シャム猫

９９

「湖箔の好きなタイプってどんなの？」

唐突にジョエルに聞かれ、言葉が詰まった。


「っ・・・好きなタイプ？」


そう言えば、考えた事なかったな・・・

女の子って言えば・・・・・・近くにいた記憶がない。

そういえば、傍にいるのを嫌がられていたから、俺の机の前後左右斜め、全方向、男ばかりだったな・・・

仲のいい友達ばかりだったから、別にいいのだけど、思わず遠い目をしてしまう。


（＊湖箔は知らない事だが、女子は、湖箔と並んで、容姿を比較させるのが嫌で、近くの席になるのを、拒否していた。それを、男子はこれ幸いとばかりに、周りを囲うように陣取っていた）


体育の時や、全校集会とかの時には、隣に並ぶ事もあったけど、雑談をした事は皆無といえる。

逃げる時に匿ってくれた人達の中には女の人もいたけど、年上のお姉様ばかりだし、なんでかは解からないけど、同姓として扱ってきていた・・・


（＊お姉様方は思考が腐っていた。変装用の衣装を嬉々として用意し、着せ替え人形の如く扱っていた。男性社員と並ばせ、いろんな事を妄想し、腐腐腐と楽しんでいたのであった）


言い寄ってくる男をあしらうのに精一杯で、誰かに恋をしている余裕がなかった。

「・・・分からない。考えた事もない」

「好きになった子とか・・・いないの？」

「うん・・・いない」

「ふ～ん。じゃあ、誰かと付き合う時に、これだけは必要と思う条件ってある？」

食い下がってくる・・・そんなに知りたいか？

興味本位？

でも、条件、か・・・


う～ん、誠実さ？

やっぱ、浮気はされたくないよな。


優しさ？

人に優しくできない奴とは、続きそうにない。

暴力をふるう奴も嫌だな。

ＤＶってやつ？

無いな。

荒んでる奴。

ギャンブルや酒に溺れてたり・ヘビースモーカーな人は嫌かな。


愛情か？


その時、ふと、皇紀の顔がよぎった。