シャム猫

大器晩成らしい

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資料室を出て、理科室へ、その中をすたすたと歩き廊下へ出ようと、森羅が扉に手をかけた。

ガッ

「?どうした?」

「鍵がかかってる」

ぽん

「うわっ!!」

ビクッ

「どうし、わぁああ!!」

後ろで声が上がって、振り向いたら、お化けの格好をしたのが二人、疾風の肩に手をかけてるのと、足にしがみ付いているのがいて驚いた。

どこに隠れていたんだ?

机の下か?

俺達が資料室に行ってる間に、鍵を閉めておいたのだろう。

扉を開けるのに梃子摺ってる時に出てくるなんて、よく考えられてる。

「(湖箔ちゃんと回ってるなんて)怨めしい」

「(湖箔ちゃんに抱きつかれたり、肩に手を置いたり)怨めしや~」

「(そりゃ怨めしいだろうよ)はい、南無阿弥陀仏~」

疾風、メッチャ適当・・・

その二人、出落ちみたいになってる。

「開いた」

ガラガラ

森羅は森羅で、マイペースだし。

「・・・お疲れ様。頑張って」

「「(天使!!尊い)」」

声をかけるかどうか迷ったけど、ちょっと可哀相だったから、労いの言葉をかけたら、なぜかお化けに拝まれた。

拝むなら、俺の方だから!


次は音楽室か。

廊下の突き当たりだ。

ずっとピアノの音が聞こえているから、何が起こるか、大体の予想はついている。

「あれっ?」

中に入ると、何も無い。

どっかで、音だけを流していたようだ。

部屋の真ん中に、テーブルが一つだけ置かれていて、近付いてみると、その上に判子と、一枚の紙、そしてデジカメが置かれていた。

「このカメラで、ベートーベンの写真を背景に、写真を撮れって書いてある」

うわ~、嫌な指令がきた!!!

怖いから、見上げないようにしてたのに!!

そんなの撮って、変なのが写っていたら、どうしてくれるんだよ!

責任持って、御祓いしてくれるのか?

「煽って撮るしかないよな?」

「ご丁寧に、自撮り棒がついてるしな」

手元のスイッチでシャッターが切れる奴だ。

う~、嫌だよぉ~

撮りたくないよぉ。

でも、指令だから、やらなかったら、再チャレンジをさせられる。

それは、もっと嫌だ。

俺を真ん中に挟んで、疾風がデジカメを操作。

少しずつ位置を調整しながら、5~6枚撮り、見切れている画像は、削除をしたりした。

「これでいいな」

デジカメを元の位置に戻し、押印してから部屋を出る。

さっきのお化けには悪いんだけど、理科室なんかよりこっちの方が、断然怖かった。







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