シャム猫

１３６

「嘘じゃない。苦しいほどに、お前の全てを欲している。こんな感情を持ったのは、湖箔にだけだ」

・・・嬉しい。

俺だけだという、俺だけを求めてる。

求められてる。


皇紀にも、求められていた。

でも、全然同じじゃない。

皇紀との行為は、怖い。

性的に見られる事も、俺の身体で兆してるのを見せられた事も。

乳首を弄られ、感じるようになった事も、おしりの中を弄られるのは、違和感しかなかったのに、前立腺を押され、快感を得、射精までするようになった事も。

身体と一緒に、心まで変えられそうな事も・・・

全てが怖かった。

事ある毎に　囁かれる愛の言葉

優しい手つき

男となんて考えた事もなかったのに、皇紀との行為を夢に見て、夢精までしてしまった時は、ショックだった。


それなのに、それらをしてくるのがジョエルならって考えた時、怖いなんて、微塵も感じられなかった。

ジョエルになら、全部あげても良いとさえ思える。

皇紀にされた事の続きをしてもいいと・・・

記憶をジョエルで、上書きされたい。


「大丈夫。今日は、後ろには触れない。徐々に俺との行為に慣れてくれればいい」


性急に進めないという内容の言葉に、安心したような、残念なような、複雑な気持ち。

再び、口の中に舌を這わせ、官能を高ぶらされる。

唇から離れ、首筋、鎖骨と音を立ててキスをしながら、頭が下がっていく、胸に息がかかり、期待に腰が揺れてしまう。

「んっ、あっ・・んっつ」

乳首を舌で嬲られ、手の甲を押し当て我慢してたのに、声が漏れ出てしまう。

舐めては甘噛みし、そのまま歯で軽く擦られ、また舐めては強く吸われる。

堪らなく、気持ちいい。

「お願い、もう片方も・・・して」

お願いするのは恥ずかしくて、でもして欲しくて、目を逸らしながら、小さな声で言った。

クスッ

「いいよ。でもその前に、ここじゃ狭いから、ベッドに移動していいか？」