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第一章 日出る者と闇落とす者
第九話 当主会議
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(そうか。この者が…)
壁耀は仙家の者でありながら、隠妖老師と手を組んでいた。そのことに気づいた想深は妙に腹が立った。
「戯言はやめていただきたい」
「戯言ではありませんよ?」
これは戯言ではなく、正真正銘の真実だ。
「お見せいたしましょうか?」
「何を見せるというのだ」
「あなたと春月が戦えば、私が先ほど申し上げたことが戯言か戯言ではないかわかるはずです。いかがですか?」
春月の実力を皆に見せびらかす、いい機会だと想深は確信した。
「いいだろう」
これは自分を陥れる罠だとわかっているが、なぜか賛成してしまう。
「それでは皆様、中庭にお集まりください」
仙連家の当主である、端霞がそう言ったあと、この部屋にいる者は皆中庭に集まる。
「春月、今日はそなたの腕を見せてもらう」
春月は自分に鋭い視線を送った。どうしてだろう。この者は睨むだけでも相手を怯えさせる。睨まれただけでこんなに怯えたのは、生まれて初めてだ。
春月は何も言わずに、中庭に向かった。
初めての感覚だった。いつもなら、あの場で剣を抜くはずの状況だったのだが、先ほどはなぜか剣を抜くことすらできなかった。あの者に睨まれることが恐ろしい。ー怖い。
(息が…)
壁耀を見ていると、だんだん息が荒くなる。こんな感覚になったのは初めてだ。
(鳳珠…)
震えているときに友の名を心の中で呼ぶ。すると、震えは徐々に治った。
「霊力を失ったのではなかったのか?白春月」
「あれはただの芝居だ。あんなのに引っかかっていたら、この先生きていけないぞ」
全身が震えていると、声も震えてしまい、いつもの声が出ない。
「大丈夫か?そんなに震えて、私に勝てると思っているのか?」
壁耀が憎たらしい言い方をした。それにつられて恐怖より怒りが増す。
「…貴様…」
怒りに身を任せ、剣を抜く。このやり方はあまり好きではないが、今は仕方ない。
春月は一撃で壁耀を倒し、剣を収める。
「…白…春げ…」
そう言う前に壁耀が意識を失った。
「壁耀様?!貴様ッ!何もここまでやらなくてもいいだろう!!」
壁耀の付き添いが春月に向かって弓を放つ。
「春月!!」
鳳珠が自分の名を叫んだと同時に、春月は弓が飛んできた方を向いた。
壁耀は仙家の者でありながら、隠妖老師と手を組んでいた。そのことに気づいた想深は妙に腹が立った。
「戯言はやめていただきたい」
「戯言ではありませんよ?」
これは戯言ではなく、正真正銘の真実だ。
「お見せいたしましょうか?」
「何を見せるというのだ」
「あなたと春月が戦えば、私が先ほど申し上げたことが戯言か戯言ではないかわかるはずです。いかがですか?」
春月の実力を皆に見せびらかす、いい機会だと想深は確信した。
「いいだろう」
これは自分を陥れる罠だとわかっているが、なぜか賛成してしまう。
「それでは皆様、中庭にお集まりください」
仙連家の当主である、端霞がそう言ったあと、この部屋にいる者は皆中庭に集まる。
「春月、今日はそなたの腕を見せてもらう」
春月は自分に鋭い視線を送った。どうしてだろう。この者は睨むだけでも相手を怯えさせる。睨まれただけでこんなに怯えたのは、生まれて初めてだ。
春月は何も言わずに、中庭に向かった。
初めての感覚だった。いつもなら、あの場で剣を抜くはずの状況だったのだが、先ほどはなぜか剣を抜くことすらできなかった。あの者に睨まれることが恐ろしい。ー怖い。
(息が…)
壁耀を見ていると、だんだん息が荒くなる。こんな感覚になったのは初めてだ。
(鳳珠…)
震えているときに友の名を心の中で呼ぶ。すると、震えは徐々に治った。
「霊力を失ったのではなかったのか?白春月」
「あれはただの芝居だ。あんなのに引っかかっていたら、この先生きていけないぞ」
全身が震えていると、声も震えてしまい、いつもの声が出ない。
「大丈夫か?そんなに震えて、私に勝てると思っているのか?」
壁耀が憎たらしい言い方をした。それにつられて恐怖より怒りが増す。
「…貴様…」
怒りに身を任せ、剣を抜く。このやり方はあまり好きではないが、今は仕方ない。
春月は一撃で壁耀を倒し、剣を収める。
「…白…春げ…」
そう言う前に壁耀が意識を失った。
「壁耀様?!貴様ッ!何もここまでやらなくてもいいだろう!!」
壁耀の付き添いが春月に向かって弓を放つ。
「春月!!」
鳳珠が自分の名を叫んだと同時に、春月は弓が飛んできた方を向いた。
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