シャム猫

紫艶の場合７

宴会場で食事をし、部屋に戻ってきたのは９時過ぎ。

洗面台に置いてあったアメニティーグッズの籠の中から、歯ブラシセットを取り出して歯を磨いていると、湖箔も隣に並んで、歯を磨き始めた。

ジョエルも来たけど、持ってきたマウスウォッシュで口を漱ぐと、すぐに洗面所から出て行った。

湖箔も自分の歯磨き粉を、わざわざ持ってきたようだ。

「ミント系よりこっちの方が好きなんだよね」

ピーチ味の歯磨き粉・・・

「子供用だな」

「いいじゃん。好きなんだから」

かわいらしく、口を尖らせる。

思わず、指で摘まんだら、わき腹を擽られ、噴出しそうになった。

歯を磨き終え、ジョエルに聞こえないよう、小声で風呂に入るように促がしてから、洗面所を後にした。

部屋ではジョエルがテレビを見ている。

「温泉入りに行かないのか？」

「丁度今、面白いとこだから、これ見てから行くよ」

湖箔は歯磨きを終え、ベッドの上に用意しておいた着替えを取りに来ると、風呂場に戻っていった。

扉を閉めているが、かなり音が漏れてくる。

水音を聞いていると、いらぬ想像をかき立てる。

湖箔は男、湖箔は男・・・

脳内で繰り返し、腰に集まりつつある熱を散らす。



ブオー

「そろそろ行ってくる」

「先生が戻ってくる頃、寝てるかもしれないから、鍵を持って行ってくれる？」

「そうだな。露天風呂にでも、ゆっくり浸ってくるよ」

着替えと鍵だけ持って、部屋を出て行った。

ドライヤーの音が止むと、程なくして、頭からスポーツタオルを被り、髪を拭いているふりをしながら、脱衣所から出てきた。

ジョエルの行方を聞かれ、風呂へ行った事を告げると、タオルを頭から取り外した。

温まったからか、頬が紅潮して艶っぽくなっている。

女だったら、即ベッドに押し倒してるな。

せっかく散らしたのに・・・



シャワーで、飛び散った白濁を排水溝に押し流し、全身を綺麗に洗ってから、浴槽に浸かった。

・・・湖箔があんな表情を見せるのが悪い。