何で僕を?

大器晩成らしい

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「えっ、どうしたの?」

僕が涙目になってるのに気付いたのか、オロオロしながら、訊いてきた。

どうしたも、こうしたもない。

「結婚式の話は、決定?僕、何も聞いてないよ。それに、何で僕がドレスで月夜がタキシード?何かそういう決まりごとでもあるの?月夜がドレスでもいいんじゃない?(似合うとは思わないけど)勝手に話が進んで行って、僕に関係する事なのに、結果だけ言われると、何か・・淋しい」

「うっ、ごめん。誰にも、奪われたくなくて。早く葵ちゃんを手に入れたくて。強引にしている自覚はあるんだ。でも、断わられるのが怖くて・・・ごめん。好きなんだ。嫌わないで」

最後の方は、涙声だった。

胸が、ギュウ~ってなって・・・母性本能?いや、女じゃないから父性本能か?

やっぱり、ほっとけない。

ここまで、好かれて、必要とされて、嬉しくない訳じゃないってのもある。

仕方ないって、思っちゃった。

「もう、いいよ。嫌わないよ。でも、これからは、何か決める時は、僕にも必ず相談して、一人で決めちゃわないで」

「・・解かった。これからは、一緒に決めていこう。・・・でも、ごめん。今までの事は、全部、決定事項なんだ。変えられない」

「?ドレスは、まだでしょ?」

「うっ、俺が着ても似合わないし、受け入れ側がドレスって決まってるから」

「本当?男しかいないんだから、スカートを穿くって習慣なくない?」

「いやっ、そんな事ないよ。ほらスコットランドのタータンチェックの伝統衣装とか」

「それ、地球での話でしょ?こっちの常識を教えて。知らないからって、僕の事、騙そうとしてるでしょ?」

「(ギクッ)そんな事しないよ」

「・・・・・・」

ジ~っと黙って見つめていたら、観念したのか、

「だって、絶対、葵ちゃんにはドレスの方が似合うし、着たのを見たい(でもって、脱がしたい。いや、待てよ?着せたままするのも・・・)お願い。作らせて。ねっ、一生のお願い※」

何か必死だ・・・

こんな事に、一生に一度のお願いを使ってもいいの?

「う~、もうっ、しょうがないな」

ここに、もし、家族や友人、知り合いがいたら、絶対に拒否していたけど、いないからいいか。

何か言われても、僕の国での風習、とでも言えばいいや。

「やっりぃ。ありがとう。葵ちゃん」

?あれっ、そう言えば、葵ちゃんに呼び方が戻ってる。

葵って呼ぶの、エッチの時限定でかな?

・・・ドキドキするから、それでもいいかも。



※注意:月夜は一生に一度とは言っていない。何度も繰り出される事になるのだが、現時点で、葵は気付いていないのであった。

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