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リョウ君は、今すぐにでも、友達を助けに行って貰いたいのだろう。

でも、テントを張り始めた時点で、5の刻。

今、テントの外では、夕食の準備を始めていて、食事が終わる頃には、暗闇に包まれる。


今からでは、動くのは難しい。


仮に、救出に向かうとして、この場を、そのままにしては行けない。

片付けに時間もかかり、たいして進まない内に、暗くもなる。

山の中、夜、動き回るのは、得策ではない。

獣が活発に動きだすから、危険度が増す。

隊員には、食事や休息も必要だ。

慣れない山の中、かなりの距離を、移動して来たのだから。

だが、行った先に、テントを張れる様な場所があるとは限らないってのは、困る。

暗闇の中、寝食の準備をするのは、かなり難しい。


「悪いな、明日、日が昇り始めたら、すぐ、行動を開始するから、今は我慢してくれ」

コクンッ

説明を聴き、泣きそうなリョウ君の、頭や背を撫でながら、さり気無さを装い抱き締めた。

・・・可愛いな~おい。

くんくん。

それに、良い香りだ。

ハァ~

堪らん。

「総隊長」

「何だ」

「(匂いを嗅ぐのはどうかと・・・)」

「(・・・嗅いでない)」

「「「「(嗅いでただろ!)」」」」

「(まぁ、それは置いといて)そろそろ、自分で椅子に座らせてあげたらどうです?ずっと抱きかかえられていたら、彼だって、気疲れしちゃいますよ。ねぇ、疲れるよね~。さぁ、こっちにおいで」

そう言って、俺の腕の中からリョウ君を奪い取り、俺との間の空席に座らせた。

ニジェールめ、余計な事を~。


「リョウちゃん、のど渇いたでしょ?」

タイミングを見計らっていたのか、アムールが、さっとレモン水の入ったグラスを、全員の前に配って置いた後、そう言いながら、リョウ君の手を取り、グラスに触れさせ、飲むように促がした。

・・・手を取る必要、あるか?

それにあいつ、飲み物の用意なんか、いつもは下っ端に任せて、した事ないよな?

「ありがとうございます。第3騎士隊長さん」

「アムールでいいよ?そう呼んでくれる?」

「えっ、でも・・」

「言ってみて」

「・・・アムール、さん」

「さんはいらないんだけどな~。次は呼び捨てで呼んでね」

パチン

リョウ君にウインクかましやがった。

・・・でも、いいな、名前で呼ばれるの。

「俺もボルガでいいぞ」

「えっ、総隊長さんを?」

「リョウ君になら、かまわない」

「(僕が騎士隊員じゃないからかな?)・・・ボルガさん、でいいですか」

「ダメだな」

「え~~~じゃあ、僕の事も呼び捨てでお願いします」

「ハハッ、もちろん。リョウ、今夜はここで、一緒に寝るか?」

「「「「「ダメですよ!」」」」」




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