何で僕を?

大器晩成らしい

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お金を支払い、包装して貰っている間、許可を取って、ロッキングチェアーの座り心地を試している。

この前後に揺れる感じが堪らない。

クッションが付いているのもいいけど、藤?っぽい植物で編んである物も、硬過ぎず、やわらか過ぎず、丁度いい感じ。

でも、身体を動かす度、ぎしぎしいうのが、ちょっと煩いか?

いくらするんだろ?

さっきのブックマーカーの値段は、一つに付き銀貨3枚って表示がされていて、分かり易かったけど、これらにはされていない。

どこかに値段が書かれた紙でも、挟んであるんじゃないかって思って、ロッキングチェアーの周りをぐるぐるしちゃったよ。

まさか、時価とか、人を見て金額を変えるとか言わないよね?

むぅ~。

「どうしたの?葵ちゃん。口なんか尖らせて。・・・あっ、分かった、キスして欲しいんだ」

チュッ

「んっ、ちょっ、違うからっ、こんな所でしないで///」

一回目のキスは防げなかったけど、二回目のキスは唇の前でバッテンを作って防いだ。

チラッとカウンターの方を見ると、一斉にバッっと視線を逸らされた。

やっぱ、見られてるじゃ~ん///

「もうっ、何で、値段が書いてないんだろうって思ってたの!!」

買いたいと思ったけど、値段がはっきりと表示されていない物に、手を出そうとは思わない。

「本当だね。何でだろう。他の作品の所には、ちゃんと値段が書かれているのにね」

丁度、包み終わって呼ばれたから、その事を訊いてみたら、

「いろんなデザインの物を預かっているのですが、一つ一つの物が大きく、場所をとりますので、とりあえず、タイプの違うものを3台選んで、こちらに出してあります。これらをご覧になって、他の作品も見てみたいと仰った方だけ、裏の倉庫にご案内しております。そちらはきちんと値札を括りつけてありますので、ご安心下さい」

それなりに、値の張る物だから、値札を張っていると、値段だけチラッと見て、作品の前を素通りしてしまうらしい。

張らないで置くと、先ずは作品を見てくれ、それで気に入ると、いくらするのか値段を訊いてくるから、他にも種類がある事を伝え、倉庫に案内し、そちらには値札が括り付けてある事を伝えるらしい。

なる程。

あえてなんだね。





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