シャム猫

大器晩成らしい

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食堂で、絶対に教えないと言ったのが効いたのか、部活の時間になる頃には、ざわめきは治まっていた。

俺達に訊いても、無駄だからね。

中里さんだって、自分から名乗り出るなんて、しないだろうしね。

頑張れるだけ頑張ると言ってたけど、〝付き合う気がない、時間を無駄にさせたくない〟と俺が言った事を、理解してくれたのか、1週間経っても、何のアクションもしてこないから、諦めてくれたのだろう。



「湖箔君、おはよう」

「・・・おはようございます」

まさか、普通に挨拶してくるとは思わなかった。

胸にあるバッチで、2年生だという事は、判っていた。

先輩から挨拶され、無視する訳にもいかず、挨拶を返すと、〝ありがとう〟って、はにかまれた。

いやいや、ありがとうは可笑しいから。

他、何も言う事なく別れたけど、会う度、普通に挨拶されるようになった。

まぁ、挨拶ぐらいはいいか。



「中里か?告白してきたの」

放課後、部活に行くと、副部長がニヤニヤしながら寄ってきて、いきなりそう言われた。

「・・・いいえ、違いますけど、何でそう思いました?」

「空手部だし、あいつ人望があるから、協力者がいっぱいだろう?それに、何より、最近、笑顔で挨拶を交わしてるようだからな」

「それだけで・・・」

そもそも、人望があるかどうかなんて、知らないんだけど。

「で、本当のところは?」

「違いますよ。挨拶だって、されれば普通にし返しますし、それイコール告白の意味が解かりません」

とりあえず、白を切り通しておこう。

「ふ~ん。まっ、いっか。・・・そう言えば、明日から1年は林間学校だろ?」

「えっ、はい、そうですが?」

「まあ、迷子にならないよう、頑張れ」

肩を叩いて、去っていったんだけど、疾風や森羅がいるから、迷子になんてならないからな。

嫌なフラグをたてようとするな。





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