将来かわいい奥さんとの結婚を夢見て生まれ変わる。 女神から貰った神の眼と言う力は300年前に国を建国した王様と同じ力。 300年ぶりに同じ力を持つ僕は秘匿され、田舎の地で育てられる。 皆の期待を一身に、主人公は自由気ままにすくすくと育つ。 その中で聞こえてくるのは王女様が婚約者、それも母親が超絶美人だと言う噂。 期待に胸を膨らませ、魔法や世の中の仕組みを勉強する。 魔法は成長するに従い勝手にレベルが上がる。 そして、10歳で聖獣を支配し世界最強の人間となっているが本人にはそんな自覚は全くない。 民の暮らしを良くするために邁進し、魔法の研究にふける。 そんな彼の元に、徐々に転生者が集まってくる。 そして成長し、自分の過去を女神に教えられ300年の時を隔て再び少女に出会う。

【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

BBやっこ
恋愛
貴族の家に生まれたからには、その責務を全うしなければならない。そう子供心に誓ったセリュートは、実の父が戻らない中“当主代理”として仕事をしていた。6歳にやれることなど微々たるものだったが、会ったことのない実父より、家の者を護りたいという気持ちで仕事に臨む。せめて、当主が戻るまで。 そうして何年も誤魔化して過ごしたが、自分の成長に変化をせざるおえなくなっていく。 1〜5 赤子から幼少 6、7 成長し、貴族の義務としての結婚を意識。 8〜10 貴族の子息として認識され 11〜14 真実がバレるのは時間の問題。 あとがき 強かに成長し、セリとしての生活を望むも セリュートであることも捨てられない。 当主不在のままでは、家は断絶。使用人たちもバラバラになる。 当主を探して欲しいと『竜の翼』に依頼を出したいが? 穏やかで、好意を向けられる冒険者たちとの生活。 セリとして生きられる道はあるのか? <注意>幼い頃から話が始まるので、10歳ごろまで愛情を求めない感じで。 恋愛要素は11〜の登場人物からの予定です。 「もう貴族の子息としていらないみたいだ」疲れ切った子供が、ある冒険者と出会うまで。 ※『番と言われましたが…』のセリュート、ロード他『竜の翼』が後半で出てきます。 平行世界として読んでいただけると良いかもと思い、不遇なセリュートの成長を書いていきます。 『[R18] オレ達と番の女は、巣篭もりで愛欲に溺れる。』短編完結済み 『番と言われましたが、冒険者として精進してます。』 完結済み 『[R18]運命の相手とベッドの上で体を重ねる』 完結 『俺たちと番の女のハネムーン[R18]』 ぼちぼち投稿中

家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました

猿喰 森繁 (さるばみ もりしげ)
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 11月中旬刊行予定です。 これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです ありがとうございます。 【あらすじ】 精霊の加護なくして魔法は使えない。 私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。 加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。 王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。 まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

処理中です...