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儀式

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SIDE ???

キラキラとした光が自身の体から 螺旋を描きながら 空えと昇っていく

と ほぼ同時に 3本もの光が 他の列席者の中の3名の体からも立ち昇ってゆく

歓声があがるが 困惑の声も聞こえてくる

? 「成功か? とうとう見つけたか?」

? 「何故だ?! どういう事だ? 4本同時に同じ所をさしているぞ」

? 「何故 空の彼方に向かっているのだ?どこに向かっているんだ」


・・・・・・・・・・・・・


・・・ ガッレシニア王国 ・・・

北から西、南の一部にかけて険しいが資源豊富な山々が連なり

鉄鋼業とともに酪農も盛んに行われ

南の海は波が荒く航行には不向きなれど、張り出した山の一部のおかげで広範囲にわたり天然の入り江が出来ており、

漁船や地引網によって海の幸も手に入った

東には広大な平原が広がり 山からの栄養ゆたかな川が流れ込み

多種多様な作物が栽培されている

そして 国の中央には枯れることのない清らかな泉とそれによる湖

湖のほとりには白亜の城と この国唯一の神殿

それらを囲うように半円状に街が広がっていた

この世界で最もゆたかで美しい国だったが

どの国からも手出しされず 干渉を受けずにすんでいた

それなりの理由があるのだが それはまた別の機会に話そう


・・・・・・・・・


今日 この国の第1王子アイゼンの19歳の誕生の祝いが行われる予定だ

この国では 5歳 と 10歳 成人となる16歳の時に誕生日を祝う

だが王族のみ16歳から運命の相手が見つかるまで毎年

祝賀会とともに儀式を執り行うことになっている

数日前から それらの準備と列席者の出迎え等の対応の為 

城内も街もあわただしかった



エイダン 「兄様 おめでとうございます」

アイゼン 「ああ ありがとうエイダン もう4回目になるな 今年こそ見つかるといいのだがな」
      

  「今までは お相手の方が成人を迎えてらっしゃらなかったのではないでしょうか?今年こそはひきあえるのでは・・・」
     
  「そうかもな・・・」

トン トン 扉が叩かれ カチャ 返事を待たずツヴァイが顔を覗かせた

ツヴァイ 「失礼致します そろそろお時間ですので 会場へお越しください みなさんお待ちです」
      
  「移動するか」

  「「はい」」


・・・・・・・・・・・


城の前庭 湖が望める位置に魔方陣を敷き まわりを魔術師と神官が 交互に10人等間隔に囲み 魔力と神力を練り始めた

魔方陣中央の1歩横に アイゼンは静かに立ち 魔力と神力が練りあがるのを待っている

20m程 離れた位置には王・王妃・第1王子 各国の招待された王族方の席が コの字型にもうけられ 儀式の開始の時を見守っていた


神官長の顔が上がり 眼を合わせる事で2つの力の練りあがりと開始を知る

力が魔方陣へと注がれ始め

それと同時に アイゼン王子は召喚の詞を唱えはじめた

「我願う 運命の君 我が召喚に答え 今ここに導かれ給え」

キラキラとした光が王子の体から 螺旋を描きながら 空えと昇っていく

アイゼン 「やっと反応したか だが これは?・・・」

自身から出ている光の他に3本の光が同じ方向に射しているのに気付き

光源へ視線を下げ それぞれの顔を順に素早く見まわしていく

  神官長 クレメンテ レ カッシーノ

  龍王 ギルデガルド ローガレン

  魔王 シャルドネード ルーレシア

大物ぞろいだ 互いに複雑な表情を浮かべ見合っていたが

魔方陣に視線を戻す。
   
おかしい、何時までたっても運命の相手が現れない それどころか 魔方陣に力が吸収され続け 周りの神官や魔術師達が膝をつきはじめた

「力が足りないのか」

慌てて 神官長と魔王が魔方陣に近寄り それぞれの力を練り合わせ 足してゆく

が 注いでも注いでも 端から力が消費されていってるように 見受けられる

きりがない 運命の相手を引き寄せるのを一時あきらめ

龍王に頼み二人で力を合わせ どうにか運命の相手の識別を 魔方陣に刻む事ができた

が 識別が消えないよう 神官と魔術師の 二人一組のチームを 8チーム 急遽つくらせ

3時間交代で魔方陣へ維持の為の力を注がせ続けた

その間 ガッレシニア王国の王族と 今回反応した者 魔術師長 等 

場所を 王宮の会議の間へ移し 今後の解決策を検討しあった


~ 検討結果 ~


1.神官・魔術師の力の回復を待つ・・・自然回復を待つ
  ・・・栄養と休息を充分取らせる → 2日程
  *回復剤の過剰(4本以上)摂取は副作用があるので 自然回復の為の時間がある時は そのように対応
   

2.引き寄せる際の魔方陣への配置を30人に増やす
  ・・・神殿と魔人達への協力依頼 → 了承済み
 但し、魔人達の選定と移動に10日必要
 魔術師 魔人の中で 魔力の高い上位15名に依頼
 神官の中で 神力の高い上位15名に依頼

3.回復剤(30×3本=90本)の用意とそれを使用者に渡す介助者の手配
  ・・・2日 準備期間が必要



  12日後の日の出とともに識別した運命の相手を引き寄せる
  ・・・すでに見つけているので引き寄せる事のみに全ての力を一気に注ぐ
     ( 場合によっては 回復剤を使用しながら )

4.反応者4名と運命の相手の件は現れてからの次回持ち越しの議題とする

以上

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