シャム猫

大器晩成らしい

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捕獲3

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「ピチャ、クチュ」

執拗に逃げる舌を追いかけ、絡ませる。

「皇紀さん。失礼します」

「・・・なんだ」

「先程注文した品。店員が持って、こっちに向かって来るようです」

チッ、名残惜しいが、解放してやる。

少しして、コーヒーやケーキの乗ったトレイを持った店員が来て、それを俺達の前に並べていく。

「ご注文は御揃いですか」

「ああ」

机の端の伝票入れの中に、伝票を筒状に丸めて挿し入れると、「どうぞ ごゆっくり」と言って、厨房の方へと戻って行った。

「こんな所で、何を考えているのです?」

眼の下をほんのりと赤らめながら、睨んできた。

どんな表情も綺麗だな・・・

「お前が、こっちを見ようともしないからだ」

「貴方、私の性別、勘違いしているのですか?」

「男なのは知っている」

「じゃあ、恋人になってくれなんて、受けられる訳ないって解りますよね。口付けもやめて下さい。貴方、ホモですか? 私はノーマルなんです。冗談はよして欲しい」

「冗談でこんな事はしない。今まで、男に興味を持った事なんて、お前以外に一度もない。男女関係なく、お前だけに、どうしようもなく魅かれているだけだ」

「っ、それでも、許可なくこんな事、やめて下さい」

「無理だな」

「何故?」

「お前が、魅力的過ぎるのがいけない」

「ふざけるなっ。皆して、追って来て。ゆっくり街を見て歩く事すら出来ない。いい加減、ほっといてくれっ」

やっと、敬語が外れたか・・・

「ふっ、たとえ俺が手を退いても、他の奴等が手を出してくるだけだ。だからいい加減、お前の方が諦めて、俺のものになれ。護ってやる」

「自分の身ぐらい、自分で護れる」

「限度があるだろ。とりあえず、食べたらちょっと付き合え」


仲間に金と伝票を渡して会計をさせ、俺は逃げられないよう、彼の腕を掴んで一緒に外へ出た。
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