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1億トンの責任
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「ちょっと、チャンネル変えて。ニュースに変えてよ」
只事じゃないのは承知していた。しかし現実的とは思えない、"昼夜逆転"の言葉をあまり信じきれなかった。私はこれまでも、幾度となく昼夜逆転を繰り返してきた。パソコンは太陽、それに毎晩照らされる私は月といったところか。無論、それはあくまで私の中のサイクルに問題があっただけで、逆転していたのは私だけだった。でもたしかもう少しクラスにいたような気がする。
「1チャンネルでいいね?」
テレビ画面が切り替わり、アナウンサーの顔、コメンテーターの表情、が事の重大さをさらに引き立てた。
『えぇー、先程。昼夜逆転計画の確定を、地球環境問題関連国際機関全て、並びに環境省が発表致しました。繰り返します、、』
そもそも、何故、"昼夜逆転計画"は発案されたのか。それは、おそらく今人類が1番に向き合うべき問題である。しかしそれを人類はただ抱えているだけだ。
海面が上昇していて、村々が沈むことなんて、沈むずっと前から知っていた。ホッキョクグマが姿を消すことも。
世界の平均温度が、40度を軽く超えることも。
それに対し発案されたのが、昼夜逆転計画である。およそ1年後には日中の平均温度が40度は軽く超えるとの予想が出ている。しかし、そうとはならないだろうと多くの大学教授や研究家は口にする。
『40度なんてものではない』『40度では済まない』『それで済むのならどんなにいいだろう』
と。
人が蒔いた種が急速に成長し、脅威になっていることを知っておきながら、人はそれを放置し、あろうことか水をやった。いや、放置なんてしていない。水をあげ続けた。そして脅威を育てた。
ふざけていた。そして、40度を軽く超えるとの予想が出たにもかかわらず人は変わろうとせず、挙げ句の果てには行動時間を夜に変えるだって?。結局逃げることしかできないじゃないか。いつまで夜が安全なのかなんて知れたものではないというのに。
とんだ自虐物語だ。枯れた草木、花や沈んだ村々の人々、ホッキョクグマ……。
何の罪もないものたちが殺害されていく。被害者は数えきれない。
責任という名の鎖に繋がれ、逃げたくてその鎖も食いちぎって、今ではそれが足枷となった。そして足枷を引きずりながら今日も人類は進歩する。
只事じゃないのは承知していた。しかし現実的とは思えない、"昼夜逆転"の言葉をあまり信じきれなかった。私はこれまでも、幾度となく昼夜逆転を繰り返してきた。パソコンは太陽、それに毎晩照らされる私は月といったところか。無論、それはあくまで私の中のサイクルに問題があっただけで、逆転していたのは私だけだった。でもたしかもう少しクラスにいたような気がする。
「1チャンネルでいいね?」
テレビ画面が切り替わり、アナウンサーの顔、コメンテーターの表情、が事の重大さをさらに引き立てた。
『えぇー、先程。昼夜逆転計画の確定を、地球環境問題関連国際機関全て、並びに環境省が発表致しました。繰り返します、、』
そもそも、何故、"昼夜逆転計画"は発案されたのか。それは、おそらく今人類が1番に向き合うべき問題である。しかしそれを人類はただ抱えているだけだ。
海面が上昇していて、村々が沈むことなんて、沈むずっと前から知っていた。ホッキョクグマが姿を消すことも。
世界の平均温度が、40度を軽く超えることも。
それに対し発案されたのが、昼夜逆転計画である。およそ1年後には日中の平均温度が40度は軽く超えるとの予想が出ている。しかし、そうとはならないだろうと多くの大学教授や研究家は口にする。
『40度なんてものではない』『40度では済まない』『それで済むのならどんなにいいだろう』
と。
人が蒔いた種が急速に成長し、脅威になっていることを知っておきながら、人はそれを放置し、あろうことか水をやった。いや、放置なんてしていない。水をあげ続けた。そして脅威を育てた。
ふざけていた。そして、40度を軽く超えるとの予想が出たにもかかわらず人は変わろうとせず、挙げ句の果てには行動時間を夜に変えるだって?。結局逃げることしかできないじゃないか。いつまで夜が安全なのかなんて知れたものではないというのに。
とんだ自虐物語だ。枯れた草木、花や沈んだ村々の人々、ホッキョクグマ……。
何の罪もないものたちが殺害されていく。被害者は数えきれない。
責任という名の鎖に繋がれ、逃げたくてその鎖も食いちぎって、今ではそれが足枷となった。そして足枷を引きずりながら今日も人類は進歩する。
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