シャム猫

大器晩成らしい

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1時間半をかけて、やっと展望台に辿り着いた。

今、周囲の山々を一望しながら、達成感を味わっている所。

まぁ、上って来て良かったと言える位には、素晴らしい景色ではある。

かなり息切れして、ハアハア言ってるけど。

「湖箔、大丈夫か?」

「どうにか」

「帰り、おんぶしてってやろうか?」

「「「「「(何だと?!ふざけんな)」」」」」

「(じゃあ、俺はお姫様だっこをしてあげたい)」

「「「「「(お前は、無い)」」」」」

「帰りは下りだけだから、平気」

下り坂の方が、膝の負担は大きいらしいけど。

来る時に比べれば、全然、楽だろ。


それにしても、明日のウォークラリー、億劫だよなぁ。

山の中、地図を見ながら、歩き回るんだろ?

ハァ~、今からちょっと憂鬱なんだけど。

俺、絶対明日、筋肉痛になっていると思うんだよね。

「A組、集合~」

学級委員長の声が聞こえてきた。

「行くか」

「そうだね」

「ああ」

大輝の前に整列し、皆で移動。

坂を降り始めた所で、C組とすれ違った。

まだ、展望台に着いていなかったのか・・・

先の方に紫艶がいるのが見えた。

「よぉ、お疲れ。もう帰るのか?」

「うん。紫艶もお疲れ。だから、お先ね~」

「ああ、またな」

「うん。また」

目が合い、互いに片手を軽くあげる。

横を通る時に、言葉を短くだけど交わし、そして、片手をひらひらと振りながら、別れた。


・-・-・-・その後の紫艶・-・-・-・

「何だよ今の、超フレンドリーな感じ」

「友達なもんで」

「「「「「湖箔ちゃんに俺達を紹介してくれ」」」」」

「悪い、今、新規受付をしていないから」

「「「「「何それ?」」」」」

「そもそも、他のクラスに友達つくる暇あったら、自分のクラスや部活でつくるんじゃないのか?」

「「「「「クラスは来年を期待するしかない!となると、残るは部活だ!」」」」」

「悪い、部活は、今、入部審査が厳しくて、通り辛いと思う」

「「「「「何故?」」」」」

「湖箔目当てに、うちの部は入部希望者が殺到。他の部は、退部希望者が多過ぎて、存続の危機を迎えた所も。だから、お前等みたいに、不純な動機で入部しようとしている奴は、元の部へ追い返してくれって泣きつかれて。こっちとしても、部活での湖箔の安全性や快適性を守る必要があるからな。そんな訳で、殆んどの奴は、バッサリ切り捨てられて、追い返されてる」

「「「「「どうにかしてくれ!」」」」」

「無理」


クラスメイトに纏わりつかれ、景色どころじゃなかったらしい。





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