シャム猫

８４

「頂きます」

食事処で、海鮮丼が出てきた。

イカ・たこ・生えび・サーモン・いくら・ハマチ・マグロ、ここまでは大好きなネタだ。・・・雲丹。

雲丹も苦手なんだよね。

自然と眉が寄っていたみたい。

「どうした？」

「雲丹が・・・」

「どれかと、交換するか？」

「えっ、いいの？」

「ああ、雲丹は好きだから大丈夫。ハマチならいける？」

「うん、紫艶、ありがとう」

無事、物々交換が成立した。

「う～ん、おいしい」

「よかったね」

「うん、そういえば、ジョエルや紫艶って、嫌いなもの無いの？」

「臭いのキツイの」

何となくわかる。

おいしいと言われても、臭いでおえってなっちゃうのは、無理だな。

「ジョエルは？」

「特には・・・ああ、虫系は駄目かな」

「「俺も、それは無理」」

食べる以前に、見るのもNG。

虫食がブームでも、絶対乗っからないね。

「「「「「ご馳走様（でした）」」」」」

全員、食べ終わったみたいで、副部長が会計をして、店を出た

「お昼は１２時に、ここからも見えるけど、道路の向こう側にある、蕎麦処　膳　に集合すること。それまでは、浜辺で自由行動だが、店に入れなくなるので、ふざけ過ぎて全身ずぶ濡れにならないよう。以上。解散」

全身ずぶ濡れになったら、まだ、肌寒いこの時期じゃ、風邪をひくんじゃないか？

でも、部長が注意しておかないと、そういう事をしでかしそうな先輩が、いない訳でもない。

解散の声がかかると、当然のように、ジョエルに手を繋がれ、誘われるまま、砂浜へと下りていった。