シャム猫

大器晩成らしい

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疾風の場合6

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「薬持ってくる間、宜しくな」

「了解です」

言われなくても、見てるっつうの。

「直ぐ戻る」

美和も湖箔の頬を一撫でしてから、保健室を出て行った。

・・・俺も、頬に触れてみた。

「熱いな、おでこも冷やすか?」

「・・・ん」

冷え○タくらいあるだろうと踏んで、何箇所か引き出しを開けた。

おっ、やっぱ、あるじゃん。

封が切ってある。

そこから一枚取り出し、ジェルの部分に付いている薄いシートを外し、湖箔の額に貼り付けた。

「ありがと・・・」

「ゆっくり、寝るといい」

周りのカーテンを引き、目の上を手で覆った。

合宿中、ばれないよう、気を張っていただろうし、充分に睡眠も取れなかっただろうから、疲れが溜まってたってのもあるんだろ。

スー・・・スー・・・スー・・・

暫くすると、寝息が聞こえてきた。

そっと、目の上から手を外し、寝顔を見る。

・・・

ウィッグやコンタクトで変装しなくても、普通でいられるようにしてやりたいけど、たぶん無理なんだろうな。

今のままでも、充分、騒がれているのだから。

変装を解いた姿は、破壊力抜群な、透明感のある美少女。

精巧に作られた人形のようで、動いているのが不思議な程。

誰もが、触れて、確かめてみたくなるだろう。


・・・こうやって、間近でよくよく見ると、眉毛と睫毛に、マスカラか何かを塗っているのが判る。

根元が銀色の部分を見つけた。

まぁ、至近距離でじっくり見ないと、判らないだろうから、さして問題はないか。


カタッ

?美和が戻ってきたのか?

にしては、随分と早いよな?

気を遣って、静かに扉を開けてるようだが、誰だ?

さっき、ベルが鳴っていたから、生徒ではないだろう。

・・・たぶん。

とりあえず体を起こし、身構えながら、相手の動向を探った。


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