泉の聖

１２

「ではでは、あとは、動物の保護ですね。人間や他の動物に追われて、この結界の中に運よく逃げ込めた動物の、一時避難の場所の提供と、手当てをして頂きます。入ってこれるのですから、もちろん危害を加えてくる事はありません。安心して下さい」

それって、どのくらいの頻度で現れるのだろう。

「運よく、ですので２～３ヶ月に１頭ほどですね。何百年も、一時避難しか出来なかったのが、貴女がいてくれればヒール一発、手当て完了。とても、とても、助かるのです」

とても、を重ねてきやがった。

情に訴える作戦か？

でも、上手い話には裏がある筈。

私は、ここに何年、勤めなくてはならないのだろうか。

不老不死を謳っている時点で怪しい。

じ～

フイッ

目を逸らされた。

じと～

前足で器用におでこを拭う仕草をしている。

それはなんだ、冷や汗かいたのを、拭っているとでもいうのか。

誰に教わったのか、仕草は可愛いが、ちょいちょい、あざとさを組み込んでくる。

で・も・ごまかされないぞっ♪

とっとと、吐け。

「・・・お迎えがくるまでとしか」

おいおい、永久就職とかじゃないよな。

ギクッ

「いえいえ、何年勤められたかは分かりませんが、３７０年前に一回、前任者にお迎えが来ておりますので、永久ではないと、たぶん・・恐らく・・きっと・・そうではないかと思います」

曖昧すぎる！！