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ピカッ
光った!
ゴロゴロピシャーン
うわ~、雷が落ちた!!
月夜が、雷の魔法を使って魔物を撃った訳じゃない。
そう、馬車が抜けきる前に、本格的に雨が降り出してきたのだ。
かなり爆走させていたのに、思った以上に、雲足が早かった。
そしてさっきの雷。
草原の真ん中、周りに高い木も、建物もない。
馬車に雷、落ちるんじゃない?
まだ、光ってから音が鳴るまでの間に間があるから、遠いのかもしれないけど、いつ近くにやってくるか・・・
うわ~ん、怖いよ~
「葵ちゃん、結界を張ったから、雷が落ちても大丈夫だよ」
「本当?大丈夫?突き抜けない?」
「本当だよ。二重に張ってあるから、突き抜けるなんて、万が一もないよ」
月夜にしがみ付いてブルブルしてたけど、月夜にそう言われて、少し安心。
でも、そうは言っても、音が聞こえる度、ビクッとしゃうから、ローブを着てフードを被り、ウサ耳を使って、音が完全に聞こえないよう、耳を塞いだ。
「(うわ~、ブルブル震えちゃって、葵ちゃん、か・わ・い・い~。ぴったり身体を寄せてくるのがまた、堪らないんだけど、どうするよ、俺。襲って、あんあん言わせたいんだけど。あ~、でも、ここで手を出したら、怒るよなぁ、絶対)」
耳を塞いで、目をぎゅっと瞑って、馬車が動き出すのを待つ。
土砂降りで、視界が悪すぎて、動くのは危ないから、今は、雨脚が弱まるのを待っているところ。
風雨を凌げると言っても、こんな中、御者席にいて大丈夫かな?ラピスさん。
「月夜、ラピスさん、平気かな?馬車の中に入ってもらったら?」
少し手を浮かせて、月夜に訊いてみた。
「葵ちゃん、優しいね。でも大丈夫、ラピスには一滴も雨は当たってないから。俺が結界を張ったのも、ちゃんと解かってるから、問題ないよ。それに、外の状況によっては、馬車を迅速に移動させないと、いけなくなるかもしれないからね。中に入ったら、それができなくなるだろ?だから、こういう時、御者は絶対に、御者席からは離れられないんだよ」
「そうなの?」
「そうなの。なんなら、その小さいの、ラピスに貸し出せばいい。癒されるだろ。きっと」
キュニュ~
モカが首を横に振っている。
「小さいのって・・ダメだよ。外に行くの嫌がってるじゃん。モカだって、こんなに震えて、僕に縋り付いてるのに。ねぇ、怖いよね?お外」
クキュ
高速で、コクコク頷いてる。
「ほら」
チェッ
「舌打ちしない!」
ピカッ
バリバリッ、ドドーン
うわっ、今度のは絶対に近い!!
僕はさっき以上にきつく耳を塞いで、目を瞑った。
月夜は、そんな僕を、守るように、優しく包み込んでくれた。
光った!
ゴロゴロピシャーン
うわ~、雷が落ちた!!
月夜が、雷の魔法を使って魔物を撃った訳じゃない。
そう、馬車が抜けきる前に、本格的に雨が降り出してきたのだ。
かなり爆走させていたのに、思った以上に、雲足が早かった。
そしてさっきの雷。
草原の真ん中、周りに高い木も、建物もない。
馬車に雷、落ちるんじゃない?
まだ、光ってから音が鳴るまでの間に間があるから、遠いのかもしれないけど、いつ近くにやってくるか・・・
うわ~ん、怖いよ~
「葵ちゃん、結界を張ったから、雷が落ちても大丈夫だよ」
「本当?大丈夫?突き抜けない?」
「本当だよ。二重に張ってあるから、突き抜けるなんて、万が一もないよ」
月夜にしがみ付いてブルブルしてたけど、月夜にそう言われて、少し安心。
でも、そうは言っても、音が聞こえる度、ビクッとしゃうから、ローブを着てフードを被り、ウサ耳を使って、音が完全に聞こえないよう、耳を塞いだ。
「(うわ~、ブルブル震えちゃって、葵ちゃん、か・わ・い・い~。ぴったり身体を寄せてくるのがまた、堪らないんだけど、どうするよ、俺。襲って、あんあん言わせたいんだけど。あ~、でも、ここで手を出したら、怒るよなぁ、絶対)」
耳を塞いで、目をぎゅっと瞑って、馬車が動き出すのを待つ。
土砂降りで、視界が悪すぎて、動くのは危ないから、今は、雨脚が弱まるのを待っているところ。
風雨を凌げると言っても、こんな中、御者席にいて大丈夫かな?ラピスさん。
「月夜、ラピスさん、平気かな?馬車の中に入ってもらったら?」
少し手を浮かせて、月夜に訊いてみた。
「葵ちゃん、優しいね。でも大丈夫、ラピスには一滴も雨は当たってないから。俺が結界を張ったのも、ちゃんと解かってるから、問題ないよ。それに、外の状況によっては、馬車を迅速に移動させないと、いけなくなるかもしれないからね。中に入ったら、それができなくなるだろ?だから、こういう時、御者は絶対に、御者席からは離れられないんだよ」
「そうなの?」
「そうなの。なんなら、その小さいの、ラピスに貸し出せばいい。癒されるだろ。きっと」
キュニュ~
モカが首を横に振っている。
「小さいのって・・ダメだよ。外に行くの嫌がってるじゃん。モカだって、こんなに震えて、僕に縋り付いてるのに。ねぇ、怖いよね?お外」
クキュ
高速で、コクコク頷いてる。
「ほら」
チェッ
「舌打ちしない!」
ピカッ
バリバリッ、ドドーン
うわっ、今度のは絶対に近い!!
僕はさっき以上にきつく耳を塞いで、目を瞑った。
月夜は、そんな僕を、守るように、優しく包み込んでくれた。
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