泉の聖

２０

おはよう、ヴォルフ、その子の様子どうよ？

「寝てますね～。昨日よりは顔色がよろしいんじゃないですか？」

そう？昨日よりマシになってるならいいけど・・・

とりあえず、顔を洗って身支度を整え、肉を焼いてから、昨日と同じ様に果物を磨り潰した物を用意した。

肩を軽く揺らして、起きる様に声をかけると、ゆっくりと目が開いた。

金色だ。

初めて見る色だ。

髪の毛が金髪だったから、単純に目は青かなって思ってた。

あんまり、というか全然、外国の人と接した事がなかったから、ビクッとしてしまう。

・・・おはよう。

体調はどう？起きられる？

「んっ？ここは？」

目をきょろきょろ動かして、周りを探っているようだ。

私にそれを聞かれても～

ヴォルフが言っている名称が一般的かどうかも判らないし、実際ここが何て国の何て地域にあるのかも、知らないからね。

だから、これで通じるのかどうか。

たぶん神殿の側の森の中の聖域？

「たぶん？」

まっ、不審に思うだろう。

でも、勘弁してくれ。

私は、この場所しか知らないから、はっきりとした名称は分からない。

君の方が、解っているのではないだろうか？

ここまで、来ているのだから。

それよりも、今は体調確認をした方がいいかな？

身体の具合は、どうなのかな？

身体を動かして、起き上がろうとしているようだが、腕も腹筋も力が入らないようだ。

う～ん、これは、今まで治してきた動物達の回復力が凄かったのか、この子が単純にひ弱なだけなのか、判断に迷うな～

これっ、思っていた以上に、完治までに時間がかかりそうじゃない？