シャム猫

大器晩成らしい

文字の大きさ
上 下
364 / 514

疾風の場合8

しおりを挟む
休憩時間が30分しかないのに、共用のトイレが使用中だった為、湖箔を伴って男子トイレの中に入った。

予想していた通り、いやそれ以上に湖箔に視線が集中し、とてもじゃないが立ちションなんかさせられない。

〝そこの個室使って。俺が呼ぶまでは、中にいて〟と言って、湖箔を個室に追い遣り、さっさと自分の用を足し、湖箔に声をかけた。


流しで手を洗い、トイレから出たが、湖箔は男女関係なく、驚かれていた。

目線が、湖箔の顔とトイレのマークを行ったり来たりして、アテレコを付けるとしたら、《何で女の子が男子トイレから?》だ。

「まぁ何だ。気にするな」

との言葉以外、かける言葉が見つからない。

湖箔は無言で、悟りでも開いたような顔をしていた。


気を取り直し、自販機で飲み物を買ってから、たこ焼き屋を見に行った。

湖箔達は、ラインナップを見て、普通と言って隣の桃ソフトを買いに行ったが、俺は小腹が空いていたから、シンプルなたこ焼きを注文し、できあがるのを待った。

できあがったたこ焼きを手に、ベンチに移動。

湖箔は、桃ソフトの先端をパクッと口に入れ、〝これ、うまっ。疾風、一口いる?〟って差し出してきた。

「(間接キスだけど)いいのか?サンキュー・・・おいしいなこれ」

こういうのがやっかまれる原因なんだろうな、とは解かっているが、拒否するつもりはないんだよなこれが。

まぁ、そのタイミングを見られているとは、思ってもみなかったが・・・

バスの中で、

「(だが、美和はいい方だ。俺は、見てしまった。橘が、湖箔ちゃんが齧ったアイスを、一口貰っているのを!(怒))」

・・・凄ぇ目敏い。

俺は、その後ずっと〝ずるい〟といろんな奴に、小声で言われ続けたのだが、お前らに言いたい。

美和には何故、同じ様に言わない?

委員長が、間接キスを狙って湖箔に渡したジュースを、返却途中で横取りし、まんまと、間接キスをゲットしていたじゃないか。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

からっぽを満たせ

ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。 そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。 しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。 そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女
BL
 網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。  ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

処理中です...