異世界への迷い人？

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「では、移動しようか」

「「「はい」」」

さっき扉を開けた時、気付かなかったけど、部屋を出たら、扉を守るようにして並んでいた、近衛騎士？がいなくなっていた。

王様の護衛騎士だったのかな？

部屋から出て、来た時とは反対の方向へ進んだ。

階段も上って、結構歩いてるのに、まだ着かないの？

偉い人ほど、奥の方に部屋があるっていうけど、奥過ぎない？

「リョウ、大丈夫か？抱っこしようか？」

いやいや、確かに最近甘やかされ過ぎて、あまり自分で歩いていない自覚もあるけど、そこまで衰えてはいないよ？

「まだ、大丈夫です」

「そうか？」

がっかりしたような顔。

僕の事、抱っこしたかっただけか～い。

セントローレンさんも、クスクス笑ってるし。

「フフッ、もう少しで着きますよ」

この人、余裕そう。

毎日、かなりの距離を歩いてるとみた。

獣人だから、苦じゃないのかな。

でも、人族もお城で働いてるよね？

どうしてるんだろ？

慣れか？


「ここだよ」

やっと着いた～。

僕一人じゃ、絶対に来れないよ。

絶対、迷子になる。

この扉も、他の扉となんら変わった所がない様に見えるし、たとえここまで来れたとしても、素通りすると思う。

「入って」

おじゃましま～す。

ＯＨ～、重厚感ある～。

落ち着きのあるダークブラウンの大きな執務机が奥に置いてあって、その手前に限りなく黒に近い茶色のソファーセット。

入ってすぐ横の壁には暖炉があって、その上に、お洒落な置時計が置かれていた。

「適当に座って」

う～ん。

そう言われても、こういうのって、座る場所とか決まってるんじゃ？

「リョウ、座ろうか」

総隊長さんの顔を仰ぎ見ると、柔らかく微笑みながら、手を引いて、ソファーに・・・

いやいや、何で膝の上？

セントローレンさんに、またクスクスって笑われて、恥ずかしい事この上ないし。

何処に座っていいか解からなくて困ってたけど、いくらなんでも、ここだけは違うって、はっきり解かるよ。