シャム猫

大器晩成らしい

文字の大きさ
上 下
366 / 514

疾風の場合10

しおりを挟む
「それでは、皆さん、無事のお帰りをお待ちしております。お気を付けて、逝ってらっしゃい~」

じゃ、ねぇよ!

まさか、廃校まで連れてかれて、肝試しをさせられるとは思いもしなかった。

「俺、やなんだけど」

って、湖箔が言ってるが、俺も廃校は嫌だ。

「よしっ、決めた。森羅にくっ付いて行く。で、疾風は、後ろをお願い」

って前に湖箔が言ってたが、その通りの体勢で、校舎の中へと入って行った。

先頭を行かされるよりかはましだが、背後に何かいたらどうしようと思うと怖くて、振り向こうとは決して思わない。


「次、何処だ?」

森羅が、先陣を切って歩いてくれてるお蔭で、今の所、どうにか順調に進めている。

つくられたお化け屋敷と違い、こういう所は本物が出てきそうで怖いよなぁ。

何度、戻りたいという衝動に駆られた事か。

以前湖箔に、肝試しは大丈夫か訊かれた時、森羅は〝割りと平気〟って答えていたが、俺は、どうせやせ我慢だろ、嘘を吐けと思っていた。

だが、〝割りと平気〟じゃなく、〝全然平気〟の間違いだろってくらい、淡々と歩かれては、本当だ、凄ぇと認めるしかない。

とても頼もしいが、訊いておきたい。

お前の心臓、どうなってるんだ?

何処からか、叫び声が聞こえてこようが、窓がガタガタと揺れ、音が鳴っていようが、平然としているとは。


「音楽室。そこの、突き当たりにある部屋がそうだ」

音楽室か・・・正直入りたくないなぁ。

ピアノの音が、わざとらしく鳴り響いてるし。

絶対何か出てくるだろ!


・・・中に入ると、予想に反して、無人だった。

だが、お化け役の登場こそないものの、一枚の紙とデジカメ等が置かれている。

嫌な予感がする。

ベートーベンの写真を背景に、写真を撮れだと?

内容がえげつない。

写っちゃいけないもんが写ったら、どうするって言うんだ?


んっ?・・・そういやぁC組に、神主の息子がいたな。

最悪そいつに丸投げか?







しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。 妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。 ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。 しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。 父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。 父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。 ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。 野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて… そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。 童話の「美女と野獣」パロのBLです

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...