シャム猫

大器晩成らしい

文字の大きさ
上 下
268 / 514

紫艶の場合11

しおりを挟む
食堂で並んでいる時、湖箔の態度に違和感を覚えた。

席を探しているようで、そうじゃないような。

前が随分空いた事を指摘すると、ごめんといい、前を詰める。

誰かを捜しているのか?

態度にあまり出さないようにしているからか、判り辛いが、見当たらなくて、がっかりしている?そんな風に感じる。


トレーを受け取り、空いている席に向かう。

端から俺、湖箔、俺の前に疾風、湖箔の前に森羅って具合に座った。

座って直ぐ、林間学校時の体験学習希望調査アンケートを提出したか、訊かれた。

正直、どれでもいいと思うが、どうせなら、湖箔達と同じにしようと思って、提出しないでおいた。

そして、湖箔達も、クラスが違うのに、ちゃんと俺も、頭数に入れていて、希望を訊いてくれた上、3人共、用紙を提出しないでいてくれた事が分かって、何か、胸がむず痒く感じた。

要するに、嬉しいって事だ。


話しが決まった丁度そのタイミングで、ジョエルが、湖箔に声をかけた。

「楽しそうだね。隣いい?」

「どうぞ」

湖箔が、ジョエルを見て、口角を上げたのを見て、またしても、小さな違和感。

何か、以前とは、二人の間に漂う雰囲気が、変わったような?・・・

感覚的なものだから、あくまで、感じるという程度なんだが、気になるといったら気になる。


ジョエルとも林間学校の話から、ウォークラリーの話になり、湖箔には地図は任せられないという話になった。

本人がクイズだけ頑張ると言った事に対し、全員で揃って肯定したら、盛大に拗ねて、プイッと横を向いてしまった。

なのに、少し黙って考える素振りをした後、横を向いたまま、疾風と森羅に、「置いて行かないでね」と、耳を赤く染めながら小声で告げるとは、腕を上げたな。

デレ具合が、可愛いな、おい。

これは堪らない。

周りの奴等も、顔に手を当て、身悶えている。

こいつら全員、俺達の会話に意識を向けていたのか?

結構小さな声だったのに、聞こえていたのか・・・

凄ぇ耳、良すぎ。





しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

淫愛家族

箕田 悠
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。 妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。 ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。 しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。 父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。 父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。 ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。 野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて… そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。 童話の「美女と野獣」パロのBLです

処理中です...