異世界への迷い人？

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さっきのサイレンで来たのは、パトカー２台と、救急車３台、それとオフロードカーや軽トラ４台。


救急車は、より重傷だった者２名ずつを乗せ、キャンプ場を後にした。

その際、救急隊員を３名、応急処置要員として残して行ってくれたが、まだまだ重傷者がたくさんいる。

早く、次の救急車を寄越して欲しい。


オフロードカーや軽トラから、１５～６人、降りてきて、猟の準備を始めたから、獣達が駆け込んで行った場所を教え、

「友達が獣達に追われているから、助けて欲しい」

って、お願いした。

準備が整うと、〝危険だから森に入らないように〟と言って、俺の肩をポンポンと叩いてから、森の中へと消えていった。

結局、〝助けて来る〟とは言ってくれなかった。

生きてる可能性は薄い、とでも思っているのだろう。

でも俺は、絶対生きてると確信している。
　
生きたまま連れ去られた生徒達がいるからだ。

不思議な夢を見た者全員と、その夢の中で連れ去られていた者は、ここで殺されてはいない。

そして、不思議な夢を見た者の中に、涼は含まれているのだから。


パトカーから降りてきた警官達が、現場検証を始めた。


「では、生徒が全部で３２０名、先生方が２０名、キャンプ場のスタッフが１０名の計３５０名がいて、その内、ここに今いるのは、ケガ人含め７８名で合ってますか？」

「さっき救急車で、６名運ばれて行ったので、７２名です」

「分かりました・・・では続けます。麓に助けに向かって保護されたのが、１９名、森の中をいまだ彷徨っているかもしれない者が、数名、生きたまま連れ去られたのが、十数人、合わせて約３０名として、残り約２２３名は、殺されて連れ去られたという事で合ってますか？」

「（１９人も、麓まで辿り着いたんだ・・・良かった）はい、そのぐらいで合ってると思います」

何で、子供の俺が、質問に答えなきゃいけないんだよ、とも思うが、仕方ない。

早い話、コテージの中は、安全じゃ無かったって事だ。

床下収納に隠れた人と、物置に隠れた人、ロッカーやトイレに隠れた人は助かったけど、他は、窓を割って入ってきた獣達に、殺されてしまったようだ。

警察に声をかけられるまで、隠れたままだったのだから、そりゃ、外の様子なんて知ってる訳がない。


コテージの中に入れて貰ってたら、俺も死んでたかもしれないと思うと、屋根に上っていて、本当に良かったって、涼のおかげだよ、ありがとうって、早く伝えたい。