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ガッレシニア王国 神官長 クレメンテ
妖精
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泉は 20畳程の大きさだった
中央付近の底から 清らかな澄んだ水が 湧き出しているのが見えた
「百合愛 光球を消してごらん」
クレメンテに耳元で囁かれ 慌てて消してみると 暗闇の中 淡く光る人の姿があった
一瞬 ドキッとしたけど 背中に羽根があったので 妖精だと解った
・・・男性も 女性も 儚い系の美人ばかり
ふよふよと飛んできて 私達を取り囲み 口々に話しかけてきた
「可憐な方 初めまして」
「ようこそ 可愛い子」
「羽はないの?」
「貴女も こっちにきて 遊ぼうよ」
「どこの泉から来たの?」
話しながら そっと手を差し出してくるので 手をとろうと 右手を上げようとしたら クレメンテに手首を掴まれ 止められた
「手を握ってはなりません 妖精の世界に 連れて行かれてしまいますよ いつもは 遠巻きに見てくるだけで 近寄ってすらこないので 貴女に伝えていませんでしたが 代々の神官長に伝えられている 注意事項です」
・・・えっ でも 瞳をキラキラさせて 見つめられてるんだけど これ どうしたら・・・
「ごめんなさい 妖精の世界に 連れて行かれてしまうというのなら 手をつなげないわ」
「なんで いけないの?羽根がないから?」
「だって 私 妖精じゃないもの」
「「「「「えー嘘だー」」」」」
「嘘って 言われても・・・」
「「「「「魔力と神力の量がおかしい!!」」」」」
・・・Oh 息ぴったりですね
「シヴェラザード神 に誓って 人間だと言い切れるよ」
「「「「「う~ん」」」」」
「異世界から来ているから こっちの世界の人とは 違う部分もあるのかな?」
「「「「「異世界!?なるほど」」」」」
納得していただけたようで・・・
「ふふ 私の言ったとおりでしたね 妖精達にも 仲間だと思われるなんて」
「笑い事じゃないです・・・」
「妖精達 百合愛は人間ですので 連れて行かないで下さいね」
「所で 皆さんは 妖精の世界から この泉に 何か目的があってきているの?」
「浄化の為だよ 可愛い人」
「みんなで 順番に来ているのよ」
「世界の均衡を保つ為に 必要なの」
「皆 ありがとうございます この国が豊なのは 浄化された水が 土地に浸透しているから?」
「そうだよ~ 大事な役目でしょ~」
「ええ 大事ですね 皆様に 感謝いたします」
あの後 帰るのが とても大変だった
なかなか 帰らせてもらえず・・・
仕方なく すぐには来れないかもしれないけど 季節が一巡りする前には来ると約束して やっと さよなら してきた
今思うと 行った時 同じメンバーが泉に来ているとは 限らないんじゃ・・・
まっ いっか 行ったという 事実があれば
クレメンテは 私が妖精達に 連れ去られてしまうのではないかと 泉にいる間 気が 休まらなかったようだ
泉から離れると 大きな溜息をつき 私の手を 頬に触れさせると 眉間に少し皺を寄せながら 眼を瞑り 何かを堪えているようだった
「良かった 連れて行かれなくて・・・」
小さな声の呟きが聞こえた後 いつもより強く 抱きしめてきたクレメンテに驚いて 見上げてみたら 泣きそうな 顔をしていた
何とも言えなくて クレメンテの胸に顔をうずめ ぎゅっと 強く抱き締めかえした
暫くして か細い声で
「この世界から いなくならないで下さい」
あまりにも 切ない感じの声に 戸惑っているうちに すっと顔が下りて来て 唇を塞がれた
長くて深い
でも 確かめるような 緩やかなKISSだった
中央付近の底から 清らかな澄んだ水が 湧き出しているのが見えた
「百合愛 光球を消してごらん」
クレメンテに耳元で囁かれ 慌てて消してみると 暗闇の中 淡く光る人の姿があった
一瞬 ドキッとしたけど 背中に羽根があったので 妖精だと解った
・・・男性も 女性も 儚い系の美人ばかり
ふよふよと飛んできて 私達を取り囲み 口々に話しかけてきた
「可憐な方 初めまして」
「ようこそ 可愛い子」
「羽はないの?」
「貴女も こっちにきて 遊ぼうよ」
「どこの泉から来たの?」
話しながら そっと手を差し出してくるので 手をとろうと 右手を上げようとしたら クレメンテに手首を掴まれ 止められた
「手を握ってはなりません 妖精の世界に 連れて行かれてしまいますよ いつもは 遠巻きに見てくるだけで 近寄ってすらこないので 貴女に伝えていませんでしたが 代々の神官長に伝えられている 注意事項です」
・・・えっ でも 瞳をキラキラさせて 見つめられてるんだけど これ どうしたら・・・
「ごめんなさい 妖精の世界に 連れて行かれてしまうというのなら 手をつなげないわ」
「なんで いけないの?羽根がないから?」
「だって 私 妖精じゃないもの」
「「「「「えー嘘だー」」」」」
「嘘って 言われても・・・」
「「「「「魔力と神力の量がおかしい!!」」」」」
・・・Oh 息ぴったりですね
「シヴェラザード神 に誓って 人間だと言い切れるよ」
「「「「「う~ん」」」」」
「異世界から来ているから こっちの世界の人とは 違う部分もあるのかな?」
「「「「「異世界!?なるほど」」」」」
納得していただけたようで・・・
「ふふ 私の言ったとおりでしたね 妖精達にも 仲間だと思われるなんて」
「笑い事じゃないです・・・」
「妖精達 百合愛は人間ですので 連れて行かないで下さいね」
「所で 皆さんは 妖精の世界から この泉に 何か目的があってきているの?」
「浄化の為だよ 可愛い人」
「みんなで 順番に来ているのよ」
「世界の均衡を保つ為に 必要なの」
「皆 ありがとうございます この国が豊なのは 浄化された水が 土地に浸透しているから?」
「そうだよ~ 大事な役目でしょ~」
「ええ 大事ですね 皆様に 感謝いたします」
あの後 帰るのが とても大変だった
なかなか 帰らせてもらえず・・・
仕方なく すぐには来れないかもしれないけど 季節が一巡りする前には来ると約束して やっと さよなら してきた
今思うと 行った時 同じメンバーが泉に来ているとは 限らないんじゃ・・・
まっ いっか 行ったという 事実があれば
クレメンテは 私が妖精達に 連れ去られてしまうのではないかと 泉にいる間 気が 休まらなかったようだ
泉から離れると 大きな溜息をつき 私の手を 頬に触れさせると 眉間に少し皺を寄せながら 眼を瞑り 何かを堪えているようだった
「良かった 連れて行かれなくて・・・」
小さな声の呟きが聞こえた後 いつもより強く 抱きしめてきたクレメンテに驚いて 見上げてみたら 泣きそうな 顔をしていた
何とも言えなくて クレメンテの胸に顔をうずめ ぎゅっと 強く抱き締めかえした
暫くして か細い声で
「この世界から いなくならないで下さい」
あまりにも 切ない感じの声に 戸惑っているうちに すっと顔が下りて来て 唇を塞がれた
長くて深い
でも 確かめるような 緩やかなKISSだった
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