シャム猫

大器晩成らしい

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疾風の場合5

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バン!!

保健委員が、先生を連れてくるのを、扉の前で待っていると、大丈夫か扉って思うほど、乱暴に開けた音が聞こえ、その音の方を見ると、美和が慌てるように出てきていた。

俺達の方へ走り寄ると、急いで保健室の鍵を開け、扉を開き、保健室の電気を点け、ベッドの方へ行くと、上掛けを持ち上げ、ベッドの上に下ろすよう指示した。

俺が湖箔の上履きを脱がせたのを確認してから、森羅は優しく、湖箔を下ろした。

美和は、上掛けを湖箔にかけると、保健委員が用意した、氷枕に軽くタオルを巻き、湖箔の頭をそっと持ち上げ、普通の枕と差し替え、そっとその上に下ろした。

「冷たくて、気持ちいい・・・ありがと、皆」

ハニカミながら微笑んだが、プラス、熱で潤んだ眼は反則だろう。

「「「「(KISSしていいかな?)」」」」


さっきより熱が上がってきてるな。

「ちょっとごめん、体温測るから」

保健委員が体温計の電源を入れ、それを湖箔の耳に差し入れ、測定を開始した。

ピピピピッ

「38度6分、結構ありますね。どうしましょう、先生」

「寮に送っても、誰もいないからな。ここで暫く様子を見て、下がらない様なら、病院に連れて行こう」

「病院は嫌です」

「嫌ですって言われてもなぁ・・・う~ん。じゃあ、今まで服用した事がある薬とか、持ってきてるか?」

「はい」

「どこに置いてある?」

「朝、風邪薬を飲んだから、テーブルの上に出しっぱなしです。袋の中に、解熱剤も入ってます」

「そうか、ちょっと行ってくる。勝手に入らせて貰うぞ」

「先生、授業は?」

「今日の午後は、どこも受け持って無いから大丈夫。あとは帰りのホームルームに出るだけだ」

「じゃあ、先生が戻ってくるまで、待つ事にするよ(一人にするのは心配だからな)」

「ああ、頼んだ。雪原と清水は、授業に行け」

「先生、俺が残ります。保健委員なんで」

「いや、橘の方が、湖箔も気を遣わなくていいだろう。お前は体育の先生に湖箔の熱が高いから、保健室で休ませる事と、橘が遅れていく事を伝えておいてくれ」

「(え~折角のチャンスなのに~)は~い、分かりましたぁ」

渋々だな。

「じゃあ行くから・・・ゆっくり休んで。授業が終わったら見に来る」

森羅は、熱で赤くなった湖箔の頬を撫でてから、保健室を出て行った

・・・

恋愛感情云々はさておき、湖箔の事を、大事に思っているのは、確かなのだろう。

と思うことにした。
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