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涼太が、葵を支え抱き締めている。
電話の内容から、葵が弟のように可愛がっている、月夜って子が行方不明なのが解かった。
震える手で、電話を切ったのを見て、その手を両手で包み込んだ。
思った以上に手が冷たい。
「大丈夫か?」
月夜って子の事は、正直言ってどうでもいいが、倒れてしまいそうな程、血の気が下がってしまった葵を見たら、葵の為に、出来る限りの協力をしてあげたくなる。
直ぐに祐樹に先生を呼びに行かせ、話し合い、写真をメールして貰ってから、手分けして、各部屋へと聞き込みに行った。
葵に見せる顔は、確かにかっこ可愛い系だが、他の奴に見せる顔は、無表情or睨み顔だ。
メールして貰った写真とは、ちょっと・・・いや、だいぶ印象が違うな。
一応、そう付け加えて、写真を見て貰った。
結果、やはり見かけた人はいなかった。
もしかしたら来てるかも、って感じで捜したから、見つからなくても、予想の範囲内。
葵を見ると、いろんな所に電話をしまくっている。
本当の弟でもないのに、ここまで必死にされると、大人気ないとは思うけど、多少は嫉妬する。
「ちゃんと寝ないと駄目だ」
手からスマホを離さず、夜中に何回も、確認をしている。
「駿・・・だって、月夜が・・・」
グッと歯を食いしばって、泣くのを我慢するなんて。
「明日、捜すんだろ?寝不足で某ってしてたら、見逃しちゃうかもしれないよ。だから、ちゃんと寝な」
頭を撫でてやったら、コクンと頷いたけど、やっぱり、手にはスマホが握られたままだった。
最終日は比叡山延暦寺。
葵はキョロキョロ周りを見て捜しながら、お寺の一つ一つに手を合わせ、真剣に祈っていた。
見つかるようにと願っているのだろう。
バスでの移動中も、先生に許可を取って、家に連絡をいれていた。
丸一日経っても、見つからないなんて、何らかの事件に巻き込まれているのだろうか?
学校に着くと、大きい荷物を二つ肩にかけ、挨拶もそこそこに、走って帰っていった。
家に帰って、夜ご飯を食べていると、電話が鳴り、近くにいた兄さんが電話に出た。
「駿~、葵君ちから電話~」
えっ?何だろう?何で家電?スマホの番号知ってるのに、わざわざ家にかけてくるなんて・・・
言い知れぬ不安を感じた。
「はいっ」
「ごめんなさい。葵の母だけど、そっちに葵が、お邪魔していないかしら?」
「えっ、学校に着いて直ぐ、一番に荷物を持って、帰って行きましたけど?」
「・・・そう、ごめんなさい。ありがとう」
電話を切られそうな様子に慌てた。
「ちょっ、待っ、電話を切らないで下さい。葵は帰ってないんですか?」
「・・・ええ、涼太君の家にも、祐樹君の家にも行ってないし、同じ様に一番に帰ったって言われて・・・ほか、行きそうな所、知らないかしら?」
「月夜君の家に行くって言って、走って帰ったから、寄り道なんてしないと思います。警察へは?」
「とりあえず、学校と、葵と親しくしてくれていた子の家に電話して、確認している所なの」
「直ぐに警察に届けて、捜してもらって下さい。俺の方で、小中での友達とか、クラスの友達に、葵を見ていないか、LI○Eしてあたってみます」
「ごめんなさい。お願いします」
電話を切った後、急いでLI○Eを送り、財布とスマホだけを持って、葵を捜しに家を出た。
電話の内容から、葵が弟のように可愛がっている、月夜って子が行方不明なのが解かった。
震える手で、電話を切ったのを見て、その手を両手で包み込んだ。
思った以上に手が冷たい。
「大丈夫か?」
月夜って子の事は、正直言ってどうでもいいが、倒れてしまいそうな程、血の気が下がってしまった葵を見たら、葵の為に、出来る限りの協力をしてあげたくなる。
直ぐに祐樹に先生を呼びに行かせ、話し合い、写真をメールして貰ってから、手分けして、各部屋へと聞き込みに行った。
葵に見せる顔は、確かにかっこ可愛い系だが、他の奴に見せる顔は、無表情or睨み顔だ。
メールして貰った写真とは、ちょっと・・・いや、だいぶ印象が違うな。
一応、そう付け加えて、写真を見て貰った。
結果、やはり見かけた人はいなかった。
もしかしたら来てるかも、って感じで捜したから、見つからなくても、予想の範囲内。
葵を見ると、いろんな所に電話をしまくっている。
本当の弟でもないのに、ここまで必死にされると、大人気ないとは思うけど、多少は嫉妬する。
「ちゃんと寝ないと駄目だ」
手からスマホを離さず、夜中に何回も、確認をしている。
「駿・・・だって、月夜が・・・」
グッと歯を食いしばって、泣くのを我慢するなんて。
「明日、捜すんだろ?寝不足で某ってしてたら、見逃しちゃうかもしれないよ。だから、ちゃんと寝な」
頭を撫でてやったら、コクンと頷いたけど、やっぱり、手にはスマホが握られたままだった。
最終日は比叡山延暦寺。
葵はキョロキョロ周りを見て捜しながら、お寺の一つ一つに手を合わせ、真剣に祈っていた。
見つかるようにと願っているのだろう。
バスでの移動中も、先生に許可を取って、家に連絡をいれていた。
丸一日経っても、見つからないなんて、何らかの事件に巻き込まれているのだろうか?
学校に着くと、大きい荷物を二つ肩にかけ、挨拶もそこそこに、走って帰っていった。
家に帰って、夜ご飯を食べていると、電話が鳴り、近くにいた兄さんが電話に出た。
「駿~、葵君ちから電話~」
えっ?何だろう?何で家電?スマホの番号知ってるのに、わざわざ家にかけてくるなんて・・・
言い知れぬ不安を感じた。
「はいっ」
「ごめんなさい。葵の母だけど、そっちに葵が、お邪魔していないかしら?」
「えっ、学校に着いて直ぐ、一番に荷物を持って、帰って行きましたけど?」
「・・・そう、ごめんなさい。ありがとう」
電話を切られそうな様子に慌てた。
「ちょっ、待っ、電話を切らないで下さい。葵は帰ってないんですか?」
「・・・ええ、涼太君の家にも、祐樹君の家にも行ってないし、同じ様に一番に帰ったって言われて・・・ほか、行きそうな所、知らないかしら?」
「月夜君の家に行くって言って、走って帰ったから、寄り道なんてしないと思います。警察へは?」
「とりあえず、学校と、葵と親しくしてくれていた子の家に電話して、確認している所なの」
「直ぐに警察に届けて、捜してもらって下さい。俺の方で、小中での友達とか、クラスの友達に、葵を見ていないか、LI○Eしてあたってみます」
「ごめんなさい。お願いします」
電話を切った後、急いでLI○Eを送り、財布とスマホだけを持って、葵を捜しに家を出た。
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