シャム猫

１７６

「ジョエル？」

ぎゅっと俺を抱き締めたまま、動きが止まった。

どうしたのだろう。

「ん、ごめん。幸せだなって・・・」

・・・じゃあ、何で苦しそうな顔してるの？

眉間の皺を、指で伸ばすように触れた。

俺の言いたい事が、解かったのか、

「この幸せを失くしたくない。ずっと傍にいて欲しい」

って。

・・・何で、失くす事を考えてるんだろう。

幸せすぎて、不安、とか、そういうのかな？

でも、今、俺が、ジョエルをそこまで幸せな気分にさせてるって事だよね？

何か、嬉しいかも。

「うん、傍にいる。だから、大切にしてね」

「っ、もちろん」

優しく、幸せを味わうように、何度も角度を変え、唇が重ねられた。



トントントン

背中をタップして、キスを止めた。

「唇、腫れちゃう・・・」

「クスッ、悪い・・・シャワーに行くか」

「うん」

膝の裏を掬い、軽々と抱き上げ、浴室へと運ばれた。

・・・ジョエルって、何気に、筋肉あるよな。

細マッチョってやつ？

何かやってるのか訊いたら、腕立てとか、腹筋とか、スクワットとか、わりとしてるって。

俺もするかな・・・



「あっ、自分で洗うから」

「遠慮するな」

「遠慮とかじゃないから」

弄られ過ぎた所為で、布が触れただけで、胸が痛いんだけど。

赤くなってるし。

「だるいんだろ？いいから任せて」

「あっ、ちょっ、そこは・・・んっ・あっ・ぁあ・」

丸洗いされたんだけど、デリケート部分は素手で、これでもかってくらい、丁寧にされて・・・



バスローブを羽織らされて、ソファーの上に置かれたんだけど、もう動けそうに無い。

目を瞑ったら、そのまま、眠っちゃうと思う。

ジョエルは今、ベッドのシーツを綺麗なのと交換してくれてる。

あ～ふぅ。


「湖箔、お待たせ・・・眠そうだな。眠っていいよ」

そんな事言って、頭を撫でられたら、余計眠くなる。


ジョエルに抱えられ、ベッドに運ばれる僅かな間で、完全に夢の中へと落ちていた。