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うっく、うっく
声を上げて泣いてもいいのに、我慢なんかしなくていいのに、押し殺したように泣く。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
目元を赤く染め、消え入りそうな声で、そんな事を言う。
全然、大丈夫なんかじゃないだろ。
離れようとするのを、抱き込んで、無理矢理だが、引き止めた。
暫くそのままでいると、フッと身体の力が抜けるのを感じた。
・・・眠ったか。
可哀相に・・・
リョウが倒れないよう気を付けながら、抱え上げた。
「どうだ」
「(眠りました)」
「(泣き疲れか?)」
「(もしくは、現実逃避か)」
「(・・・そうか)」
ここから現れたのは、間違いないだろう。
だが、境界が消えているのも、事実だ。
現状、元の世界に帰れるかどうか、誰もその答えを知らないのだから、リョウにかかるストレスは、相当なものだろう。
眠って、それが薄らぐのなら、静かに眠らせてあげたい。
鍵となるのは、霧と足跡。
それらを今、隊員達に捜索させてはいるが、見つかる可能性は、低い気がする。
こんな事例、今までに、聞いた事が無いからだ。
この国の、一番の物知りと言えば・・・亀族のガラパ宰相だな。
一番の長寿でもあるしな。
彼が知らなければ、あと、知ってる人はいないかもな。
リョウに頼まれた救助の件は、できれば、きちんとしてあげたいし、皆そのつもりでいる。
だが、今朝の襲撃の規模から、その場所から、ダークウルフ達が引き上げてきたのでは、とも考えている。
それでも、結果どうなったかは、知っておいた方がいいと思うし、治療が必要な者がいたら、手助けは出来る。
だから、どっちにしろ、そこまでは行くつもりだ。
でもその後、俺達としては、リョウを、そのままそこに置いて帰ろうとは、思ってはいない。
できれば、こっちの世界に、一緒に帰って来て欲しいと思ってる。
向こうの世界に、家族や友人がいるのだから、そんなの難しいと、解かってはいるのだが・・・
・・・手放したくない。
目に見える範囲にいて欲しい。
そんな思いが溢れ、止めようが無い。
声を上げて泣いてもいいのに、我慢なんかしなくていいのに、押し殺したように泣く。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
目元を赤く染め、消え入りそうな声で、そんな事を言う。
全然、大丈夫なんかじゃないだろ。
離れようとするのを、抱き込んで、無理矢理だが、引き止めた。
暫くそのままでいると、フッと身体の力が抜けるのを感じた。
・・・眠ったか。
可哀相に・・・
リョウが倒れないよう気を付けながら、抱え上げた。
「どうだ」
「(眠りました)」
「(泣き疲れか?)」
「(もしくは、現実逃避か)」
「(・・・そうか)」
ここから現れたのは、間違いないだろう。
だが、境界が消えているのも、事実だ。
現状、元の世界に帰れるかどうか、誰もその答えを知らないのだから、リョウにかかるストレスは、相当なものだろう。
眠って、それが薄らぐのなら、静かに眠らせてあげたい。
鍵となるのは、霧と足跡。
それらを今、隊員達に捜索させてはいるが、見つかる可能性は、低い気がする。
こんな事例、今までに、聞いた事が無いからだ。
この国の、一番の物知りと言えば・・・亀族のガラパ宰相だな。
一番の長寿でもあるしな。
彼が知らなければ、あと、知ってる人はいないかもな。
リョウに頼まれた救助の件は、できれば、きちんとしてあげたいし、皆そのつもりでいる。
だが、今朝の襲撃の規模から、その場所から、ダークウルフ達が引き上げてきたのでは、とも考えている。
それでも、結果どうなったかは、知っておいた方がいいと思うし、治療が必要な者がいたら、手助けは出来る。
だから、どっちにしろ、そこまでは行くつもりだ。
でもその後、俺達としては、リョウを、そのままそこに置いて帰ろうとは、思ってはいない。
できれば、こっちの世界に、一緒に帰って来て欲しいと思ってる。
向こうの世界に、家族や友人がいるのだから、そんなの難しいと、解かってはいるのだが・・・
・・・手放したくない。
目に見える範囲にいて欲しい。
そんな思いが溢れ、止めようが無い。
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