泉の聖

大器晩成らしい

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神殿に帰り着いた、マリエンヌは私に言われた通りに離縁の手続きをし、衛兵を配備したようだ。

ただ、神殿まで辿り着けたのは、側室の護衛をしていた三名だけだった。

途中、獣に襲われ、足の遅い者から順に餌として置き去りにしながら、走り抜けてきたらしい。

武器もなく、結界から放り出され、公爵家からの報酬の充てどころか、共犯者として捕まえられる可能性もあり、早々に旦那様や側室達に見切りをつけ、護る義理もないだろうと、自分が助かる為に、逃げてきたのだ。

側室・侍女・子供・旦那・護衛の体力のない順に犠牲になっていったようだ。

護衛からの話を聴いたものの、念の為、五日間神殿に待機していたが、他に戻ってくる者はいなかった。

そんな話を、神殿で約束の調理器具と調味料・染料と共に持ち帰ってきて、私がうきうきと料理している時に、話して聞かせてくれた。

「戻ってきた三名は、無期の犯罪奴隷として、鉱山で採掘をさせられているそうですよ」

採掘か~

無事に帰ってきてもどうなんだろう。

過酷な労働を一生涯続けさせられるというのは・・・

私は嫌だな~

まぁ、何れにしても、アレキサンドが、命の危険に脅かされる日々から抜け出せて、良かった。

「そうですね~せっかく助けたんですから、寿命をまっとうして欲しいですよね」


そしてまた、木々を間引き、たまに動物達を癒す、代わり映えのない退屈な日々を過ごしている。


彼らを笑顔で送り出して四年・・・


どうした、それっ。


「調味料と一緒に奉納されていたので、持って帰りました」


ヴォルフの帰りが遅いから、どうしたのか心配していたら、背中に供物と共に、人を乗せて帰ってきた。

「おひさしぶりです。聖様」

いやいやいや、奉納品じゃないでしょ、人は!!
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