泉の聖

大器晩成らしい

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なかなか起きないね・・・

朝、治療したから夕方には起きるだろうと思って放置していたけど、目を覚まさない。

せっかく果物を用意して貰ったので、食べてもらいたいなぁ。

仕方なく、揺すったが・・・目を開けない。

あれっ?ヤバイのこれ?

「クンクン、いやっ、大丈夫そうですね。血が抜けすぎて、目を開けるだけの力もないのでしょう」

脅かさないで欲しい、意識があるなら呻くぐらい出来ないか?

水分ぐらい取らせないと、まずいかな?

「どうやってですか?口移しですか?」

見ず知らずの相手は、お互い嫌だろう。

う~ん

即席のスプーンを作る。

果汁が出やすい果物を選んで皮を剝き、それをコップに入れて、棒で磨り潰す。

ヴォルフ、背凭れになってあげて~

子供とマットレスの間に鼻面を突っ込んで貰って、介助しながら、どうにかヴォルフの背に寄り掛からせる。

口開けてって言ってみたが、ピクリともしない。

ほんとに大丈夫か?これ。

仕方ない。

口に人差し指を突っ込み(注意、洗浄した清潔な指を、優しく丁寧に入れました)、口を開けさせ、足の上のコップから、少しだけスプーンで果汁をすくって、口の中に差し込んだ。

指を引き抜き様子を見る。

喉が動いた。

無事、飲み込めたようだ。

口開けてってもう一度言ってみたが、開かなかったから、仕方なくさっきと同じ作業を繰り返して、水分と栄養分を補給させた。

・・・手間がかかるねぇ。

今までの動物たちは、ヒールを施せば、割りと直ぐに動き出していて、果物や肉を近くに置いとけば、勝手に食べていたから、こんなに手間ひまはかからなかった。

「いいじゃないですか、暇つぶしができて」

・・・確かに。
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