シャム猫

大器晩成らしい

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「ジョエル、お土産」

ジョエルの手を取り、ポケットから取り出した栞を、その上にのせた。

「むき出しでゴメンね」

「いいけど、栞?チューリップとかすみ草かな。可愛いね」

「体験学習で作ってきた」

「湖箔が?上手にできてるな。貰っていいのか?」

コクンッ

「使って欲しい」

「そうか、ありがとう。大切にする・・・チュッ」

嬉しそうに、模様の凸凹をそっと撫で、その手で俺の顎を掬い、唇に軽くKISSを落とした。

「他にも何か、体験してきた?」

「うん。陶芸教室にも参加してきた」

「コップ作り?」

「ん~ん、何でもいいって言うから、お菓子を入れる器にしたんだよね。でも、大きくし過ぎた所為で、厚みとかバランスとか、結構、整えるのが難しくて、大変だったかな。帰る時に、裏に名前を書いて、預けてきたから、後は、講師が、乾燥させた後、色づけしたり焼いたりして、仕上げて、送ってくれるのを待つだけ。だいたい1ヶ月位だって。色を選んでお願いしてきたけど、どう仕上がるのか、楽しみなんだよね。本当は、自分で色も塗りたかったけど、乾燥させるのに、1週間位はかかるって言うから、残念だけど、断念。わざわざ塗りに、そこまで行けないからね」

「そうか。できて来たら、俺にも見せてくれる?」

「うん、いいよ。持ってくる」

で、そのまま、ここで使おうかな。

お菓子とか食べる機会、こっちの方が多いし。


ふと、時計を見たら、9時40分。

そろそろ、部屋に戻らないと。

明日も、授業あるし。

「ジョエル、そろそろ帰るね」

「もう、そんな時間か?早いな・・・もっと一緒にいたかったけど、しょうがない」

とか言いながら、今、腕に力、込めたよね?

「明日は、もっと早く、ここに来れるよ」

マッサージのバイトがあるからね。

こそこそ人目を気にしないで、移動できる。

部活が終わったら、先に食事をしに行って。

で、部屋に寄らないで、真っ直ぐここに来ようかな。

ジョエルと一緒に、エレベーターを使って。







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