何で僕を?

大器晩成らしい

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時間はかかったものの、全てを収納し終え、砂浜を後にした。

防御壁を越え、道路に出ると、待ってましたと言わんばかりに、人に囲まれた。

何人かは見覚えがある。

魚屋の店員さんだ。

「「「「「蟹を売ってくれ!!」」」」」

うわっ!!

凄い勢いで来られると、怖いんだけど。

まぁ、滅多に出回らないって言ってたもんね。

必死だね。

僕達は、チート魔法でさくさく倒したけど、一般の冒険者は命がけらしい。

大人数のパーティで挑んで、数匹しか倒せないんだって。

しかも、現れる数が半端ないから、離脱するタイミングも難しいもんね。

ギルドで依頼を出しても、なかなか手を出してくれないみたい。

冒険者ギルドのギルド長って人も、中に混ざってる。

「どうする?月夜」

「葵ちゃんの好きにしていいよ」

「えっ、僕次第?」

「「「「「「お願いだ。1匹でもいいから」」」」」」

「う~ん。全部、茹でちゃってますけど、いいですか?それと、ギルドでの依頼価格っていくらですか?」

「茹でてあった方が手間が省けていい。それと、1匹に付き、白金貨1枚だ」

「ギルドは何匹欲しいのです?」

「5匹、いや6匹はダメか?」

いや、数百単位で確保できたから、全然問題ないけど。

「僕達、冒険者ギルドのカードを持ってるので、依頼って事で処理して貰えるのなら、いいですよ。で、お金は全部カードの中に入れて貰いたいのだけど、それでいいですか?」

「もちろん。ありがたい」

「「「「「俺達にも、売ってくれ」」」」」

「いいよ。値段はギルドと同じ、1匹、白金貨1枚で」

「・・・その値段でいいのか?」

「?何でですか?」

「葵様、普通、店は、ギルドを通して巨大蟹は仕入れます。そうしますと、値は、白金貨1枚にギルドの利益を上乗せした金額で購入する事になります。ですので、ギルドに卸すのと同じ値段で、売ってしまってもいいのかって訊いているのですよ」

要するに、僕が、ギルドに卸すのと同じ金額で売ると、安く仕入れられるって事だよね。

黙ってればいいのに。

良心的な人は嫌いじゃない。

「僕は、売る人によって、値段を変えるつもりはないよ」

もともと、売るために捕獲した訳じゃないしね。

それに、白金貨1枚って、日本円にして約100万円だからね。

充分だよ。





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