シャム猫

大器晩成らしい

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疾風の場合4

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「おっおい」

着替えが終わり、湖箔に声をかけると、一旦立ち上がったが、次の瞬間ふらっとし、机に手をついた。

慌てて支え、もう一度、椅子に座らせた。

「自分で歩けなそうか?」

「んっ、ちょっとふらついただけだから大丈夫」

いやっ、大丈夫じゃないだろ。

顔色が悪いし、汗もかき始めている。

「ちょっとごめん」

背中と太ももの下に手を入れ、素早く抱き上げた。

!!

・・・思っていたより軽い。

「「「「「(!!何だと!!)」」」」」

「えっ、ちょっ、自分で歩くよ」

「「「「「(ほんのり頬染め、カワユス)」」」」」

「遠慮するな」

「遠慮とかじゃなくて、恥ずかしいって」

だろうな。

お姫様だっこだし。

「大丈夫、誰も気にしないって」

「「「「「(上手い事やりやがって!!)」」」」」

「橘!保健委員だから俺が連れてくよ」

「「「「「(OH~勇者が現れた)」」」」」

「いや、いい、このまま俺と森羅で付き添うから、体育の先生に伝えといて、遅れるかもって」

「いやいや、そんな訳にはいかないよ。俺の仕事だから」

「「「「「(お前、いつからそんな真面目君になった)」」」」」

「じゃあ、他の奴に伝言頼んで、付いて来ればいい。早く横にさせてやりたいから、先に行ってる」

「え~、本村、悪い。先生に言っといて」

「俺、歩きたい(ボソッ)」

「何?早く連れてって欲しいって?よし、分かった。任せろ」

「ハァ~。言ってない」

身体が熱い。

「森羅、急ぐぞ」

「ああ」


・・・


「チッ、保健室、閉まってるな」

張り紙に、ご用命のある方は、職員室までと書いてある。

「学会かよ・・ちょっと職員室行って、先生を捕まえてくる。ここで待ってて」

一応、保健委員が(勝手にだが)付いてきて、正解だったようだ。

「頼む」

「疾風、一回おろして、重いだろ?」

「いや、大丈夫」

「疾風、俺が少しの間、代わる」

「・・・・・・じゃあ」

珍しい。

森羅から、何かしようとか、何かしたいとか、初めて・・だよな?

森羅が差し出した腕の上に、湖箔を移すと、大事そうに抱え込んだ。

?!

「ねぇ、そろそろ俺の意見、聴いてくれない」

湖箔が往生際悪く、ぶつぶつ言ってるが、とりあえず聞き流した。


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