何で僕を?

大器晩成らしい

文字の大きさ
上 下
199 / 358

198

しおりを挟む
どうやら、ギルドに到着したみたい。

「開けてもよろしいですか」

「ああ」

「失礼します」

カチャ

月夜が先に降り、手を差し出してきたから、僕の手をその上に重ね、支えてもらいながら、ステップを降りた。

「ありがとう」

「どう致しまして」


ラピスさんは、僕が降りきると、ステップを収納し、扉を閉め、

「それでは、月夜様達がギルドに行かれている間に、宿の手続きを済ませておきますね」

そう言いながら、モカを僕から受け取ると、肩に乗せ、馬車を引きながら、隣の宿屋へと向かって、歩きだした。

モカとの仲が良好な様で、良かった。


「じゃあ、俺達も、用事を済ませて来よう。葵ちゃん、俺からは絶対に離れないでね」

コクンッ

腰に手を添えられ、エスコートされながら、冒険者ギルドの中へ。

フードを深く被ってるから、足元しか見えないけど、ギルドの中は、随分と人が多くいるみたい。

かなりガヤガヤしていて、騒がしい。

皆、一仕事して帰ってきたのだろう。

疲れているのか、ギスギスしてる。

買い取り価格の納得がいかないって、ギルド職員に対して文句を言ってるのが聞こえる。

納得いかなかったら、ここで売らなきゃいいのに、値上げ交渉なんかしてるから、余計な時間がかかってるみたい。

3箇所、買取の受付があるけど、前の人がそんなだと、そこだけ進みが遅くなって、後ろに並んでる人達がピリピリしてる。

早く処理しろよとか、騒いでるし。

横入りしたとか、肩がぶつかっただろ責任取れとか、そんな、ちょっとしたいざこざも、発生している。

僕、こんなとこ、絶対1人で来れそうにない。

だって、怖いんだもん。

変ないちゃもんつけられたりしたら嫌なんだもん。

月夜に言われた通り、絶対離れないように、ピッタリくっ付いて、かに歩きで進んだ。

何となく、月夜が笑ってるような気がする。


僕達の並んだ列は、スムーズに進んだから、前の人が終わったら、次だ。

「葵ちゃんのから、処理してもらおうね」

コクコク

収納の中からギルドカードを取り出し、すぐに見せられるよう準備しておいた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。

無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。 そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。 でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。 ___________________ 異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分) わりかし感想お待ちしてます。誰が好きとか 現在体調不良により休止中 2021/9月20日 最新話更新 2022/12月27日

婚約破棄に異議を唱えたら、王子殿下を抱くことになった件

雲丹はち
BL
双子の姉の替え玉として婚約者である王子殿下と1年間付き合ってきたエリック。 念願の婚約破棄を言い渡され、ようやっと自由を謳歌できると思っていたら、実は王子が叔父に体を狙われていることを知り……!?

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

掃除中に、公爵様に襲われました。

天災
BL
 掃除中の出来事。執事の僕は、いつものように庭の掃除をしていた。  すると、誰かが庭に隠れていることに気が付く。  泥棒かと思い、探していると急に何者かに飛び付かれ、足をかけられて倒れる。  すると、その「何者か」は公爵であったのだ。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

【本編完結】義弟を愛でていたらみんなの様子がおかしい

ちゃちゃ
BL
幼い頃に馬車の事故で両親が亡くなったレイフォードは父の従兄弟に当たるフィールディング侯爵家に引き取られることになる。 実の子のように愛され育てられたレイフォードに弟(クロード)が出来る。 クロードが産まれたその瞬間からレイフォードは超絶ブラコンへと変貌してしまう。 「クロードは僕が守るからね!」 「うんお兄様、大好き!(はぁ〜今日もオレのお兄様は可愛い)」 ブラコン過ぎて弟の前でだけは様子がおかしくなるレイフォードと、そんなレイフォードを見守るたまに様子のおかしい周りの人たち。 知らぬは主人公のみ。 本編は21話で完結です。 その後の話や番外編を投稿します。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...