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知ってる国が一つも無い。
そんな事、ありえないだろう。
目的地の国名も、通過国の名も知らないまま、こんな所までやって来るなんて事、無いだろう。
それに、どの国も、国境って言えば、砦や町を置き、入る時に、検問をしているのだから。
リョウを隠したまま通過など、この香りでは無理だろう。
そして、通過したら、通過したで、絶対に話題になる。
俺の中で、霧のある場所は、俺達の認知しない場所に繋がっていて、リョウはその場所から来たのだと、ほぼ確信に変わっていた。
周りを見渡せば、同様に考えているのだろう、目が合うと、頷かれた。
リョウは・・・薄々感じてる?若しくは、半信半疑といった所か?
「僕、全ての国を覚えてる訳じゃないけど、大まかな世界地図と、分かってる限りの国名を描いていくので、ここが、その中の何処ら辺に該当するのか、教えて貰っていいですか?紙があるなら、紙と書く物を。無ければ、地面に書くので、下ろして貰っていいですか?」
紙は、貴重だ。
王侯貴族や軍の上層部が、重要書類を書く時くらいにしか、使用されていない。
一般的には、羊皮紙が使われている。
よく知ってたな、というのもあるが、羊皮紙を要求しないのは何故なのか、と疑問も残る。
試しに、羊皮紙と羽ペンとインクを渡してみると、驚いた顔で、
「えっ、皮!?」
羊皮紙を指で挟んで手触りを確かめたり、上に掲げて眺めだした。
「(羊皮紙に、羽ペンとインクって・・・初めて見た。使った事ないんだけど。上手く書く自信、ないな)」
・・・ボソっと喋った言葉に、皆が、驚愕した。
初めて見たって・・・紙を要求したのは、それしか使った事が無いって事か?
羽ペンとインクを使わないで、何で書くつもりだったんだ?
皆が驚きで見てる中、リョウは、恐る恐る羽ペンの先をインク壺の中に入れ、インクを付けている。
「(どのくらいインクを付けるのかな?)」
その言葉で、気を取り戻したのか、総隊長が、リョウの羽ペンを握る手の上に手を重ね、
「少し、付けすぎだな」
と、リョウの耳元に、甘さの含んだ優しい声で囁きながら、インク瓶の口で、ペン先の余分なインクを落としてあげていた。
バッ!!
皆、一斉に腕を擦りだしていた。
解かる。
総隊長のそんな声、聞いた事もなければ、聞きたくもない。
俺もまた、鳥肌が立ったからな。
総隊長が重ねた手を外すと、〝ありがとうございます〟と言い、羊皮紙の上に、模様を描き始めた。
初めて使ったと言った通り、インク溜まりができたり、逆にかすれてしまったり、四苦八苦してるようだ。
模様を描き終えると、今度は、文字を書き込み始めたようだ・・・
解からん。
皆も、首を横に振っている。
やはり、というべきか、見た事の無い文字だった。
そんな事、ありえないだろう。
目的地の国名も、通過国の名も知らないまま、こんな所までやって来るなんて事、無いだろう。
それに、どの国も、国境って言えば、砦や町を置き、入る時に、検問をしているのだから。
リョウを隠したまま通過など、この香りでは無理だろう。
そして、通過したら、通過したで、絶対に話題になる。
俺の中で、霧のある場所は、俺達の認知しない場所に繋がっていて、リョウはその場所から来たのだと、ほぼ確信に変わっていた。
周りを見渡せば、同様に考えているのだろう、目が合うと、頷かれた。
リョウは・・・薄々感じてる?若しくは、半信半疑といった所か?
「僕、全ての国を覚えてる訳じゃないけど、大まかな世界地図と、分かってる限りの国名を描いていくので、ここが、その中の何処ら辺に該当するのか、教えて貰っていいですか?紙があるなら、紙と書く物を。無ければ、地面に書くので、下ろして貰っていいですか?」
紙は、貴重だ。
王侯貴族や軍の上層部が、重要書類を書く時くらいにしか、使用されていない。
一般的には、羊皮紙が使われている。
よく知ってたな、というのもあるが、羊皮紙を要求しないのは何故なのか、と疑問も残る。
試しに、羊皮紙と羽ペンとインクを渡してみると、驚いた顔で、
「えっ、皮!?」
羊皮紙を指で挟んで手触りを確かめたり、上に掲げて眺めだした。
「(羊皮紙に、羽ペンとインクって・・・初めて見た。使った事ないんだけど。上手く書く自信、ないな)」
・・・ボソっと喋った言葉に、皆が、驚愕した。
初めて見たって・・・紙を要求したのは、それしか使った事が無いって事か?
羽ペンとインクを使わないで、何で書くつもりだったんだ?
皆が驚きで見てる中、リョウは、恐る恐る羽ペンの先をインク壺の中に入れ、インクを付けている。
「(どのくらいインクを付けるのかな?)」
その言葉で、気を取り戻したのか、総隊長が、リョウの羽ペンを握る手の上に手を重ね、
「少し、付けすぎだな」
と、リョウの耳元に、甘さの含んだ優しい声で囁きながら、インク瓶の口で、ペン先の余分なインクを落としてあげていた。
バッ!!
皆、一斉に腕を擦りだしていた。
解かる。
総隊長のそんな声、聞いた事もなければ、聞きたくもない。
俺もまた、鳥肌が立ったからな。
総隊長が重ねた手を外すと、〝ありがとうございます〟と言い、羊皮紙の上に、模様を描き始めた。
初めて使ったと言った通り、インク溜まりができたり、逆にかすれてしまったり、四苦八苦してるようだ。
模様を描き終えると、今度は、文字を書き込み始めたようだ・・・
解からん。
皆も、首を横に振っている。
やはり、というべきか、見た事の無い文字だった。
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