何で僕を?

大器晩成らしい

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「葵ちゃん、そろそろ起きようか。もうすぐドルネガに着くよ」

チュッ

「んっ・ふえっ、ドルネガ?」

窓の外を見ると、まだ明るい。

「そう、ドルネガ」

いつの間に?

耳を塞いで、静かだったし、月夜の体温が心地良くて、すっかり眠っちゃってたみたいだけど、着くの早くない?

「視界が見える程に雨が落ち着いたから、馬車を移動させたんだよ。で、雨が上がったところで、遅れを取り戻す為に、爆走させてきた」

「爆走・・・ここのところ急がせてばかりだから、お馬さんも大変なんじゃない?」

「いや、多少は疲れてるかも知れないけど、嬉しいみたいだぞ。普段、街中しか移動させないし、そんな場所で思いっきりなんて走らせられないだろ?だからこうやって、いろいろな場所を巡り、思いっきり走る事もできて、かなり活き活きとしているらしいぞ」

「そうなんだ。楽しんでるんだ?なら、良かった」


街に入り、一番近くにあった宿屋の前に停めた馬車の中で、予約をとりに行ったラピスさんが戻ってくるのを、待っている。

宿屋エレナ。

女性的な名前・・・

不思議。

男しかいないのに。

でも、普通にある名前なのかな?

宿屋の扉が開き、中からラピスさんが出てきたのだけど、表情が???

「月夜様、部屋は空いているようなのですが、他の宿屋をあたってみても、宜しいでしょうか?」

「何かあった?」

周囲を見回す。

街に入ってすぐの場所だし、まだ明るい時間だからか、結構、人通りが激しい。

「ここで話すのはちょっと・・・」

そんな、言いよどむような事?

「・・・葵ちゃんに、危険とかありそう?」

「いえ、どちらかと言えば、月夜様とトラブルになりそうな」

「僕、他の所がいい」

どんなトラブルかは知らないけど、そんな何かが起こりそうな所に、あえて泊まる必要、ないよね。

「そうだな、俺も他の場所でいい。何があったのかは、後で詳しく教えてくれる?それと、別の宿屋にするなら、ギルドの隣の宿屋にして」

「畏まりました。では、中央広場の方へ移動させます」


「中央広場?」

「この街の中心地にある、噴水のある広場なんだけど、ギルドとか宿屋とかが並んでる。泊まる為だけのつもりで、この街に寄ったから、出る時に、門に近い方が便利だと思って、そこにして貰ったんだけど、他にするなら、ギルドの隣の宿屋の方が便利かなって。予定には無かったけど、ギルドで、道中に倒した魔物の素材をある程度、売っちゃおうかなって思って。いい?」

「うん、いいよ。時間もあるようだし」

持ってるだけで使わないなら、売っちゃった方が、収納リストがすっきりするもんね。

久々のギルドだし、僕のも売っておこうかな。








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