シャム猫

大器晩成らしい

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ウィッグOK、コンタクトOK。

スマホ・財布・鍵・空の布袋、全部持った。

忘れ物はないね。

「じゃあ、もう行くね」

「湖箔、忘れ物」

「?何もないと思うけど?」

「KISS、忘れてるよ」

逃げられないようにがっつり、後頭部を押さえ込まれ、

「えっ、んっ・・・んぅ、・・っはぁ~」

忘れてないし。

なんならついさっき、したばかりだからね。

しかも、濃厚なやつ。

スマホと財布をポケットに入れ、鍵もポケットにしまっておこうと、手を伸ばしたら、途中、ジョエルに捕まえられ、そのままソファーに押し倒され・・・

「もう、してあったでしょ?」

「あれは、まだ、帰るって言う前だから、ノーカウント」

いや、言っていないだけで、明らかに帰り支度をしていたよね?

「さっきのと、今のとで、唇がかなりジンジンとしてるんだけど、腫れてない?」

「・・・・・・大丈夫」

「間があった、怪しい」

ん~、確か、冷凍庫に保冷材を入れておいた筈、部屋に帰ったら、それで冷やしておこう。



時計を見たら、17時の20分前。

「もう行かなきゃ」

チラッと、ジョエルもそれを見て、溜息を吐いた。

俺の身体を、ぎゅっと抱きしめ、名残惜しそうにしているから、俺もジョエルの背中に腕を回し、ぎゅってした後、軽く背中を叩いて、腕を離して貰った。

「じゃあ、またね」



そ~っと、周りを窺いながら、こそこそと移動。

「うん、誰も居ない」

部屋の扉も、静かに開け閉めして、無事に到着。

この移動も、大分慣れてきたような気がする。

でも、油断大敵。

気は抜かないようにしないとね。


布の袋をクローゼットにしまって、あっ、そうだ、唇。

洗面所に行き、鏡を覗く・・・やっぱ、ちょっぴり赤くなってる。

後ちょっとしか時間はないけど、少しだけでも冷やしておくか。








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