何で僕を?

大器晩成らしい

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どうやら、ギルドに到着したみたい。

「開けてもよろしいですか」

「ああ」

「失礼します」

カチャ

月夜が先に降り、手を差し出してきたから、僕の手をその上に重ね、支えてもらいながら、ステップを降りた。

「ありがとう」

「どう致しまして」


ラピスさんは、僕が降りきると、ステップを収納し、扉を閉め、

「それでは、月夜様達がギルドに行かれている間に、宿の手続きを済ませておきますね」

そう言いながら、モカを僕から受け取ると、肩に乗せ、馬車を引きながら、隣の宿屋へと向かって、歩きだした。

モカとの仲が良好な様で、良かった。


「じゃあ、俺達も、用事を済ませて来よう。葵ちゃん、俺からは絶対に離れないでね」

コクンッ

腰に手を添えられ、エスコートされながら、冒険者ギルドの中へ。

フードを深く被ってるから、足元しか見えないけど、ギルドの中は、随分と人が多くいるみたい。

かなりガヤガヤしていて、騒がしい。

皆、一仕事して帰ってきたのだろう。

疲れているのか、ギスギスしてる。

買い取り価格の納得がいかないって、ギルド職員に対して文句を言ってるのが聞こえる。

納得いかなかったら、ここで売らなきゃいいのに、値上げ交渉なんかしてるから、余計な時間がかかってるみたい。

3箇所、買取の受付があるけど、前の人がそんなだと、そこだけ進みが遅くなって、後ろに並んでる人達がピリピリしてる。

早く処理しろよとか、騒いでるし。

横入りしたとか、肩がぶつかっただろ責任取れとか、そんな、ちょっとしたいざこざも、発生している。

僕、こんなとこ、絶対1人で来れそうにない。

だって、怖いんだもん。

変ないちゃもんつけられたりしたら嫌なんだもん。

月夜に言われた通り、絶対離れないように、ピッタリくっ付いて、かに歩きで進んだ。

何となく、月夜が笑ってるような気がする。


僕達の並んだ列は、スムーズに進んだから、前の人が終わったら、次だ。

「葵ちゃんのから、処理してもらおうね」

コクコク

収納の中からギルドカードを取り出し、すぐに見せられるよう準備しておいた。





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