何で僕を?

大器晩成らしい

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「葵ちゃん、お風呂に入ろう」

「1人でゆっくり入りたい」

「何もしないから、一緒に、ねっ」

「月夜の何もしないは信じない」

「信じて。ほら、俺の目を見て!」

「・・・騙そうとしてる」

「そんな馬鹿な、純粋無垢な筈」

ジー。

いや、純粋無垢には見えないでしょ。

ジー。

「・・・ハァ、もう、本当に何もしないでよ」

「もちろん」

チュッ。

「じゃあ行こうか」

「わぁ、ちょっ、自分で行くから、こんな短距離で、抱っこなんて、しなくていいから~」

「ラピス、下着の用意、おねがいね」

「はい、篭の方へ用意しておきます」


脱衣所で、服を引ん剥かれ、月夜も素早く全裸になると、浴室へ、そして、ボタンを押して全体にクリーンをかける。

浴室の作りって、どこもこんな感じなのか聞いたら、裕福な商家以上の家じゃないと、無いらしい。

作るのと維持にお金がかかるんだって。

この宿も、あるのはこの部屋にだけ。

他の部屋は、盥に、お湯を入れて貰い、タオルを濡らして、身体を拭き、最後、盥で頭の汚れを落とすらしい。

で、一般の家庭だと、お湯屋さんと契約し、週に1度、そこの魔術師に来てもらい、新しい水に張りかえ、浴室にクリーンをかけ、適温にまで温度を上げてもらうらしい。

温度が冷めたら、家族の誰かが、魔法で温度を上げる必要があり、できる人がいなければ、適温になるまで、地道に鍋でお湯を作り、浴槽に入れていかなきゃならないって。

僕、凄く恵まれた環境にいるよね。

何時でも、清潔で温かいお風呂に、浸かれるんだから。


サワサワ~

ん?

モミモミ~

んん?

「この人痴漢で~す」

月夜の手を掴み、頭の上に持ち上げた。

「おれじゃない、冤罪だ!」

「いや、君以外、い・な・い・で・しょ」

空いてる手で、ほっぺを抓ってやった。

「いたた、酷いよ」

「サワサワ~がモミモミ~にレベルアップしてたからね。止めなかったら、大変な事になるでしょ?」

「ケチ」

「ケチで結構」

酷い目にあったばっかだからね。

今朝なんか、寝不足で大変だったんだから。

月夜には、自制を覚えてもらわなくちゃね。






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